XGは“海外人気獲得”を同時に成功させた稀有な例 東京ドーム公演のチケット完売――女性からの支持と独自のコンセプトが鍵に
XGが日本国内のリスナーに評価されるようになった契機
「WOKE UP」に代表されるような先述の要素がXGのスタイルの基盤となり、以降は新曲をリリースするたびに「斬新だ」と注目を集めていく。だが、長らく海外を主軸にしたプロモーションを展開していたせいか、日本国内のリスナーにも評価されるようになったのはごく最近だ。当初は「単にファンのあいだで騒がれているだけじゃないか」と冷ややかに見ていた層もいただろうが、m-floの楽曲をサンプリングしたJ-POP風の「IYKYK」(2024年10月リリース)のヒットを機に徐々に見方が変わり、今春の『コーチェラ』への出演で彼女たちの魅力と実力を認識する人が急増したように思う。それゆえに「逆輸入で成功した」との取り沙汰されることがたびたびあるものの、事実は少し違うことを伝えておきたい。
『XG 1st WORLD TOUR "The first HOWL" FINAL Landing at TOKYO DOME』では、グループの代表曲はもちろん、メンバーがそれぞれの個性をアピールするソロコーナーが設けられることも予想できる。ボーカルのトーンがきれいなHINATA、歌の途中でパワーが必要なところに欠かせないCHISA、強い精神を持ちながらも繊細でスマートなJURIN、キャラクターや歌、ステージングの面で未知の可能性を秘めたHARVEY、天才的なグルーヴ感を持つCOCONA、グローバルな感性でグループの成長を後押しするMAYA、世界屈指のディーバになるとJAKOPS(SIMON)が確信するJURIA。そして、7人に共通して言えるのが“ラップの素晴らしさ”だ。
彼女たちは自身のYouTubeチャンネルを通じて、HIPHOPの名曲などを使ったビートジャックをよく披露しているが、英語、日本語、韓国語の3カ国語を駆使した緩急のあるフロウの評判がとてもいい。特にアメリカのアーティストやインフルエンサーにウケがいいようで、この点も海外でブレイクした理由のひとつかもしれない。東京ドームの公演はラップパートをじっくりと堪能できる機会にもなると思う。
以上のように、多彩な要素をジグソーパズルのように組み合わせてオンリーワンのスタイルを作り上げたXG。ドキュメンタリーシリーズ「XTRA XTRA」でJAKOPS(SIMON)は、このような理想を熱く語っている。
「スーパーボウルのハーフタイムショーに出るほどのグローバルアイコンになるのが目標です」
その日がくるのが彼の予想よりも早いと考えるのは、きっと私だけではないだろう。