岸谷五朗&寺脇康文、願いを胸に異業種エンターテイナーらと作り上げた『Act Against Anything VOL.3』

岸谷五朗と寺脇康文が旗振り役を務めるチャリティイベント『Act Against Anything VOL.3「THE VARIETY 29」』(以下、『AAA』)が、12月1日に東京・日本武道館にて開催された。
1993年に『Act Against AIDS「THE VARIETY」』としてエイズ啓発を目的にスタートした本イベント。「世界エイズデー」の12月1日に合わせて2018年まで開催されたのち、2020年からはエイズに限定せず、貧困、難病、教育問題など多くの困難に立ち向かう子供たちへの支援を目的に『Act Against Anything』と名称をあらため、開催されてきた。今年も例年どおり、岸谷と寺脇をはじめ、趣旨に賛同した多数のアーティスト/著名人が出演。そうそうたる面々が入れ替わり立ち替わりステージに登場し、華やかなパフォーマンスを繰り広げた。
トップバッターを務めたのは発起人の岸谷と寺脇。事務所の先輩でもあるサザンオールスターズの「ボディ・スペシャルII (BODY SPECIAL)」で勢いよく幕を開けると、岸谷は武道館を埋め尽くしたオーディエンスへ向けて「30年目のチャリティに突入しました。みんなのおかげです。今日はいろんな異業種の方がたくさんきています。最後まで、すべてに盛り上がってください。このエネルギーを被災地、戦地に届けましょう!」と呼びかけた。


続いて大黒摩季が代表曲メドレーと「ら・ら・ら」で盛大なシンガロングを巻き起こして広大な武道館を一丸にまとめあげると、小関裕太は斉藤和義の名曲「歌うたいのバラッド」を熱唱。『AAA』に29回連続で出演を続けている爆風スランプのサンプラザ中野くんとパッパラー河合は、代表曲のひとつである「大きな玉ねぎの下で」と26年5カ月ぶりとなる新曲「IKIGAI」、さらに岸谷がプロデュースを務め、中野くんが作詞を手がけた『ウルトラマンティガ』エンディング主題歌の「Brave Love, TIGA」を岸谷、寺脇、猪塚健太、新原泰佑も交えて披露し、会場はすっかりお祭り騒ぎに。


かと思えば、中村雅俊が「恋人も濡れる街角」と「ふれあい」で瞬く間に場内の空気をムーディに染め上げるなど、文字どおり“VARIETY”=バラエティ豊かなめくるめくショーが展開されていった。



その後、ステージは『SONG WRITERS』や『next to normal』といったミュージカルのコーナーに移り、中川晃教、屋良朝幸、武田真治、藤林美沙、甲斐翔真らが熱演。城田優は「夢の種〜I’ll be by your side」で華を添えた。
次に登場した秋山竜次(ロバート)は、この日唯一のお笑い芸人という立ち位置でもあり、ひときわ異質なステージを展開する。“変梅ショー”なる中国の伝統芸能・変面を模して梅宮辰夫のお面でオチをつけるネタに続き、公共施設の運営母体が都なのか区なのかで揺れる思いを描写した「TOKAKUKA」を岸谷と、〈私は体重9kg落としたい〉などの卑近な願望を切々と綴る「願い」といった楽曲を岸谷、寺脇と3人のユニットとして披露した。
そして、ステージは『AAA』名物の“地球ゴージャス”コーナーへ突入。『X day』『クラウディア』『クザリアーナの翼』といった舞台の楽曲が次々に披露されていき、『The PROM』楽曲では葵わかなと三吉彩花が息の合った歌声を響かせる。さらに『The Love Bugs』から「伝説の雄」、『星の大地に降る涙』から「愛すべき未来へ」が届けられ、まさにゴージャスなショー空間が形作られた。
この日最後のアクトを務めるのは、.ENDRECHERI.(堂本剛)だ。彼は「僕が音楽を作るうえで込めている思いというものが3つあります。1つは命で、2つ目は平和、そして3つ目は愛です」と語り、その3テーマを体現する3曲を演奏すると告げた。まずはファンキーな16ビートのワンコードでバンドメンバーたちがインプロビゼーションを応酬し合うアドリブセッションが約10分にわたって繰り広げられ、続いてピアノバラード「LOVE VS. LOVE」、最後にシンガーソングライターとして2002年に発表された「街」のリアレンジバージョン「Machi....」をパフォーマンス。圧倒的な存在感でワンマンライブさながらに武道館の空気を完全掌握してみせた。


エンディングでは全出演者がステージに集結し、『AAA』オリジナル曲の「一人じゃないから」を大合唱。ピースフルなムードに包まれてその幕を閉じた。

