SEVENTEEN、“この先の未来”を示す16の新たな挑戦と進化の結晶 『HAPPY BURSTDAY』全曲解説

SEVENTEEN『HAPPY BURSTDAY』全曲解説

 5月26日、SEVENTEENがデビュー10周年を記念して5thアルバム『HAPPY BURSTDAY』をリリースした。

SEVENTEEN (세븐틴) 5th Album ‘𝐇𝐀𝐏𝐏𝐘 𝐁𝐔𝐑𝐒𝐓𝐃𝐀𝐘’ Highlight Medley (8D Audio)

 全16曲のうち3曲がグループ曲、13曲がメンバーのソロ曲で構成され、ファレル・ウィリアムスやティンバランドといった世界的プロデューサーとのコラボレーションも話題を呼んでいる。本稿では各曲の筆者のレビューを通じて、このアルバムの魅力を探りたい。

01. HBD

 アルバムの幕開けを飾る「HBD」は、SEVENTEENのシグネチャーとも言える高揚感、そして爽やかさ溢れるトラックだ。ポップパンク要素のある雷鳴のように轟くドラムとギターリフが、ライブステージのような臨場感を生み出している。10年間の歩みを振り返りつつ、新たな挑戦への意気込みを宣言するリリックは『HAPPY BURSTDAY』のテーマである“再生”を力強く提示しており、エネルギッシュにアルバムのコンセプトを表したオープニングにふさわしい一曲だ。

02. THUNDER

SEVENTEEN (세븐틴) 'THUNDER' Official MV

 タイトル曲「THUNDER」は、EDMベースのダンスポップで、SEVENTEENの新たな音楽的挑戦を象徴する楽曲だ。WOOZI、S.COUPS、BUMZUが共作しており、挑戦を通じて唯一無二のスタイルを生み出してきたSEVENTEENが、絶えず新しいインスピレーションを得て挑戦の瞬間をともにする仲間たちと音楽世界を広げていく姿を、パンクロックスタイルの「HBD」とは異なるアプローチで“雷”になぞらえて表現している。中毒性のあるキャッチーなフックと2000年代のエレクトロニックなバイブスを感じさせるビートが融合し、SEVENTEENの楽曲的シグネチャーと言えるレトロ要素を加えながらも、クラブで盛り上がるような高揚感を感じさせる。韓国の音源配信サービス「Melon」チャートの「Top 100」で1位を獲得し、iTunesでも13の国と地域で首位を記録するなど、グローバルな影響力を見せつけた。

03. Bad Influence (Prod. by Pharrell Williams)

 ファレル・ウィリアムスがプロデュースを手掛けた「Bad Influence (Prod. by Pharrell Williams)」は、全編英語詞で、滑らかなポップグルーヴと洗練されたサウンドが特徴。よどみのないウォーキングが連想されるアップテンポのドラムビートと重い808ドラムベースサウンドが合わさって大胆で自由なムードを感じさせる。エネルギッシュだが、同時に緻密に抑制されたサウンドが魅力的な曲だ。官能的で中毒性のあるメロディはファレルのシグネチャースタイルを色濃く反映しつつ、SEVENTEENのボーカルとラップが調和するコラボレーションならではの一曲。

04. Skyfall (THE 8 Solo)

THE 8
THE 8

 THE 8のソロ曲「Skyfall」は、幻想的でエレクトロニックなサウンドが印象的で、「Bad Infruence」からシームレスにメンバーソロコーナーへの橋渡しを担っている。自身が作曲に参加した儚げで軽やかなトラックと、夢と欲望の間で揺れる感情を表現した歌詞が融合しており、THE 8の独特な感性が光る。アルバムの中でも異世界的な雰囲気を持つ一曲だが、韓国語、英語、そしてTHE 8のネイティブ言語である中国語の歌詞が含まれ、独自のアーティスティックな感性を存分に味わえる。

05. Fortunate Change (JOSHUA Solo)

JOSHUA
JOSHUA

 JOSHUAの「Fortunate Change」は、アシッドジャズの影響を感じる爽やかなポップソング。柔らかなシンセサイザーとパーカッション、爽やかなギターリフが、軽やかなテノールとファルセットボイスと調和している。身近な人々の愛によって世界が新しく見えることの喜びを歌ったこの曲は、ボーカルトーンと合わさってあたたかみのある印象を残すが、曲の構成は少々トリッキーでアクセントになっている。

06. 99.9% (WONWOO Solo)

WONWOO
WONWOO

 グループやユニットではラッパーとしてクールなパフォーマンス表現を担当することが多いWONWOOだが、「99.9%」ではロマンティックな愛の確信をテーマにしたスウィートな側面を見せてくれた。シンプルなメロディにスローなジャズテイスト、WONWOOの誠実なボーカルのハーモニーは、新たに多面的な魅力を見せてくれるものと言えるだろう。

07. Raindrops (SEUNGKWAN Solo)

SEUNGKWAN
SEUNGKWAN

 SEUNGKWANの「Raindrops」は、シンガーソングライターのハ・ヒョンサンが作曲に参加した、雨の日の感傷的なムードを捉えたバラード。VOCAL TEAMのメンバーらしく情感豊かな歌声と繊細なピアノの旋律で、喪失の痛みを描き出している。SEUNGKWANについてのエピソードをよく知るファンにとっては、過去のリアルな思い出を重ねて聴くことができるかもしれない。

08. Damage (HOSHI Solo)(feat. Timbaland)

HOSHI
HOSHI

 HOSHIの「Damage (feat. Timbaland)」は、ティンバランドとのコラボレーションによるベースヘビーなトラック。官能的でリズミカルなビートとHOSHIのエネルギッシュなパフォーマンスが融合し、アルバムのなかでも特にダンサブルで中毒性の高い一曲となっている。ティンバランドのプロダクションは、作曲の時もダンスで表現するというHOSHIの情熱的なボーカルを引き立てている。

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