GLAYの30周年イヤーを盛大に締めくくった東京ドーム公演 “新しい夢”とともに交わした未来への約束
『GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 GRAND FINALE』の東京公演が東京ドーム（5月31日、6月1日）にて開催された。
1994年にシングル『RAIN』でメジャーデビューを果たしたGLAY。2024年5月25日に30周年を迎え、6月に埼玉・ベルーナドームでキックオフ公演『GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025』を開催。その後も『SUMMER SONIC』への初出演、17thアルバム『Back To The Pops』のリリース、全国アリーナツアー、ベストアルバムの発表（『DRIVE 1993～2009 -GLAY complete BEST』『DRIVE 2010～2026 -GLAY complete BEST』）とアニバーサリーイヤーならではの活動を繰り広げてきた。
東京ドーム、京セラドーム大阪（6月8日）で開催される『GRAND FINALE』は、30周年を記念した『GLAY EXPO 2024-2025』の最後を飾る公演。5年前の2020年、コロナ禍で中止となった25周年ドームツアーのリベンジを含め、GLAY、Buddy（ファン）にとって大きな意味を持つライブとなった。
東京ドーム公演の2日目となる6月1日、17時ちょうどにライブがスタート。まずはスクリーンに映画風の映像が映し出される。森の中で火をくべ、1人物思いにふけるTAKURO（Gt）、ジムでトレーニングした後、運転手付きのリムジンで移動するJIRO（Ba）。HISASHI（Gt）は大勢の若者たちに見送られ、愛車・マツダRX-7に乗って走り出す……と思いきや、そのまま東京ドームのグラウンドに車で登場。さらにTERU（Vo）がバイクで疾走＆ヘリで移動する映像に続き、フライングでステージに降り立ち、スクリーンには「GRAND FINAL」の文字が。
そのまま間を置くことなく、1曲目の「口唇」が炸裂。1997年リリースのヒットチューンによって、30周年のフィナーレを迎えるライブは幕を開けた。
「東京ドーム、全員で行くぞ！」（TERU）というシャウトから始まったのは、「嫉妬」。勢いのある4つ打ちのビート、JIROのしなやかなベースライン、HISASHIのギラつくようなギターサウンドが絡み合い、会場の熱気をさらに引き上げる。
「“GLAY EXPO”、GRAND FINALEにようこそ！ 30周年、駆け回ってきました。テレビにもたくさん出たし、いろいろ情報過多すぎて、大丈夫でしたか？ ここまでたどり着いたのはみんなのおかげ。いつも一緒にいてくれて、30年経ってもこんなに素敵な光景を見せてくれて、本当にありがとうございます。今日は一人ひとりに思いを込めて、みんながこれからも幸せであるようにと、感謝の思いをたくさんたくさん込めてやります」
心のこもったTERUのMCの後は、「生きてく強さ」。観客が付けたリストバンドが白、赤、オレンジの光を灯すなか、メンバーはレッドカーペット風の花道へ移動。矢印の形をしたセンターステージに到着した4人の演奏とともに、大きなシンガロングが巻き起こった。さらに「みんな一緒に歌ってください！」（TERU）と「グロリアス」へ。冒頭からキャリアを代表するヒット曲を次々と披露し、特別なライブであることをしっかりとアピールした。
「（東京ドーム公演は）単独では10年ぶり。いろいろあったと思いますが、つらいこと、苦しいことは会場に置いて、ここを出るときには心がスッキリするようなライブにしたいと思っています」（TERU）という言葉に続いて披露されたのは、様々な思いやメッセージを込めた楽曲たちによるメドレー。「シキナ」「STREET LIFE」「Missing You」「都忘れ」そして、〈どれほどの愛 注いでくれた／オマエの手をなぜ離したのか〉と歌われる「MIRROR」。スクリーンには歌詞が映され、口ずさんでいる観客も多数。30年の中で生み出された楽曲がオーディエンスそれぞれの思い出や人生と重なり、切なくも温かい空間へとつながっていく。
ノスタルジックな雰囲気を一変させたのは、HISASHIとJIROがツインボーカルを取った「BLACK MONEY」。性急なビートと鋭利なギター、ベースがぶつかり合い、ゴシックパンク的な世界を描き出す。これもまたGLAYの音楽的側面の一つだ。
続いてはTAKUROが一人でセンターステージに登場。「これが俺の自慢のGLAYだ！」と叫び、会場からは大きな拍手と歓声が送られた。さらに「JIRO、HISASHI、TERUに改めてお礼を言いたい。彼らは僕の憧れです」と言葉を続け、氷室京介とのセッション、TERUとB'z・松本孝弘との共演、小田和正とのコラボレーションなど、数多くの夢が実現したことを振り返った。
「この後、俺は何をすればいいのか正直悩んでいて。でも、今日、新しい夢ができました。みなさんの笑顔に会いに、またここに戻ってきます！」「リーダーとしてGLAYを守らなくちゃいけないと強がってたんだけど、全然守れてなくて。GLAYが一歩一歩進んでこれたのは、みんながGLAYを守ってくれてたからなんだね。よし、今日からここにいるみんながGLAYだ！」
リーダーとしての逡巡、ファンへの思いを滲ませるMCの後は、TAKUROが新曲「NEVER-ENDING LOVE」（仮タイトル）を弾き語り。まだ形になる前の“原型”の状態で届けられた楽曲のテーマは“終わらない愛”。心のこもったTAKUROの歌声からは、未来のGLAYを確かに感じ取ることができた。
深くお辞儀をして、センターステージに戻るTAKUROの姿を覆っていたのは、サポートミュージシャンの村山☆潤（Key）によるピアノの独奏。スクリーンにはこれまでのライブ映像が映し出され、30年という月日が実感として伝わってくる。そしてメンバー4人揃って「軌跡の果て」を披露。GLAYとして過ごしてきた時間、様々な出来事を経験、乗り越えてたどり着いた今。この曲に刻まれた思いは、30周年のファイナルというシチュエーションと強く結びついていた。
“GRAND FINALE”を際立たせるスペシャルな演出はまだまだ続く。ここで登場したのは、室屋光一郎ストリングス。溝口肇の指揮のもと、クラシカルな弦楽器が響き、「つづれ織り～so far and yet so close～」へ。さらに竹上良成のサックスも加わり、ゴージャズで奥深いサウンドがゆったりと広がっていった。
「30年分の愛情を込めてお届けします」（TERU）とコールされた「pure soul」、そしてHISASHIの選曲による2度目のメドレー（「BE WITH YOU」「ここではない、どこかへ」「とまどい」「SPECIAL THANKS」「春を愛する人」）も“GLAY×ストリングス”の編成で披露。GLAYが表現してきたポジティブな思い、奥深い音楽性をじっくりと堪能できる特別な時間だった。特筆すべきはTERUの歌声。コロナ禍以降もボーカリストとしての向上を続けているTERUの歌はこの日も力強い存在感を発揮。GLAYの幅広い音楽性とメッセージをダイレクトに響かせていた。
〈For 30 years we've been looking for little things little things〉の大合唱が生まれた「BRIGHTEN UP」からライブは後半へ。「彼女の“Modern…”」「疾走れ！ミライ」とGLAYのライブを支えてきたアッパーチューンを続け、東京ドーム全体を熱狂的な一体感で包み込んでみせる。キャリアを通し、ステージに立つことに重きを置いてきたGLAY。ライブバンドとしての彼らの魅力を存分に実感できたこともまた、30周年にまつわる活動の大きな収穫だったと思う。
「いつも最上級の幸せをありがとう。日々の積み重ねと、みんなの思いが重ならないとこのステージには上がれない。日々いい音楽を届けて、またみなさんの街にも会いにいきます」（TERU）というコメントから始まった本編ラストは「SOUL LOVE」。4人がセンターステージに進み、再び大合唱が巻き起こる。興奮と感動が広がり、「サンキュー、東京ドーム！ ずっとずっとずっと一緒だぜ！」（TERU）というシャウトでライブ本編はエンディングを迎えた。
