GENERATIONS 佐野玲於、若いクリエイターから得た刺激 全員プロデュース曲で実感した“プロ集団としての強さ”

GENERATIONSのメンバーが、各自プロデュースした楽曲を6カ月連続でリリースしていくプロジェクト『PRODUCE 6IX COLORS』。本企画の第5弾として佐野玲於プロデュースによる「Magic Hour」がリリースされた。プロデュースはineedmorebuxとNvmbrrが手がけたものになっている。自身が10代でデビューを果たし29歳になった今、若手クリエイターとの制作の中で受ける刺激は何なのか。また、9月から始まるツアー『GENERATIONS LIVE TOUR 2025 "6IX SENSE"』についてもじっくり聞いた。(編集部)
メンバーがプロデュースする『PRODUCE 6IX COLORS』の面白さ
――『PRODUCE 6IX COLORS』で他のメンバーがプロデュースした楽曲はどうでしたか?
佐野玲於(以下、佐野):それぞれの趣味を乗っけたり、GENERATIONSでやったら面白いんじゃないかみたいなことをやったりして、いい感じにバラけたなという印象ですね。(白濱)亜嵐は普段からダンスミュージック寄りの活動をしているけど、今回の「Two Steps Back」は2000年代初頭の洋楽っぽくて意外でしたし、「気づいたことは」は片寄(涼太)らしい王道のJ-POPだし、「MY GENERATION」は小森(隼)がずっと好きだったASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤(正文)さんに依頼した踊れる邦楽ロックですよね。同じグループの中でこれだけ違った表現ができるのは、自分たちの面白いところだと思います。
――中務裕太さんの「True or Doubt」も含め、序盤はラブソングが続いていて、でも隼さん辺りから流れが変わってきたりして、本当にグループ内の打ち合わせなしで自由に制作されたんだなと感じました。
佐野:一応、こんな感じにする予定みたいな話はしたんですけど、それぐらいですね。みんなある程度空気読んできたなっていう。
――「この人はこんな感じで来るだろう」という予測をメンバー同士でしていたり?
佐野:そうですね。でも、こう来るって思われてるだろうからこそ、あえて裏切りを仕掛けたメンバーもいると思いますし、どんな曲が出てくるか、わかるようでわからないのが面白かったです。
――玲於さんの「Magic Hour」はどんなイメージで制作されましたか?
佐野:季節感も意識しつつ、ベースは踊れるヒップポップサウンドにGENERATIONSでトライしました。ただ普段聴くのは洋楽なので、そのカテゴリの中でどっちを取るか、色んなアイデアを出して制作していきました。

――プロデューサーはineedmorebuxさんとNvmbrrさんです。
佐野:Nvmbrrは元々友達で仕事もしたことがあって、ineedmorebuxとは今回初めて一緒に仕事しましたね。ineedmorebuxは若手の注目株で、僕も元々彼の楽曲を聴いてたので、一緒にやりたいなと。ブレストから色々なアイデアをバーッと出したんですが、やっぱりボーカル2人の歌い方がR&B育ちというかLDHのボーカルイズムがあるので、その特徴をどう落とし込むかが肝だったんですよね。それを軸に選んでいった結果、今回の踊れるヒップホップというベースに着地しました。
――普段から聴いている音楽のテイストもありつつ、ダンスを始めたころから自分の中に流れているルーツも出たというイメージですか?
佐野:そうですね。ヒップホップの面白いところって、常に進化してるところなんですよ。だから昔自分が聴いていた時代のものと、今のものでは全く違うんです。そういう意味で言うと、今回はすごくタイムリーな今っぽいビートかなと思います。
――作詞はどんな風に進めていきましたか?
佐野:セッションを重ねて探っていって、お互いにアイデアを出しながらライティングした感じです。Nvmbrrは日本人には出せない引き出しを持っているので、すごく勉強になりましたね。
あと今回リリースされる6月という季節を考えたときに、自分が海外で見たヴィラや海の景色、時間の流れを思い出したので、これをリリックにしたいと思ったんです。去年ドラマの撮影で行ったタイの景色とか、友人とモルディブで過ごした時間とか。それで、リファレンスとなるメモや写真をぱっと広げて歌詞にしていきました。海外でバカンスしている楽しい時間って過ぎるのがすごく早いし、その特別感が永遠に続けばいいなと思うんです。音楽なら永遠に残せるなと思って、今回楽曲で表現しました。
――GENERATIONSは常に多忙なイメージがありますが、心の余裕みたいなものはやはり大切なんですね。
佐野:そういう時間ってみんな必要ですよね。今ってデジタルの発達もあって、昔ほど思い出に特別感がなくなってる感じがするんですよ。今作った思い出を、10年後、20年後になっても、エモいとか懐かしいとか愛おしいと思えるのかなって。みんな携帯を猫背で見てて、周りの景色を目に焼き付ける時間も少なくなってるじゃないですか。だから今回はそういう特別感のある時間を残したいと思った部分もありますね。
佐野自身も参加したボーカルは「玲於くんやるっしょ!」のノリで
――歌詞に日本語が入ってるのは少し意外でした。
佐野:日本語だけど英語に聞こえる絶妙なフロウを作ってみました。「これだとハマるな」「これは日本語っぽすぎるかな」って言い合いながら考えましたね。
――そういったこだわりもあって、今回玲於さん自身もボーカルに加わったんでしょうか。
佐野:最初は全然入るつもりはなかったんですよ。でもNvmbrrが「入ったほうがいいよ」って言ってくれたので、「じゃあ入ろう」と。彼はナイジェリアミックスで英語にも日本語にも理解があるので、こういう流れるような曲が作れましたね。

――過去のインタビューで、亜嵐さんが「普段から作詞作曲してる人じゃないと、専門用語を踏まえながら頭の中のイメージをプロデューサーやシンガーソングライターに伝えるのは難しいのでは」と言っていましたが、玲於さんはどう感じましたか?
佐野:確かに難しいんですけど、ただ今回は特別な時間を残したいというテーマがあって、それを歌詞にしていったので、自分の言葉で思い出せることやメモもあったおかげで割とストーリーにしやすかったと思います。
――歌割に関しては、「ここは誰に歌ってほしい」といったイメージはありましたか?
佐野:いや、特にはなかったですね。このバースは誰って区切るよりは、混ざってクロスしてる感じですね。あえてそうしたわけじゃないんですけど、「ここは数原だったらいいね」「ここ片寄がいいかな」「じゃあここ俺かな」みたいな感じで一緒に話しながら決めました。
――ボーカルレコーディングは立ち合いましたか?
佐野:仕事の都合もあって、居たり居なかったりでしたね。でもボーカル2人は僕より遥かにレコーディング経験があるプロだと思っているので、そこは安心してました。ボーカルもNvmbrrがディレクションしてくれたんですが、彼が「こういう感じで」と伝えたニュアンスを、2人がしっかりマイクに入れてくれたと思います。
――どんなニュアンスを伝えたんでしょうか。
佐野:やっぱりいつもとは若干歌い方やフロウ感が違って、ラッパーならではの表現が入ってると思います。
――亜嵐さんプロデュースの「Two Steps Back」では、亜嵐さんと玲於さんの2人でラップするという案も出たと聞きました。
佐野:あぁ、そんな話もありましたね。でも結果的に僕はノータッチで、亜嵐が全部やってくれました。
――そう考えると、今回自らマイクを握ったというのは、自分プロデュースの楽曲だったから安心してやれたという部分もあるのでしょうか。
佐野:それはあったと思います。あとはやっぱりプロデューサーを含めたチームの雰囲気で、「玲於くんやるっしょ!」みたいな感じだったので、「やるか!」みたいな(笑)。


















