Nulbarich、超満員の武道館で刻んだ活動休止前ラストライブ 観客と共に8年の軌跡を辿った一夜を振り返る

 そして誰もが待っていた「It’s Who We Are」である。冒頭から入ってくるキャッチーなカッティングの威力に改めて関心した。雨粒のような鍵盤が中空を流れ、ウッドベースを含んだ複数の低音が無限に広がっていくようなアンサンブルは、この日の布陣だからこそ生まれたものだろう。身体が浮き上がるんじゃないかというほどの躍動を感じたのだ。そしてその勢いをさらに加速させたのが四つ打ちの「Kiss You Back」である。気づけば会場中で起こるクラップがこの曲のパーカッションになっており、海の中にいるような青白い映像もバッチリ。どこまでも晴れやかな気持ちにさせてくれる時間である。

 終盤でとりわけ印象的だったのが、リリースしてからずっとこのバンドのアンセムであり続けた「Almost There」の間奏である。メンバーの姿が順々にLEDで映し出されていき、後のMCではまさかのメンバー紹介も行われた。彼らのライブに足繁く通ってきた人たちにとって、何よりも感動的な瞬間だったと思う。

 8年の活動の中で、Nulbarichは三度武道館のステージに立った。一度目はJamiroquaiのサポートアクトとして、二度目は2作目のアルバム『H.O.T』のリリースと、3作目のアルバム『Blank Envelope』発売のちょうど真ん中辺り、疾風の如き勢いでシーンを駆け上がっていった時期に。そして三度目が今回、その活動の総決算としてである。

 サプライズリリースされたアルバム『CLOSE A CHAPTER』は、Nulbarichからの置き土産だろう。だが、「終わりじゃない」と宣言した通り、そこに収録された楽曲もいつかライブで聴ける日が来るのかもしれない。最後は会場中からコーラスが聴こえてきた「Sweet and Sour」を歌い終演。この音楽の合言葉は〈ラフにタフにgo〉。旅は続くのだ。

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■Nulbarich『CLOSE A CHAPTER』at BUDOKAN
2024年12月5日(木)日本武道館

<セットリスト>
01. TOKYO
02. Stop Us Dreaming
03. NEW ERA
04. Handcuffed
05. Backyard Party
06. Lucky
07. SMILE
08. Cigarette Butt
09. Spread Butter On My Bread
10. JUICE
11. In Your Pocket
12. Super Sonic
13. STEP IT
14. Liberation
15. Zero Gravity
16. Follow Me
17. VOICE
18. It's All For Us
19. Floatin'
20. It's Who We Are
21. Kiss You Back
22. A Roller Skating Tour
23. Almost There
24. Skyline
25. Sweet and Sour

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