EXILE TAKAHIRO、初のクリスマスソング「Winter Song」に込めた冬の美学 自身にとっての“EXILE魂”も

EXILE TAKAHIRO、冬の美学

 昨年ソロデビュー10周年を迎え、今年でEXILE加入から18年になるEXILE TAKAHIROが、ソロ初となるクリスマスソング「Winter Song」を12月5日に配信リリースする。クリスマスイブの12月24日には、トラックタイトルが冠された『EXILE TAKAHIRO CHRISTMAS LIVE 2024 “Winter Song” ~Love~』を開催する。リスナーが思わず溶け入りたくなるような楽曲世界はどのような過程で生みだされたのか。さらにEXILE加入20周年に向けて今、どんなことを考えているのか。EXILE TAKAHIROにとってのEXILE魂まで、率直に語ってもらった。(加賀谷)

「開催地ならではの思い出ができた」2024年を振り返って

――2023年は、1stシングル「一千一秒」でソロデビューして10周年でした。節目の年からさらにこの1年を振り返ってどうですか?

EXILE TAKAHIRO(以下、TAKAHIRO):去年のソロ10周年、EXILE加入17周年でようやくソロ武道館ライブを行うことができました。その間コロナ禍もあり、長いようで短い時間軸を感じました。ファンの皆さんにお祝いしていただきながら、まだまだ旅の途中だなという気がして、むしろ新たなスタートの年になりました。改めてこの10周年の節目を機に、2024年はもう少し自分の音楽やソロ活動を楽しんでもいいのかなという感覚がまずありました。

――2006年9月22日にEXILE加入が発表された『EXILE Vocal Battle AUDITION 2006 ~ASIAN DREAM~』最終決戦から数えると、『EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2024 “GLORY”』は3回目の武道館の舞台でしたね。

TAKAHIRO:EXILE本体の動きやスケジュール感との兼ね合いの中でソロをやらせていただける限り、10年をひとつの自信にしてやりたいことの幅を広げた2024年は、Zeppツアータイトルの通り、“FULL THROTTLE”でした。たとえば、今までならバランスを考えながらセットリストを組んでいるところを、今回はそのバランスを無視して、バラード少なめに全開でいきました。しかもファイナル以外はソロ初のZeppツアーで、GLAYのHISASHIさんがリーダーのロックバンドACE OF SPADESでのツアー以来でした。北海道公演では、まさに「HOWEVER」をカバーさせていただき、北海道のファンの方々には、地元を愛し、愛されるバンドであるGLAYのライブに来たような感覚で喜んでいただきました。

 回らせていただいた全地域で盛り上がり方も雰囲気も違いました。それぞれファンの皆さんに何が聴きたいかアントケートをとり、この地域だったらこの楽曲というランキングがわかりやすかったことも面白かったです。ひとつのツアーというより、ひと会場ひと会場思い出深く回らせていただけて、その開催地ならではの思い出ができた楽しいツアーでした。皆さんから見える僕の姿、僕から見える皆さんの景色など、新たな世界がお互いに見えたと思います。

――具体的にどのように景色が違いましたか?

TAKAHIRO:会場がZeppだと客席との距離が近いこと、他の会場にはない独特の雰囲気の箱の中、足を運んでいただいた方としか味わえないアットホームな雰囲気がありました。僕のライブといえばバラードが聴けて落ち着ける時間があるわけですが、最初、オールスタンディングという席がないところでぎゅうぎゅうになってずっと盛り上がっていただくことに不安を覚えてらっしゃる雰囲気が伝わりました。そうした不安要素も感じて、僕も不安になっていたんですけど、いざ始まると、LDHを応援してくださる方々は隣前後の方々に迷惑をかけないようにマナーを守り思いやりがある方が多い。スタンディングにパンパンに入っていただいているにもかかわらず、居心地悪そうにしてる方もあまり見かけず、ファンの皆さんのおかげでいい環境が作れ、最終的に安心して音楽をお届けできる新たな自信を頂けたZeppツアーでした。

「Winter Song」は「当初はクリスマスソングにしようという気持ちが全くなかった」

――去年は12月26日開催で忘年会を兼ねていた『EXILE TAKAHIRO CHRISTMAS LIVE 2023 ~EXPLORE~ 忘年会』に続いて、今年も『EXILE TAKAHIRO CHRISTMAS LIVE 2024 “Winter Song” ~Love~』を本命の12月24日、クリスマスイブに開催予定です。見どころなど含め、今年はクリスマス仕様がより強くなりますか?

TAKAHIRO:アメリカだとホリデーシーズンが長く続きますが、日本では12月24日と25日が過ぎた途端にクリスマスモードが終わりますよね。プレゼントを渡したら街からイルミネーションも消えて、一気に年末年始モード。なので一応保険として“忘年会”というサブタイトルを付けてクリスマス気分を味わいながらもその年を振りかえたらというコンセプトだったんです(笑)。

 今年はクリスマスイブに開催できるので、クリスマスっぽさを全面に楽しんでいけたらと思います。『“FULL THROTTLE”』と武道館も2days立たせていただけたメモリアルなライブをたくさん開催することができた今年のソロとしてのラストはオーガニックに、より音楽的に粒立った音楽をお届けできたらと今、目論んでいるところです。前回同様シーケンスはなし。楽器の音楽とコーラスと歌一本で素敵なクリスマスをお届けできたらと思っています。

――EXILEの曲でいうと夏のイメージが強い気がするのですが。

TAKAHIRO:毎回ライブのセットリストを決めるとき、これまでの曲を総ざらいするんですが、意外と夏曲は数曲しかないんですよ。あれだけ色黒で夏のイメージが強いグループですが、「ただ…逢いたくて」や「Lovers Again」など、名曲も冬曲が多いです。メンバーが色黒であることや、それからスタジアムツアーを回っていたのが夏だったので、夏のイメージを持っていただいているのかもしれません。メンバーは案外夏男ではなく、冬男が多く、年末の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)や『輝く!日本レコード大賞』(TBS)など年末稼働という意味でも冬に集まることの方が多いです。夏はツアーがない限りは各々楽しんでいると思います。

――確かにイメージで“EXILE=夏”と抱いてしまっているだけかもしれません。歌唱する時も冬のイメージを思い浮かべる冬曲の方が歌いやすいですか?

TAKAHIRO:全体的に冬の方がロマンチックですよね。夏ももちろんロマンはたっぷりですけど、どちらかというと、恋心のときめきワードは冬の方が抱きやすいというか、美を歌いやすい気がしますね。

EXILE TAKAHIRO / Winter Song (Music Video)

――12月5日に配信リリースされた「Winter Song」は、どんな冬の曲にしようとイメージしましたか?

TAKAHIRO:ソロとしては初のクリスマスソングですが、デモ曲を聴いた当初はクリスマスソングにしようという気持ちが全くなかったんです。僕は自分の中で世界観を描けるいいタイミングを大切にしているのですが、デモの時点では洒落たアルバム曲になるのかなと漠然と思っていました。曲調もたとえばフランス映画に近いような、起承転結とはまた違う、絵を見せていく映画で流れてきそうな楽曲だと思ったので、なんとなくの歌詞だとボヤッとした曲になりそうだなと感じました。こういう曲だからこそ、パンチラインがある歌詞がいいなと思ったとき、わかりやすいテーマで冬曲にしようと思いつきました。

――そこに冬の美学が重なるわけですね。

TAKAHIRO:そうなんですよね。今年の武道館公演を終えた夜、「DESTINY」という曲をリリースしたんですが、実はそのジャケ写を撮ったスタジオで「クリスマスライブ前に皆さんに冬曲をお届けできれば、それがクリスマスプレゼントになるな」と思ったことがヒントになったんです。その日から「Winter Song」の歌詞を数日で書き上げました。「これはいいぞ」と手応えがあり、自分の中でもういけるぞと満足してしまってスタッフさんに展開するのを忘れて送ったつもりになってました(笑)。思いきり冬曲にしたらどうなるだろうと試して歌詞を書いてみたところ、全部が同時進行でいい方向に面白く転んだ曲でした。

――作詞は頭から書いていったんですか、それともフレーズを思いついたところを膨らませていったんですか?

TAKAHIRO:いつもサビから作ることが多いんですが、今回は頭から書きましたね。口ずさみながら書いて物語の流れでバァッと書けた曲です。クリスマスライブをイメージしつつ、その瞬間に皆さんにどういうプレゼントができるか、どういう空間作りができるかと思ったとき、毎年クリスマスはやってくるのに、「いやぁ今年はクリスマスをたっぷり味わえたな」と思える瞬間は意外と少ない。プレゼント、シチュエーション、音楽や時間、いろんな条件が揃ってようやく自分の脳裏にクリスマスの思い出が焼きつくじゃないですか。その第一条件ってなんだろうと考えたとき、やっぱり一緒にいる人なのかなと思うと、ファンの皆さんが足を運んでくださるクリスマスイブのライブステージには必ず僕がいるわけですから、一緒に過ごせる。その空間を一生の思い出にしてもらえるような演出にできたらなと思っているので、今はセットの雰囲気や演出をどこのイルミネーションを見るよりも満足してもらえるようなステージ作りができたらいいなと思っています。そういう意味でこの曲を聴いてもらい、ライブにきていただいて、ようやく脳裏にこびりつくような思い出になるのかなというところを踏まえて書かせていただきました。

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