VALISが『喝采カーテンコール』二幕構成で提示した唯一無二性 第一幕“マチネ”はそれぞれの個性を発揮

VALIS『喝采カーテンコール』第一幕レポ

 KAMITSUBAKI STUDIO所属のCHINO (チノ)、MYU (ミュー)、NEFFY (ネフィ)、RARA (ララ)、VITTE (ヴィッテ)による5人組バーチャルガールズグループ・VALISが、6度目のワンマンライブ『喝采カーテンコール』を5月17日に渋谷・Spotify O-EASTで開催した。

 「神出鬼没のバーチャルサーカス団」を掲げ、二次元の“バーチャル”と、三次元の“オリジン”、二つの形で活動するVALIS。三次元の”オリジン”の姿で行われる今回の公演は、第一幕をマチネ、第二幕をソワレとする二部構成となっており、本稿では第一幕マチネの模様を中心にレポートする。

 照明が落とされると、ステージ後方のスクリーンには、今回のライブタイトル「喝采カーテンコール」のロゴが大きく映され、劇場の幕が開く。

 ドールのような”バーチャル”のVALISが幻想的に舞い踊るオープニングムービーが流れると、いよいよ”オリジン”のVALISがステージに登場。冒頭のブロックは白を基調とした衣装に身を包んだCHINO、NEFFY、VITTE、RARAの4人によるパフォーマンスだ。絶妙な繋ぎでテンポよく進んでいく。

 1曲目はtokiwaが手掛けた「幻想アンヴェール」だ。猫のような手の振りが妖しげな魅力にキュートさを加え、澄んだ歌声となめらかでキレのあるダンスからは、彼女たちの劇場に手招きされ否応なく迎え入れられてしまうような、独特の空気感が会場を満たす。まさにオープニングナンバーにふさわしい一曲だ。

 続いての「共振ハートビート」は、廉による楽曲。打って変わって激しいハイテンポの曲調はライブとの相性も抜群。客席の熱気も上がり続けていく。美麗なハーモニーと凛としたパフォーマンス、そして会場を広く見渡す4人の姿が印象的。初披露となった新曲「光芒キャロル」はカミるれの提供楽曲。儀式のように厳かに始まり、徐々に熱を帯びていくストーリー性のあるコレオは、VALISが帯びるフィクション性をステージの上で再現しており、伸びやかなハイトーンは楽曲の持つ演劇性ともマッチしている。

 MCでは「いきなり初めての曲ぶっこんでくるの、びっくりした?」と客席に投げかけ笑顔を見せた。自己紹介に続き、約1年ぶりのワンマンライブの開催に感謝を告げると、この日が休養からステージ復帰となるMYUの登場が予告され、客席からはあたたかい歓声と拍手が起こる。

 マチネの目玉となったソロメドレーは、音とダンスで華麗に繋いでいく。

VALIS『喝采カーテンコール』第一幕“マチネ”ライブ写真
RARA

 ステージに一人残ったRARAが中央へ立ち、特徴的なイントロが鳴り響く。公開されたばかりの「JUICE」だ。色気のあるダンスミュージックを、パワフルかつクールで挑発的にパフォーマンス。大人っぽさのあるボーカルも相俟って、それまでのキュートな姿とは別の顔を見せた。

VALIS『喝采カーテンコール』第一幕“マチネ”ライブ写真
NEFFY

 次に登場したのはNEFFY。披露したのは「Eyes On Me」だ。照明が切り替わると、シャープな手の振りや、弾けるようなボーカルを展開していく。パワフルさと少しの闇を携えたガールズポップ、そしてアップテンポなクラブサウンドの融合は、NEFFYの個性も相俟っておしゃれで未来的な空間を作り出していく。

VALIS『喝采カーテンコール』第一幕“マチネ”ライブ写真
VITTE

 ダンスでリレーを繋ぎ、続いて登場したのはVITTE。「βlack Swan」はマリオネットのような動きを見せたかと思えば、ヘヴィに畳みかけるようなボーカルとダンスと目まぐるしく展開していく。まるでひとつのミュージカルを見ているかのようなステージングだ。ふわふわとした可愛らしさからは一変し激情を表現するVITTEに会場は圧倒された。

VALIS『喝采カーテンコール』第一幕“マチネ”ライブ写真
CHINO

 その余韻を打ち破るように儚くも鋭い澄んだ歌声を響かせたCHINOは、「Memoria」をパフォーマンス。スタンドマイクを使い、曲の持つ清廉な空気と切なさを美しく歌い上げていく。静かでありながらも、確かな熱を感じさせるダンスとボーカルからは可憐さと強さが感じられ、曲が進むと同時に会場中に広がっていくような唯一無二のステージとなった。

VALIS『喝采カーテンコール』第一幕“マチネ”ライブ写真
MYU

 マチネで一番の歓声と手拍子を以て迎えられたのは、この日ステージ復帰となったMYU。「みんな! お待たせー!」と手を振ると、真紅の衣装をなびかせながらしなやかなダンスで客席を魅了。ファンキーでセクシー、そして情熱的な「Mute Beat」を力強くパフォーマンスする。低音から高音まで縦横無尽に歌声がどこまでも伸びていき、赤い照明の中、全身でその気高さを表すように踊り、綺麗に衣装が翻る姿に会場も大盛り上がりだった。

 第一幕最後の曲は、「純情エトワール」。香椎モイミが手掛けたこの曲は「VALIS歌劇団」として新しい道を歩み始めた最初の曲で、5人での披露は今回が初めてになるという。ソロパートは個々の特色が生かされ、5人のユニゾンになると突き抜けるようなエネルギーを感じさせる歌声は、VALISの個性そのものと言っていいだろう。マリオネットのような振り付けをしなやかに打ち破っていくようなAメロとBメロ、そして爆発的な解放感によってカタルシスを感じさせるサビへと、ドラマチックに舞うこの楽曲は、まさにVALISの現在地を示すかのようだった。

 その後、休憩を挟んでスタートした第二幕ソワレも、大胆な衣装チェンジで会場を沸かせたかと思えば、激しい曲が続くハードなメドレーや、5周年ならではの10曲クロニクルメドレー、ファンとのシンガロングで一体となったラストスパートと、2時間以上華麗かつタフなステージングを見せた。

 確固たるキャラクター性がありながらも、その枠の中で多彩な表情を魅せたVALIS。気鋭のアーティストから提供されたバラエティ豊かな楽曲にふさわしく、4人でパフォーマンスするシーンや、ペア、ソロと様々なフォーメーションでステージを可憐に彩っていったが、やはり5人が揃ったパフォーマンスは表現力が一段階違うように思う。

 MCやカーテンコールで見せる5人のパーソナリティや絆、そしてファンへの感謝と愛を告げる姿からVALIS特有の温度感を感じられたのも貴重な体験だった。

 アルバムの発売も発表され、今後のVALISの表現はさらに彩り豊かになっていくのだろう。今回のライブで確かな情熱を見せてくれたVALIS。彼女たちが紡ぐこの先の物語を見てみたいと強く思わされたライブだった。

<セットリスト>
ー第一部ー
1 幻想アンヴェール(作詞・作曲・編曲:tokiwa)
2 共振ハートビート(作詞・作曲・編曲:廉)
3 光芒キャロル(作詞・作曲:かみルレ 編曲:曽木琢磨)
4 JUICE(ララソロ) / (作詞・作曲・編曲:梅とら)
5 Eyes On Me(ネフィソロ)/ (作詞・作曲・編曲:Purukichi)
6 βlack Swan(ヴィッテソロ)/ (作詞・作曲・編曲:ど~ぱみん)
7 Memoria(チノソロ)/ (作詞・作曲・編曲:tokiwa)
8 Mute Beat(ミューソロ)/ (作詞:ぽん 作曲・編曲:HIDEYA KOJIMA)
9 純情エトワール(作詞・作曲・編曲:香椎モイミ)

ー第二部ー
10 廻転コースター(作詞・作曲・編曲:梅とら)
11 灼熱モーメント(作詞:小野仁誠  作曲・編曲:Zexnum)
12 誘惑ノンフィクション(作詞・作曲・編曲:廉)
13 黄昏シミュレイド(作詞・作曲・編曲:他人事)
14 再現ガールフレンド(作詞:ぽん 作曲:HIDEYA KOJIMA  Remix:安宅秀紀)
15 幸福アウトサイダー(作詞・作曲:ニンドリ Remix:安宅秀紀)
16 哀愁トワイライト(作詞・作曲:ニンドリ Remix:安宅秀紀)
17 新世界ピグマリオン(覚醒 ver.)(作詞・作曲:柊キライ Remix:安宅秀紀)
18 真夜中コンツェルト(覚醒 ver.)(作詞・作曲:syudou Remix:安宅秀紀)
19 錯綜リフレクション(覚醒 ver.)(作詞・作曲:R Sound Design Remix:安宅秀紀)
20 再見ロマネスク(覚醒 ver.)(作詞・作曲:柊マグネタイト Remix:安宅秀紀)
21 焦燥アンドロイド(覚醒 ver.)(作詞・作曲:ポリスピカデリー Remix:安宅秀紀)
22 一陽レガシー(覚醒 ver.)(作詞・作曲:TOOBOE Remix:安宅秀紀)
23 熱愛フローズン(覚醒 ver.)(作詞:TeddyLoid  作曲:Giga & TeddyLoid Remix:安宅秀紀)
24 物換星移カタルシス(覚醒 ver.)(作詞:TeddyLoid  作曲:TeddyLoid & Giga Remix:安宅秀紀)
25 乙女的サイコパシー(作詞・作曲:カンザキイオリ Remix:安宅秀紀)
26 革命バーチャルリアリティ(覚醒 ver.)(作詞・作曲:カンザキイオリ  Remix:安宅秀紀)
27 残響ヴァンデラー(覚醒 ver.)(作詞・作曲:かいりきベア Remix:安宅秀紀)

『喝采カーテンコール』アーカイブ配信:https://www.zan-live.com/ja/live/detail/10570
6月29日(日)21時まで 

■リリース情報
5thアルバム『悠久オーケストラ』
受注期間:2025年5月17日(土)~6月9日(月)13:00
受注URL:https://findmestore.thinkr.jp/blogs/features/valis_5th_cd_yuukyuu_live_kassai

<商品詳細>
・ソロジャケットバージョン(全6種)/各 2,500円(税込)
【内容】CD1枚、ブックレット、お話し会抽選券(初回予約版のみ)

・スペシャルボックス/5,000円(税込)
【内容】外装BOX、CD1枚、スペシャルブックレット、Mカード(5枚組)、オリジナルステッカー、お話し会抽選券(初回予約版のみ)

<収録楽曲>
1. 新約プレリュード(instrumental)(作曲:Qutabire)
2. 純情エトワール(作詞・作曲・編曲:香椎モイミ)
3. 幻想アンヴェール(作詞・作曲・編曲:tokiwa)
4. 共振ハートビート(作詞・作曲・編曲:廉)
5. 光芒キャロル(作詞・作曲・編曲:カミるれ)
6. Memoria(作詞・作曲・編曲:tokiwa)
7. Eyes on Me(作詞・作曲・編曲:Purukichi)
8. Mute Beat(作詞:ぽん 作曲・編曲:HIDEYA KOJIMA)
9. βlack Swan(作詞・作曲・編曲:ど~ぱみん)
10. JUICE(作詞・作曲・編曲:梅とら)
11. 廻転コースター(作詞・作曲・編曲:梅とら)
12. 灼熱モーメント(作詞:小野仁誠 作曲・編曲:Zexnum)
13. 誘惑ノンフィクション(作詞・作曲・編曲:廉)
14. 黄昏シミュレイド(作詞・作曲・編曲:他人事)
15. 再臨アントラクト(instrumental)(作曲:Qutabire)

「共振ハートビート」
Lyrics/Music/Arrangement:廉
【Movie】
Illustration:LOWRISE
Movie Director:koshikun
typographie:tuduri hiiragi

■タイアップ情報

『QuantanoID』キービジュアル

『QuantanoID(クオンタノイド)』
発売元:Gugenka
開発元:Gugenka/infiniteloop
対応機種:Meta Quest
キャラクターデザイン:popman3580
メカデザイン:Tosashin.

販売ページ:https://www.meta.com/experiences/24051722281108131/
公式サイト:https://quantanoid.com
公式X(旧Twitter)アカウント:https://x.com/QuantanoID

■関連リンク
VALIS公式X(旧Twitter):https://x.com/VALIS_Official
VALIS 公式WEB:https://valis.sinsekaistudio.jp/
IMAGINARY BASE AKIHABARA 公式WEB:https://imaginary-base.jp/

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