Number_iの音楽を支えるSHUN(FIVE NEW OLD)が語る、「ギリギリのラインを攻めることができる」理由と濃密な一年

SHUNの目に映るNumber_iの姿

平野紫耀のスター性、神宮寺勇太の応える能力、岸優太の振り切る才能

FIVE NEW OLD・SHUN(撮影=林将平)

FIVE NEW OLD・SHUN(撮影=林将平)

――SHUNさんが作詞から作編曲まで手掛けた「Banana (Take It Lazy)」は、岸さんがプロデュースしていますよね。この曲は、岸さんとはどういうやり取りのもと完成したんですか?

SHUN:オーダーということではないんですけど、シンプルでチルい曲をやりたいという相談を受けて作り始めました。音数もハモりも極力少ないリラックスして聴ける曲という注文だったから、どこまでやってよいのか、やりたくないことはあるのか、どこをこだわりたいのかをヒアリングして、あとは自由に作らせてもらいました。英語と日本語のバランスだけはやりたい分量があったから、そこだけは守りつつ。

――こういうレゲエフィーリング、オーガニック、チルというキーワードが浮かぶサウンドはSHUNさんのなかでいちばん自然に出てくるニュアンスでもあるんですか?

SHUN:いやいや、そんなこともないですよ。僕のなかから自然に出てくるものって、自分でも何かわからなくなってきちゃっているので(笑)。なので、最近は誰かと何かをやると出てくるものに自分を足していく、というか。だから、モンちゃんやペコちゃんと一緒にやる時も、彼らのよさが出るにはどうしたらいいだろうと考えているし。

――きっとプロデュースチーム3人のなかでも、SHUNさんはさらに俯瞰で見る立ち位置なのかなと。

SHUN:どのポイントで見るかにもよりますけど、僕はバンドの時みたいに、俯瞰でまわりを見て、メンバーとスタッフと僕らがやりたいことで、それをどこまでやれるのか、ぼんやり模索する立場だと思うので。ただ、岸くんのプロデュース曲(「Banana (Take It Lazy)」)は、それとはまったく違う思考回路から生まれたものというか。自然に出てきたものではあるけれど、僕はコンセプトが生まれたら、それに付随したものが出てくるタイプなんだろうなと思いました。「GOAT」でラップの印象がついたところもあると思うんですけど、岸くんは歌も上手なんですよね。器用に振り切ってどっちもできるので、このソロ曲ではリラックスして気持ちよく歌いたいというのがあったのかなと思いますね。

――SHUNさんはNumber_iのツアーにも帯同されたとのことですが、どういう形で関わったんですか?

SHUN:外音など、メンバーが気にしているけど聴けない部分を担うというか。まだ彼らは完璧に言語化することができないから、通訳的な立ち位置で帯同しました。「こういう楽曲だから、こうしてほしい」と伝えるのって、やっぱりすごく難しいじゃないですか。スピーカーの数や音の鳴らし方も会場によって異なるなかで、ちょっとずつ改善していった感じですね。帯同することで気づくことがたくさんありましたし、彼らは演出も含めて音楽をちゃんと伝えようとしているから、僕のできる範囲のことをやりました。たとえば、メンバーのモニター(インイヤーモニター)を作ったりとか(笑)。

――スタッフとメンバーのハブになった。

SHUN:ずっと走り回っていました(笑)。会場中を走り回って音を聴いて大変でしたけど、iLYs(ファンの呼称)の皆さんにどう音楽が伝わっているか、これから何が必要なのか、もっとこうしたほうがいいんじゃないか、たくさん見えることがあったし、メンバーのレコーディング以外でのプロフェッショナルな姿を間近で見れたことは、とてもいい経験でした。

――ツアー中に気づく、彼らのさらなる成長はありましたか?

SHUN:パフォーマンスがよくなっていくことはもちろんなんですけど、ライブが終われば反省会をして、ブラッシュアップしていったり、考えることが多いんだろうなと思いました。プロフェッショナルの集団とライブを作っているからこそ、初日と最終日では別物かと思うくらいよくなっていましたから。あと、驚くのはスケジュールがパンパン、なおかつ連日公演をするなかで、次出る曲の制作をツアー中日の夜中から朝4時くらいまでやったんです。そんな忙しいなかでも「やりたいです」と言う3人のストイックさには脱帽ですよね(笑)。

Number_i - GOD_i (Official Music Video)

――あらためて、3人それぞれが持つ表現者としての特有の武器はどんなところにあると思いますか?

SHUN:紫耀くんは、天性のスター性を持っているけど、実は後ろに下がった時の黒子に徹する力がすごいんです。本当にメンバーのことが好きなんだと思うんですけど、「ここは絶対にジンが行ったほうがいい」とか「岸くん、ここはこうやったほうがかっこいい」とか、そういったプロデュース的な視点も持っている、黒子に徹する時には、スンッと自分をオフにできるんですよね。そこが武器なのかなと思います。

 ジンくんは、応えてくれる能力というか。あまり見せないんですけど、努力家だと思うんです。器用に応えてくれるし、紫耀くんや岸くんが「こうだよね」となんとなくやる先が見えてるなかでほかの部分を担える力を持っているし、自分が出るべきところはしっかり出ていく。バランス感覚がすごくよくて、何をするべきかを見て、そこにアサインするのに努力をしている人です。

 そして岸くんは、振り切ってやりきれる能力を持っている。ラップにしても、ペコちゃんとは違うものが出てくることが多いし、それが最適解なことが多い。自分のものにするというか、自分のなかのベストを自然と出せる人。予想を超えてくる感じがすごいんです。

――それでは、最後にFIVE NEW OLDとしての2025年の展望を語ってもらえたら。

SHUN:バンドは15周年ということもあり、祝福ムードが漂っていると思うんですけど、去年の活動ペースが緩やかだったぶん、自分としてはもう一段階上げたいというか。もちろん15年続けられることはすごいことですし、ファンの皆さんやスタッフさんに支えられてここまでやれているけど、そこに甘んじず、自分たちがギアを上げて引っ張っていかないと、この先続けることは難しいと思う。それこそプロフェッショナルな現場を間近で見てきたからこそ、今年一年は覚悟を持ってやり切りたいと思います。

 個人としては、未来のことを考えてもコロナ禍のような想像できないことが起きたりして、思うようにいかないこともあったりするので、目の前のことをただ真面目にやっていく。ご縁やまわりの人を大切にして、求められたらしっかり向き合ってやり切ることが未来に繋がっていくと思うので、今年も地道なところからコツコツやっていきたいなと思います。

■リリース情報

『FiNO is』
『FiNO is』

ベストアルバム『FiNO is』
2025年3月19日(水)発売

■公演情報
『15th Anniversary Show「FiNO is」』
2025年3月19日(水)恵比寿ガーデンホール
OPEN 18:15/START 19:00

■ツアー情報
『15th Anniversary Tour「FiNO is」』
6月1日(日)東京・新代田FEVER
6月7日(土)香川・高松DIME
6月8日(日)兵庫・神戸太陽と虎
6月14日(土)石川・金沢vanvanV4
6月15日(日)長野・長野LIVE HOUSE J
6月21日(土)宮城・仙台MACANA
6月22日(日)栃木・HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
6月28日(土)神奈川・横浜BAYSIS
7月6日(日)北海道・札幌PENNY LANE 24
7月12日(土)熊本・熊本B.9 V2
7月13日(日)福岡・福岡DRUM Be-1
7月25日(金)愛知・名古屋JAMMIN'
7月26日(土)静岡・静岡UMBER
8月2日(土)岡山・岡山YEBISU YA PRO
8月3日(日)大阪・心斎橋Music Club JANUS

FIVE NEW OLD オフィシャルサイト:https://fivenewold.com/
X(旧Twitter):https://x.com/fivenewold
Instagram:https://www.instagram.com/fivenewold

SHUN X(旧Twitter):https://x.com/shun_bassman
Instagram:https://www.instagram.com/shun_bassman

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