Official髭男dism、TOMOO、Kroi、go!go!vanillas……IRORI Recordsの2024年を総まとめ 音楽性がさらに拡張した1年
a子
今年新たにレーベルの仲間に加わったもう一組がシンガーソングライターのa子だ。2月に配信シングル「惑星」でメジャーデビューした彼女は、2020年代の若者の間で共振するダークポップにおけるアイコンになり得る存在。インディーズ時代から自身で楽曲をプロデュース。クリエイティブチーム・londogとMVを制作するなど、そのセルフプロデュース力はデビュー後、スケールを増している。前出の「惑星」は彼女の持ち味であるウィスパーボイスがトレンドのUKガラージに乗り、不思議な中毒性のある曲。同曲をはじめアルバム新曲の「good morning」などを収録した1stフルアルバム『GENE』を7月にリリース。梅田CLUB QUATTRO、恵比寿LIQUIDROOMでのワンマンライブはどちらもソールドアウトした。また、『SUMMER SONIC 2024』“RADAR:Early Noise”ステージにも出演し、新たなリスナーにアピール。そして11月にニューシングル「ときめき」をリリースし、2025年はキャパシティを拡大したツアー『LOVE PROPHET』を開催する。
Homecomings
10年以上の歳月を共にしたドラムの石田成美が2月に卒業。石田との最後のレコーディングとなった映画『三日月とネコ』の主題歌「Moon Shaped」が、USEN J-POPチャート1位を記録するスマッシュヒットに。その後、サポートドラムに元CHAIのYUNAユナ、Laura day romanceの礒本雄太がジョイン。Laura day romanceやBROTHER SUN SISTER MOON、kurayamisakaなど共通するセンスを持つ新進バンドを迎えた対バンツアーや、ストリングスカルテットを迎えた“Chamber Set”による公演など、ライブの新しいアプローチも見せている。そして11月には3人体制になって初のアルバム『see you, frail angel. sea adore you.』をリリース。「Moon Shaped」や亀田誠治をプロデューサーに迎えた「slowboat」をはじめ、温かさとオルタナティブなバンドサウンドが見事に融合した作品に。本作を携えたツアーも12月20日より地元京都からスタートする。また、海外関連ではリリースから1年以上経過した「ラプス」がフィリピンでバイラルヒット中だ。
スカート
2024年のスカートはこれまで以上に映画主題歌への書き下ろしでソングライターとしての才能を見せ、また、他アーティストとのコラボという意味では新たな境地を示した1年となった。松居大悟監督の映画『不死身ラヴァーズ』では主題歌「君はきっとずっと知らない」のみならず劇伴も担当。また、拡張を意味するタイトルを冠したEP『Extended Vol.1』ではスカートらしいバンドサウンドでadieuと共演(映画『水深ゼロメートルから』主題歌「波のない夏 feat. adieu」)したほか、澤部渡とは旧知の漫画家・真造圭吾の人気作品『ひらやすみ』コラボPVに書き下ろした「君に会いに行こう feat.井上花月(Laura day romance)」、アレンジに在日ファンクの村上基を迎え初めてビッグバンドサウンドに取り組んだ「地下鉄の揺れるリズムで feat.村上基(在日ファンク)」、さらにはSPECIAL OTHERS、パソコン音楽クラブとコラボ。12月4日には「すき家」の新TVCM「牛すき鍋定食“冬の算数”篇」に提供した「火をともせ」をリリース。一気に新曲に触れられる嬉しい年となった。
阿部真央
移籍2年目となる今年はデビュー15周年を記念したオリジナル11thアルバム『NOW』を8月にリリース。移籍後初のオリジナルアルバムでもあり、事務所を独立し自分が表現したい音楽を見つめ直した本作は、海外のR&Bに接近した発声などもありつつ、音楽的には70~80年代のロックやカントリーの要素を取り入れた自由度の高い楽曲が並ぶ。先行配信された「進むために」は別冊マーガレット連載中の『君を忘れる恋がしたい』のイメージソングとして書き下ろした新曲。爽快なロックチューンだが、アコギメインの抜けの良い音像が今の気分に合う。また、「Somebody Else Now」ではアレンジャーに新鋭のプロデューサー・knoakを迎え、素朴なアメリカンロックを洗練されたアレンジで聴かせるなど、海外のポップスと肩を並べる完成度だ。15周年を記念したSolo / Zeppツアーを完走し、来年1月には東京ガーデンシアターでのワンマンを控えているが、その間にも小西遼のソロプロジェクト・象眠舎のライブにゲスト出演するなど、新たな交流も見せている。
SOMETIME’S
2月に3rd EP『a part EP』をリリースし、その後2年ぶりのワンマンライブも開催。同作はサウンド的にも歌詞の内容としてもSOMETIME’Sの持ち味を1曲1曲突き詰め、ブラッシュアップした6曲を収録している。ネオソウルやファンクを軸にシャープなビート感を持つ「エンドロール」、AORとスペイシーな要素が融合した「Wonder of Love」のような曲もあれば、不撓不屈の想いをボーカルのSOTAが描いたスケール感のある「不撓」なども収録し、今の彼らの入門編ともいえる内容に。今年はライブが少なかったので、ぜひ2025年はライブにも新曲にも期待したいところだ。
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Replay of IRORI Records 2024
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