ala、1stミニアルバム『Point of view』から20年 Riddim SaunterやFed MUSICらと築いたムーブメントとは何だったのか

 またalaは、ソウル、ファンク、ジャズといったグルーヴィーで洗練されたジャンルを、開けたポップミュージック、かつ汗臭いパフォーマンスに落とし込み発展させた功績もある。近しいところではスカ中心のSCAFULL KINGから、フュージョンまで取り入れたthe band apartと、独自のスタイルを突き詰めてきた先輩たちもいたが、彼らと同世代で『FIVE ON THE MOVE TOUR』を共にまわったRiddim Saunter、asphalt frustration、Fed MUSIC、heや、スプリット盤『WE’VE GOT SOMETHING』をリリースしたUNCHAINが飛躍した2000年代後半は、まさに百花繚乱だった。クラブシーンやヒップホップカルチャーも含めて、いろんな壁を取っ払う勢いに満ちていたムーブメントは、その後のロックバンドを自由にしたし、キッズの耳を肥えさせた。今のチャートを見て、こんなオシャレな音楽が、こんな凝った音楽がお茶の間に流れる時代が来るなんて! と思うことも少なくはない。ala自身は2008年1月にミニアルバム『SEVEN COLORS SAUCE WITH YOU』でメジャーデビューして間もなく活動を休止したので、お茶の間で暴れ回る姿を見ることは叶わなかったのだけれど、今のメジャーフィールドの土台の一端は、もしかしたら担っているのかもしれないと、当時の音源を聴くと思える。

 一方で2000年代のインディロックシーンは、バンドもキッズも、90年代後半~初頭を席巻した「AIR JAM世代」の次の「自分たちの時代」を求めていて、alaは先述したように同世代の仲間たちと『FIVE ON THE MOVE TOUR』を回った。それぞれのやり方で「今」を鳴らして切磋琢磨するバンドたちと物語を共有するのは本当に楽しかった。今は個々の道を歩んでいるバンドが多いが、先日Riddim Saunterが1年間限定で再結成することを発表。またFed MUSICも25周年ライブを2025年10月3日に開催する。これらのタイミングの合致にもワクワクせずにはいられない。そして、もっと言えば、 新井祐樹(Vo/ex: ala)、佐藤誠士(Vo/ex: ala)、高梨竜也(Gt/ex: asphalt frustration)、重信貴俊(Ba/ex: he)、秋元雄介(Dr/Fed MUSIC)から成るバンド・BOYLEKUWAIは2023年2月から活動中。そう、彼らはしみじみと懐古趣味に浸らせてはくれないのだ。あの頃も今も彼らは、時代を共に生きてきた私たちにも、後追いで憧れてきた世代にも、大きな刺激をくれる。ぜひ、改めてalaの過去作を聴いて、ビリッビリに痺れるグルーヴ&とびっきりハッピーなパーティー感を味わってほしい。

■リリース情報
2025年7月6日(日)デジタルリリース
ala 配信リンク:https://lnk.to/ala_official
『Point Of View』:2005/7/6 Release
『ORGANIZM』:2006/4/12 Release
『Jam of the year』:2006/12/13 Release

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる