Homecomings『see you, frail angel. sea adore you.』レビュー:4人のドラマーを迎えた新境地、仲間との別れの後も続く旅

 そんななか、エレクトロニカ的なインスト曲「(all the bright places)」で空気を変えて、アコースティックギターに導かれる「torch song」、礒本雄太が参加した「Tenderly, two line」と美しいメロディをじっくりと聴かせる曲が続く。そして、「Tenderly, two line」とミックスするように「Air」へと繋がっていく巧みな構成は、まるでライブを観ているようだ。「Air」はギターを入れず、エレクトロニックなビートで〈月明かりしか射さない〉幻想的な風景を浮かび上がらせる。そして、ラストナンバー「kaigansen」は、ピアノの伴奏に時折、グリッチノイズが混ざる音響的なトラックに畳野の歌声が漂う。

 バンドは石田の脱退をマイナス要素にせず、4人のドラマーと打ち込みを導入することで多彩なサウンドに挑戦。ライブで鍛え上げられた演奏と丁寧に作り込まれたプロダクションでバンドの新境地を切り開いた。歌詞を見るとところどころに海のイメージが織り込まれているが、それは歌詞を書いた福富、そして、同じ土地で生まれ育った畳野が10代の頃に見ていた日本海の風景なのかもしれない。2人は海の向こうから届けられるロックを聴いて刺激を受け、やがて仲間を見つけてHomecomingsという「slowboat」で世界に漕ぎ出した。歌詞には「旅」についても描かれているが、仲間との別れをきっかけにしてこれまでの道のりを振り返りつつ、これからも旅を続けるバンドの強い決意がアルバムから伝わってきた。「angel near you」の歌詞にある〈安心の匂いがする 明るい場所〉を求めて彼らは歌い続ける。本作はそのための新たな一歩だ。

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