DECO*27×松丸亮吾、初音ミクを取り巻く“変化”の時代 『プロセカ』『ポケミク』で広がるボカロの世界

DECO*27×松丸亮吾 特別対談

「先入観を持つことなく、新しい人たちがファンになってくれる」(DECO*27)

DECO*27:あははは。全然いいんですよ。僕にとっては“ついに”感も別にないし。まあビックリはするでしょうけど(笑)。

ーーアルバムで「サッドガール・セックス」の次に入っている「モニタリング」もなかなかですけどね。

松丸:そうそう。あれもヤバイ!

DECO*27:「今までのDECO*27はこうだ!」みたいなフィルターをかけた状態で聴くと、〈きみがひとり”XX“してるの知ってるよ〉という1行目で持ってかれるんですよね。「何言ってんの⁉」って(笑)。でもこれ、その1ブロック下の歌詞を見れば、その“XX”の意味がわかるっていう。そういう聴かせ方をするために「サッドガール・セックス」を先に公開したっていうのもありますね。

松丸:ひどいっすよねえ(笑)。1行目からエッチなこと言ってると思ったら……。

DECO*27:ここ一年くらいの自分はそういうイメージを持たれているという自覚があるので、それを逆手にとった新しい楽しみ方をしてもらえればなっていう。MVも含め、みんなの反応が楽しみですね。

DECO*27 - モニタリング feat. 初音ミク

ーー今のDECO*27さんのリスナーって、中高生が多いですか?

DECO*27:20代前半までが半分。これは基本的にずっとそうですね。で、最近は全体として男性ファンが一番多いんですよ。

松丸:え、意外。

DECO*27:うん。恋愛の曲が多いから女性メインのイメージがあったけど、ここ4、5年で変わってきて。それが「ヴァンパイア」以降で顕著になった感じですね。「ヴァンパイア」はかわいい曲なので、それをカバーしてくれるのも女性アーティストが多いんですよ。で、それを聴いた男性がDECO*27のオリジナルにも興味を持ち、好きになってくれているのかなって。そんな自己分析をしてますけど。

松丸:確かにDECOさんのかわいい系の曲の“歌ってみた”は、ほとんど女性ですもんね。かっこいいロックな曲だと男性が歌っている場合も多いですけど。

ーー前回の対談はTikTokが台頭してきた時期で。DECOさんは「何が流行るかわからない状況になってきたのがおもしろい」といった発言をされていました。そこから時間が経ったことで、ボカロ界隈はさらに広がりを見せている印象です。お二人は現在のボカロシーンの状況をどのように感じていますか?

DECO*27:「ヴァンパイア」の時に思ったんですけど、今までとは違う新しい入り口がバババって開いている印象があって。それがここ数年でまたさらに拡大しているような気がします。その理由としては、TikTokと『プロセカ』(スマホ向けゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』)がデカいと僕は思ってますね。自分が楽しんでいるものの中で、ふわっとボカロにまつわるコンテンツが現れて、それをきっかけに深掘りしてくれる人が多いっていう。「ボカロはちょっと……」みたいな先入観を持つことなく、新しいフレッシュな人たちがわーっとファンになってくれている状況は自分にとってはもちろん、ボカロ界隈全体としてもすごくいいことだと思いますし、これからもっと楽しく盛り上がっていける場所になるんじゃないかなっていう期待感がすごいです。

松丸:ボカロとの出会いという意味で、僕は「ポケミク」(『ポケットモンスター』と初音ミクのコラボレーション企画)に感動したんですよ。僕は『ポケモン』の番組もやってますけど、子供たちも「ポケミク」を聴いてます。そのプロジェクトのしょっぱなにDECOさんが出した「ボルテッカー」のインパクトは本当に大きかったと思う。「ありがとうございますっ!」って気持ちになった(笑)。

DECO*27:いやーよかった。緊張したけどね(笑)。自分はミクのことも好きだし、ポケモンも初代からゲームを触ってきたくらい好きだから、楽しみながらだけどすごく悩んだところがあって。

松丸:僕も『ポケモン』とボカロが好きだから、そこの橋渡しの難しさは本当によくわかります。でも「ポケミク」がスタートして以降、両方の世界の人が自由に旅できるようになったんですよね。今までボカロに触れてこなかったけど、「ポケミク」きっかけでDECO*27さんのファンになった人もたくさんいるでしょうし。そういう橋渡しに大きく貢献した「ボルテッカー」という曲を作ったDECOさんはやっぱりバケモノだなってあらためて思いますよね。しかもちゃんとDECOさんらしい恋愛の曲になっていたし。

DECO*27:『ポケモン』の曲なのにね。

松丸:そうそう。電気でビビッとくる感じを恋愛に結びつけちゃうっていう。そりゃね、7時間48分で100万再生いくのも納得ですよ。むしろ伸びなきゃウソ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる