Mrs. GREEN APPLE、Vaundy、米津玄師、King Gnu……楽曲の世界観を際立たせる“SE(効果音)”の魅力
「コロンブス」と同じく、曲の冒頭でSEが使われているのが米津玄師の「毎日」だ。繰り返される日々のなかで頑張っているはずなのに報われない虚無感を歌い、〈この日々を/まだ愛せるだろうか〉と問うこの曲は、電車の通過音で幕を開ける。「毎日」という曲名も相まって、聞いていると通勤/通学時の風景がイメージされ、“日常”や“現実”といった言葉が思い浮かぶだろう。人によっては少し憂鬱な気分を抱いたところで、その気持ちを代弁するように〈毎日毎日毎日毎日 僕は僕なりに頑張ってきたのに〉というフレーズが続く。電車の音が入口になっていることが、この曲への共感を高める役割を果たしているのだ。
King Gnuの「ねっこ」には時計の針の音が取り入れられ、壮大さを演出している。70年にわたる物語を描いた『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)の主題歌という点を踏まえても、この曲において“時間”は大きなキーワードだ。曲中でも、〈時の歩幅が大き過ぎるから〉〈時計の針は進み続ける〉〈時の風が攫ってゆく〉など、時間の経過を表す歌詞が頻出する。秒針の音も一カ所だけでなく随所に散りばめられており、曲全体を通して時が刻まれていく様子が想像できるだろう。花の根が時間をかけて伸びていくことを表しつつ、〈何十年先も咲き続ける花〉というフレーズを際立たせている。
こうしたSEからは、曲の世界観を演出するためのアーティストの細かい工夫が感じられる。楽曲を聴く際、歌詞やメロディだけでなく、細部まで耳を傾けてみると面白い発見があるかもしれない。

























