RIP SLYME、Ryosuke Yamada、Jackson Wang、幾田りら feat. 鈴木雅之、tuki.、TK from 凛として時雨.…注目新譜6作をレビュー
幾田りら feat. 鈴木雅之「夢見る16歳」
今年アーティストデビュー45周年を迎える鈴木雅之のベストアルバム『All Time Doo Wop!!』収録曲のひとつ。原曲はシャネルズの有名なラブソングで、駆け出した少女の恋心と、それを受け止める大人の男性の気持ちを、甘いテノールと痺れるバリトンボイスの掛け合いで表現するものだが、このカバーは男女パートのどちらも幾田が担当。鈴木はバックコーラスのみで参加している。ゆったりしたメロディに乗って、少しはにかむ様子で〈ちょっとおマセ〉〈初めてのキッス〉などと歌う幾田がとても新鮮。ソロでもYOASOBIでも見られないものだろう。原曲のドゥーワップ色と、J-POP/シティポップ風に解釈されたアレンジの聴き比べも面白い。(石井)
tuki.「騙シ愛」
tuki.の新曲「騙シ愛」は、彼女の存在をさらに幅広い幅広いリスナーに届ける大きなきっかけになる楽曲だ。日曜劇場『キャスター』(TBS系)主題歌として制作されたこの曲のテーマの主軸は、“嘘”と“秘密”だろう。言うまでもなく、嘘をついたことがない人はいないし、誰しも秘密を持ちながら何気ない顔をして日々を過ごしている。そんな人間の業に向き合いながらtuki.は〈まだ未来はわからないままだけど/心、裏切らないで〉とリスナーに語りかけるように歌う。ここから感じられるのは、きれいごとを歌わないという覚悟、そして、決して希望は失いたくないという切なる願いだ。昭和の歌謡曲〜平成のJ-POPの雰囲気をまとった叙情系メロディ、現在のポップシーンにアジャストしたサウンドのコントラストも絶妙。(森)
TK from 凛として時雨「Synchrome (with suis from ヨルシカ)」
TK from 凛として時雨の5年ぶりのアルバム『Whose Blue』収録曲。本作には稲葉浩志、ケンモチヒデフミなど意外なコラボが収録されているが、この曲はヨルシカのsuisがゲストボーカル。ギリギリのハイトーンで迫るTKの歌声に、伸びやかなsuisの声が絡まる様はかなり新鮮だ。とはいえ楽曲自体は新機軸というよりもTK節そのもの。鋭く刺さる痛みや悲しさを、恐ろしくドラマティックに、スリリングなスピード感で描いていく。バンドサウンドに流麗なストリングスが絡むのは珍しくないが、後半には派手なホーンセクションも登場。そうなると祝祭ムードが出てくるのが通常だが、やはり曲は一貫して「鋭さ、痛み、悲しさ」を表している。これもまたTKならでは。(石井)

























