アニソン20年の軌跡:シーンの変遷を辿る(3)シリーズに継承される「DANZEN! ふたりはプリキュア」、影響力と魅力を再考

 一方、エンディング主題歌は、普段はごく普通の中学生である主人公たちの等身大の姿、ティーンエイジャーの女の子らしさに寄り添ったものが多い。〈地球のため、みんなのため/それもいいけど忘れちゃいけないこと あるんじゃない?!の!〉とトキメキに憧れながらもチョコを食べまくってしまう第1作のエンディング主題歌「ゲッチュウ!らぶらぶぅ?!」。続く第2作の前期エンディング主題歌「ムリムリ!?ありあり!!INじゃぁな~い?!」は、五條と児童合唱団のヤング・フレッシュによる賑やかな歌唱と打ち込み主体のハイテンションな曲調が楽しい楽曲で、イケメンの藤P先輩(藤村省吾/CV:岸尾だいすけ)に恋をするも、奥手で想いが伝えられないでいるなぎさの心情とリンクするものになっている。しかし、そこで悶々とするのではなく終始カラッとした調子なのが、なぎさらしくもあるし、子供たちにポジティブな気持ちになってもらうことを最優先で意識している『プリキュア』シリーズらしさに繋がっているのではないだろうか。

 なお、第2作の後期エンディング主題歌「ワンダー☆ウィンター☆ヤッター!!」を含め、『ふたりはプリキュア』と『ふたりはプリキュア Max Heart』の主題歌はすべて、青木久美子が作詞、五條真由美が歌唱を担当。青木はシリーズ第20作『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023年)のオープニング主題歌「ひろがるスカイ!プリキュア ~Hero Girls~」をはじめ、シリーズ近作の楽曲にも引き続き携わり、五條も大人に成長したプリキュアを描いた意欲作『キボウノチカラ~オトナプリキュア'23~』でキュア・カルテットのメンバーとしてエンディング主題歌「雫のプリキュア」を歌唱したほか、昨年1月に横浜アリーナで開催された20周年ライブ『全プリキュア 20th Anniversary LIVE!』をはじめ、『プリキュア』関連のライブイベントに出演。変わらぬ歌声とエネルギッシュなパフォーマンスで後輩シンガーたちの先に立って模範を示している。ふたりが「DANZEN! ふたりはプリキュア」に込めたプリキュア魂は、今もシリーズに継承されて息づいているのだ。

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