Suchmosが一貫して伝える“自由”の意味 横浜アリーナ、復活への大歓声を先導したバンドの矜持

Suchmosが6月21・22日、ワンマンライブ『Suchmos「The Blow Your Mind 2025」』を横浜アリーナで開催した。本稿では22日の追加公演の模様をレポートする。
2021年2月に活動休止したSuchmos。メンバーの修行の期間を経て、昨年10月に再始動することを発表。と同時に、彼らの地元に近いこの横浜アリーナでの公演が発表された。Suchmosが最後に横浜でライブをしたのは2019年の横浜スタジアム公演のため、彼らが横浜の地に立つのは約6年ぶり。会場には彼らの復活を迎える空気があり、開演すると待ってましたと言わんばかりの大歓声が会場を埋め尽くした。

まだ暗いステージのバックスクリーンに、7つのライトが灯る。メンバーたちはおもむろに「Pacific」を、原曲よりやや穏やかなアレンジで演奏しはじめた。なぜライトが7つなのかはすぐに察しがついた。2021年10月にベースのHSUの逝去が公表された。この日はサポートメンバーに山本連(LAGHEADS)を迎えての新体制だった。ステージにいるのは5人と山本を合わせた6人だが、そこにはHSUを含めた7人が立っているように思えた。
7月にリリースする新EP『Sunburst』から「Eye to Eye」を披露すると、7つだけだったライトがステージ全体に広がった。辺り一面が、無数の星が瞬く美しい夜空のような光景に一変。演奏にリズムが生まれ、徐々に会場がグルーヴしだす。そして大きな“Suchmos”のバンドロゴがバックスクリーンに出現した。映画のようなこの粋な演出からは、バンドからの「これが今の俺たちだ」「またSuchmosを始めよう」といった前向きな覚悟とも言えるメッセージを受け取れた。メンバーこそ変化があったものの、変わらず前進しようとするSuchmosの姿がそこにあった。そこから「DUMBO」「STAY TUNE」「808」とアップテンポな楽曲で会場を温めていく。


歌い終えるとYONCEが「はじめまして、お久しぶりです」と挨拶。初見の観客にも長年のファンにも配慮した言い回しだ。「こんなに外が気持ちいい時間に、こんな暗い場所に集まって、変わってますね、あなたたち、ありがとう」とYONCE流の感謝の気持ちを口にする。そして次に放った言葉が印象的だった。「俺らは勝手に楽しむから、あなたがたも勝手にやってください」。この言葉に象徴される“自由”な姿勢の提示がこの公演、ひいては現在のSuchmosというバンドの核にあるような気がする。軽快なグルーヴの「PINKVIBES」、重厚感のあるパフォーマンスで会場を支配する「Burn」、コール&レスポンスで観客が沸き立つ「Alright」と続けて、オーディエンスをまさに“自由”に踊らせていた。


バンドアンサンブルも素晴らしい。時にファンキーに時にロックに、多彩な引き出しから繰り出されるTAIKINGのギタープレイ、さまざまな音色を操るキーボードのTAIHEIによる華麗なタッチ、的確かつスピーディーなDJプレイで魅了するKaiki Oharaの手捌き、正確無比なOKによる情熱的なドラミング、低音で支えつつ要所で存在感を発揮する山本の骨太のベース。新体制のSuchmosから、あの頃と変わらない、それでいて新しいエッセンスの加えられた、力強くフレッシュなエネルギーを感じた。YONCEは言う。「これが俗に言う、バンドです。一人ひとりはただのろくでなし。でも、ひとたび集まると何だかすごい」。

そしてこうも続けた。「みんなでひとつに……なりません。なっても意味がありません。それぞれで楽しんでください」。彼らが言葉や音楽で表現するこの自由さ、あるいは爽やかな個人主義が、今はとにかく心地よい。次の「MINT」でも、イントロでリズムに合わせてYONCEが「ノリかたは自由!」と叫んでいた。続いて、新EPから「Whole of Flower」「Marry」と披露して、さらに「OVERSTAND」をパフォーマンス。とりわけ「OVERSTAND」における高らかに飛翔するTAIKINGのギターに、どこか遠い場所へと思いを馳せる祈りのようなものを感じた。























