怒髪天が仲間たちと叫んだ『テイチクよ今夜も有難う』 一夜限りのスペシャルな祝祭、徹底レポート!

 印象的なシンセベースが鳴り響いた瞬間、歓声が沸き起こり、スターダスト☆レビューのボーカリスト・根本要が登場。「世界中を震撼させた超ヒット曲をまずは歌わせてください」という挨拶が添えられて「夢伝説」がスタートした。伸びやかに広がった瑞々しいハイトーンボイス。増子の歌声も加わりながら響かせるハーモニーが美しい。向かい合って笑顔を交わし、根本と上原子が実に気持ちよさそうにギターソロを奏でている。歌と楽器のあたたかなコミュニケーションが繰り広げられていた。声が高く、なかなか他者とのコラボレーションが難しいという根本は、「でも、増子は楽しそうに歌ってくれる」と喜んでいた。2023年5月に開催された『さよなら中野サンプラザ音楽祭』で共演して以来、増子と時々お酒を飲みに行ったりもする間柄となったのだという。和やかな笑いを何度も誘ったMCタイムを挟み、最後に届けられたのは怒髪天の曲「歩きつづけるかぎり」。根本の歌声が爽やかに加わるのを聴きながら、観客は拳を突き上げていた。

 「お待ちかねのSUPERなシークレットゲストをお呼びしたいと思います。『キャー!』ってなりますよ」といたずらっぽく増子が言い、登場したのはSUPER EIGHTの村上信五。「『キャー!』って言われんかったらどうしてくれるんですか(笑)」「みなさん、楽しそうに音楽をやっていらっしゃいますね。めちゃくちゃかっこいい。我々のグループもそうありたいなと思いました」と語った彼は、この一夜に心を動かされていたのだろう。SUPER EIGHTに過去楽曲提供をしたこともある怒髪天。「ドームを観に行った時に感動しました。5万人が俺たちが作った曲を歌ってたから。やっと一緒に歌えますね」(増子)、「初めてですよ」(村上)――共演の感慨を語り合ったのち、「あおっぱな」がスタートした。2012年にリリースされたこの曲は、作詞を増子、作曲を上原子が手掛けた。時々肩を組み合って歌う増子と村上は、まるで兄弟のよう。青春感に満ちたサウンドに合せて観客が打ち鳴らす手拍子が若々しい。フレッシュなエネルギーが会場を満たしていた。

 ゲストとの共演の連続を経て迎えた佳境。怒髪天のみのステージに戻り、「オトナノススメ」が披露された。〈オトナはサイコー!〉と力強く繰り返すこの曲は、ライブのクライマックス飾るのに本当にふさわしかったと思う。「何年向き合い続けても音楽は素晴らしくて楽しい」がさまざまな形で証明されていたのが、先ほどまで繰り広げられていたコラボレーションだったからだ。40周年を経て、怒髪天はますます〈オトナはサイコー!〉と自信を持って叫び続けていくのだろう。そんな未来を予感できて嬉しい気持ちになった。

 ラストはゲストがステージに集合。「夜霧よ今夜も有難う」が華麗にエンディングを飾った。幅広い世代が一緒に歌っているステージを見つめていると、なんだか夢のように思えてくる――。90年の歴史を誇り、多彩なアーティストが所属しているテイチクエンタテインメントだからこその共演だと実感させられた。そして、最後には株式会社テイチクエンタテインメント代表取締役社長・栗田秀樹氏が観客に挨拶。1本締めによって終演を迎えた。

 レアなコラボレーションの連続だったが、終始頼もしく輝いていた怒髪天。彼らが掲げる“JAPANESE R&E”(リズム&演歌)の柔軟性、揺るぎなさ、懐の深さも感じたライブだった。

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