高橋優が提案する“生きづらさ”を軽減する方法 「自分の免疫力が高ければ絶対に負けない」

「僕らの幸せというものをあらためて問いたかった」

ーー1月22日に高橋さんのニューアルバム『HAPPY』がリリースされます。そこには、今のオリゴ糖のお話のように、人生を“ハッピー”に過ごすための様々なヒントが詰め込まれている印象です。「HAPPY」というタイトルを掲げた裏にはどんな思いがあったのでしょうか?
高橋:こじつけではなく、ここまでの話題にちょっと繋がってくる気がしてるんですけど。昨年は1月1日から大きな地震があったし、ちょっと記憶から遠ざかりつつあるけど、少し前までは新型コロナウイルスが蔓延し、いろんなことを考えさせられる日々が続いていましたよね。さらに、さっきの話じゃないけどSNSのような自分の幸せを削ぐ成分が多い空気感が今の時代には漂っているような気がしていて。だからこそ僕は、その中にある僕らの幸せというものをあらためて問いたかったし、同時に僕なりに感じていることを歌ってみたい気持ちになったんです。それでつけたのが『HAPPY』というタイトルで。アルバム曲が生まれる前に、今回はまずこのタイトルを決めたんですよね。
ーーものすごくストレートな、いいタイトルだと思います。
高橋:僕は“HAPPY”という単語を使いましたけど、ポジティブなことに繋がるワードなら何でもいいんですよ。“ヤバい”とか“グルーヴ出てんじゃん”とか(笑)。
ーー“エモい”とか。
高橋:そうそう。“キュンとした”とかね。あなたにとってのハッピーに通ずる言葉ならなんでもいいんです。このアルバムを聴いてそういう気持ちになって欲しいっていうことではなく、その気持ちを忘れがちになってしまうのは危ない気がしたので、それを今回は歌っていこうかなっていうことですね。
ーー曲ごとに様々な幸せの形が描かれていますが、アルバムのオープニングを飾る「明日から戦争が始まるみたいだ」はかなりインパクトの大きな1曲だと思います。
高橋:できるだけ視点を変えた曲を入れていきたいなという思いの中、この曲はギターをジャカジャカ弾きながら即興で作ったんですよ。やっぱりね、今日と同じ明日があると思いすぎている人が、自分も含めて多いような気がしたんですよ。〈安心に寝そべって/暇つぶしに誰かと比べて/どうでもいいことで頭かかえてたのに〉という歌詞があるんですけど、もし戦争が始まってしまったら、それこそSNS上で誰が何て言っていたかを気にしている場合じゃなくなるわけじゃないですか。情報源としてSNSを活用することはあったとしても、誰が正しくて誰が悪か、みたいな論争は真っ先にカットですよね。そんな前提を言われてもしょうがないという意見もあるとは思いますけど、実際に戦争が始まっている国が世界中にあるわけなので、個人的には勝手な危機感がすごくある。だから、幸せの視点みたいなことを考えながら作っていきました。我々は幸せの上で悩み、泣いていたのかもねっていう。
ーーあとは高橋さんのメジャー1stアルバムと同タイトルの「リアルタイムシンガーソングライター」という曲もすごく刺さりました。
高橋:去年、エディンバラに行ったんですけど、帰りの飛行機がアフガニスタンの上空を飛んだんですよ。数年前まで大変な状況だったアフガニスタンの上を今は飛べるんだなと思いつつ、そこでキャビンアテンダントの方に「ビーフorチキン」と言われたときにいろんなことを思ったんですよ。信仰する神様の違いでビーフやポークを食べない人もいるよな、戦争はそういった宗教の違いが引き金になることもあるよな、みたいなことを。そんな経験を元に作っていった曲です。

ーー日常の中にある些細な幸せを歌う牧歌的なパートからスタートする曲ですけど、突然不穏な流れになり、ヘビィでハードなロックになだれ込んでいく展開が印象的ですよね。その構成によって、些細な幸せの大事さを歌いつつも、それがシニカルに聴こえてくる感じもあって。そこがすごくおもしろいなと。
高橋:あー嬉しいですね。ありがとうございます。僕の中ではまだ答えにまでは至っていないんですけど、幸せというものを考えたときに、矛盾を楽しめたら最強だなという思いがあって。人はやっぱり矛盾を怖がるものじゃないですか。(目の前のICレコーダーを指さしながら)これの録音ボタンを押したのに、まったくインタビューが録音されていなかったとしたら、こいつらに矛盾を感じますよね。
ーーはい。そしてめちゃくちゃ怖いです(笑)。
高橋:そう、怖いんですよ、矛盾って。で、極論としては、その矛盾に耐えがたい人たちが戦争をするんだと思うんです。だから僕は、あらゆる矛盾を楽しむことができたら最高だなと思う。かといって自分自身が矛盾を楽しめているかと言ったらそうじゃない。やっぱりイヤなんですよね。だから、この「リアルタイムシンガーソングライター」という曲で僕が歌わんとしたことは、まさにおっしゃる通りで、日常の中にある些細な幸せを感じる瞬間を否定したくないと思いつつ、その一方ではそれに満足したくないという思いがあるという自分の中の矛盾。その矛盾をリアルに、そのままに歌ったという意味で、このタイトルになったんです。
ーーこれもまた聴く人ごとに受け止め方が変わってきそうな曲でもありますよね。
高橋:うん。「これは幸せな歌だな」と思って聴いてもらっても全然いいですし、逆に「これは幸せに到達してない人の歌だ」と感じてもらってもいい。サウンド的にも僕の中にある二面性、“黒橋優”と“白橋優”を出せたという意味でも、まんま自分を表せた曲になったと思います。実はこの曲、「あきたこまち40周年記念CMソング」になっていて。CMでは冒頭の柔らかい部分を使っていただいています。
ーーCMを見たことがある人は、アルバムで楽曲の全貌を知ったら驚くでしょうね。
高橋:そうですね。CMだけ見た人は、「高橋優、丸くなったな」と思うかもしれない(笑)。でもまあ、あきたこまちさんが喜んでくれれば僕としては嬉しいことなので。気になった方はアルバムで聴いてみてください。

ーーそして、アルバムリリースの前にはTHE FIRST TAKEへの出演が決定しました。この取材時にはまだ収録されていないということですが、高橋さんの代表曲である「明日はきっといい日になる」を歌われるそうですね。今年でリリースから丸10年を迎える「明日はきっといい日になる」ですが、ここで歌われていることを今の高橋さんはどう感じますか?
高橋:この曲で歌っていたことに対し、今回のアルバムでちょっと抗ってる感じがありますよね。“明日はきっといい日になる”と歌ってた人が、“明日から戦争が始まるみたいだ”という曲を作ったわけですから。あと、アルバムのラストに収録した「青春の向こう側」という曲では“明日”ではなく“今日”にフォーカスを当てていますし。「明日はきっといい日になる」がなかったら今の自分はいなかったと思うからすごく感謝しているし、これからも大事に歌い続けていきますけど、だからこそ今の自分としてそこへの回答みたいなことをどんどん歌っていきたいという思いも強くあるんです。だからTHE FIRST TAKEで僕のことを知ってくださった方にはぜひアルバムも聴いて欲しい。そういう方たちにとっては、今回の『HAPPY』が高橋優のファーストアルバムになると思うので。
ーー2025年はメジャーデビュー15周年を迎える節目の年でもありますね。
高橋:はい。振り返れば、いろんなことを考えさせられた15年でしたよね。メジャーデビューの翌年には東日本大震災がありましたし、コロナや熊本の地震など、歌を諦めなきゃいけないような天変地異、出来事が世の中で起こる中、ずっと歌い続けられたことは本当にありがたいことです。これだけいろんなことがあっても歌えてきたという事実は、今後も並大抵のことでは屈することなく歌っていけるのではないかという自信にも繋がっています。去年に厄年というネガティブなものがひとつ終わったので、ここからまたどんどん広がっていくんじゃないかなっていう期待もありますね。今の僕は勝手にワクワクしてます(笑)。

チェキプレゼント
高橋優のサイン入りチェキを1名様にプレゼント。応募要項は以下の通り。

<X(旧Twitter)からの応募>
リアルサウンド公式Xをフォロー、本記事の投稿、または応募投稿をリポストしていただいた方の中から抽選でプレゼントいたします。
<Instagramからの応募>
リアルサウンド公式Instagramをフォロー、本記事の投稿にいいね&コメントしていただいた方の中から抽選でプレゼントいたします。当選者の方には、リアルサウンドXアカウント、もしくはInstagramアカウントよりDMをお送りさせていただきます。
※非公開アカウント、DMを解放していないアカウントからの応募は抽選対象外となりますのでご注意ください。
※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
※チェキはランダムでの発送となります。指定はできません。
※当該プレゼントは、応募者が第三者へ譲渡しないことが応募・当選の条件となります(転売、オークション・フリマアプリ出品含む)。譲渡が明らかになった場合、当選は取り消され賞品をお返しいただく場合がございます。
<締切:2月7日(金)>






















