Little Glee Monster、殻を破ってありのまま生きていくメッセージ 大ボリュームな10周年ライブも振り返る

リトグリ、ありのまま生きていくメッセージ

今の6人だからこそ歌える決意や願い

──ここからは、その10周年ライブでも披露された新曲を含むニューシングル『Break out of your bubble』についてお話を伺っていきます。「自分の殻を破る」という意味を持つ表題曲は、NHKドラマ10『宙わたる教室』の主題歌として制作された1曲です。

MAYU:今の6人体制のリトグリを見て、「このドラマにぴったりだ」と思ってお声がけいただいたそうなんです。ドラマの内容自体も、周りと違うことを怖がったり、触れられたくない弱い部分や見せたくない姿もあったりするけど、そんな自分から抜け出したいって誰もが思っていて、それぞれ悩みを抱えた人間たちが同じ教室に集まって目標に向かって進んでいったり、曲タイトルのように自分の殻を破っていくというストーリー。それはこの6人にすごく重なる部分でもあったし、偶然ではありますけど10周年というタイミングでこの曲を6人で歌うことも、そうなるべくしてなったのかなと思って。もともといるメンバー(かれん、MAYU、アサヒ)とあとから入ってきてくれた3人(ミカ・結海・miyou)で、つらかったり苦しかったり見せたくなかった部分はそれぞれ違うとは思うんですけど、そういう部分にまでこの曲によって向き合えて強くなれて、決意や願いを今の6人で表すことができるんじゃないかなって。そういう叫びの曲なのかなと思います。

結海:MAYUちゃんが言うように、歌詞は自分たちに当てはまる部分も多いし、リトグリ以外の人たちでも一度はこういう感情を抱いたことがあるんじゃないかという内容で。だからこそ、消したい過去とか隠したい自分がいても、殻を破って、少しでもいいからありのままの姿で生きていけたらいいねっていうメッセージを込めて歌うことを、レコーディングのときから意識していました。

miyou:私は自分の中にある気持ちを引き出された曲だなと思っていて。絶対にみんなそういう悩みとか隠したい弱さを持っていて、気づいているけど気づかないふりをしたり、いろんな瞬間に思い出したりすることがあると思うんです。でも、その部分を自分が正直に歌うことで、みんなも素直に聴けるのかなと思って、レコーディングにもそういう気持ちで向き合いました。

ミカ:そういうメンバーの素直な気持ちが歌から伝わるのか、よくファンの方からも「涙腺にくる」という感想をいただくんです。なので、CDリリースをきっかけに今後さらに曲が広まって、より多くの人に刺さってほしいなと思っています。

アサヒ

──冒頭のアカペラハーモニーからは「前に進んでいこう」「壁を突き破ろう」とする力強さが伝わってきます。

かれん:この曲を作ってくださったとおるすさんと尾上榛さんがレコーディングに来てくださって、とおるすさんはボーカルのディレクションもしてくださったんですけど、冒頭のアカペラはまさに「葛藤や悩みがありながらも前に進んでいくという強い決意を歌声で表現してほしい」と言われたので、そこはすごく意識しました。

──かつ、サビでは張り上げるように歌いつつ高音ファルセットも交えるという、なかなか高度なテクニックが求められます。

かれん:そうなんですよ。なので、ライブで歌うときはいつも賭けだなと思っていて(笑)。

miyou:あの声は賭けなんや。

MAYU:かれんでさえ賭けだったら、みんなどうするの?

全員:(笑)。

かれん:(笑)。レコーディングのときにも「これはライブで歌えるのか?」って不安がありましたし、ライブに向けて歌っていてもうまくいくときといかないときがあったので、今も歌う前には精度を上げるために発声練習としてここを何度も歌ったりしています。でも、すごく素敵なメロディだし、聴いた人はこのメロディにこそグッと心を掴まれると思うので、毎回魂を込めて歌っています。

──1サビでは結海さん、2サビではかれんさん、ラスサビではアサヒさんが担当していますが、それぞれ大変さを抱えながらこのパートと向き合っているんですね。

アサヒ:そうですね。私もプリプロのときは完全に絶望でした(笑)。でも、練習を重ねていって、ようやくこの6人の歌うバランスとかスタイル、伝え方が見つけられてきたのかなって感じています。とはいっても、私もいつも「うまくいけ!」と願いながら本番と向き合っているんですけど(笑)。

結海:ただでさえ感情がいつも以上にこもってしまうのに加えて、技術的なことも必要だから、そのバランスが毎回難しくて。

アサヒ:わかる!

結海:感情を込めすぎるとファルセットが出なくなってしまうので、そこの制御とかバランスが難しいなと思いながらやってるんですけど……私も賭けです!

miyou:やっぱり賭けだった(笑)。

結海:今も練習を重ねている最中で、披露するたびに上達できていたらなと思います。

『Break out of your bubble』 - Little Glee Monster

──この曲はMVも制作されています。大自然の中での6人のソロ歌唱シーンが中心で、終盤に6人が揃ったときにエモーショナルさが際立つ、すごく素敵な仕上がりでした。

かれん:今回は長野で撮影したんですけど、あのMVで私たちの心の扉がバンと開いた感じがします。監督さん(戸塚富士丸)がめちゃくちゃ熱い気持ちを持っている方で、MVを撮る前に「僕がLittle Glee Monsterのこの曲を絶対に撮りたいと思った。6人がこの曲で音楽を純粋に楽しんでいる姿を収めたい」とおっしゃってくれたので、よりこの曲に気持ちが込められたし、理解も深まったし。だからこその開放感が溢れて、より6人の“素”を収められたのかなと思います。

miyou:さっき話した「自分に正直になって歌う」ことが、私はMV撮影当日により強く感じられて。監督さんが言ってくださった言葉に心を動かされたんでしょうね。今もそのときの気持ちを下ろしてきて、歌うようにしています。

結海:私もMVを撮った日を皮切りに、この6人の気持ちをより通わせながら素直に歌えるようになったと思うし、披露する回数を重ねていくごとにどんどん自分たちが歌に込めるメッセージが大きなものになってきていると感じます。

結海の感謝を届ける作詞が光った「Memories」

──ライブではもうひとつの新曲「Memories」も披露されましたが、こちらは皆さんが作詞にも携わっています。

MAYU:この曲の作曲とベースになる歌詞を書いてくださったCHI-MEYさんには、これまでもよくライブのオープニングやエンディング用に大事な鍵となるテーマソングを作っていただいていて。すごく反響があったからこそ音源になったことが今までもあったんですけど、今回は10周年のお祝いとこれからのリトグリにもつながるような楽曲をCHI-MEYさんにまた制作してもらえたらということでお願いしました。そしたら「せっかくだから自分たちでも歌詞を紡いでみたらどう?」とありがたい言葉をいただいて、CHI-MEYさんが書いた歌詞を下地に、私たちも一緒に作らせてもらうことになったんです。歌詞には、過去の思い出たちを宝物として抱えつつ、これからもどんどん新しい宝物を増やしていこうという思いが込められていて。私たちだけではなくガオラー(ファンの総称)のみんなともその思いを共有しながら、今後も一緒に歌える曲にしたいなという気持ちで制作しました。

──この6人で作詞に携わるのは「UP TO ME!」「Go For It」「I Promise You」に続いて4曲目です。

miyou:これまでもそうでしたが、今回も結海が活躍してくれました。

MAYU:いい言葉をたくさん持ってきてくれて。

結海:(恥ずかしがりながら)じぇんじぇん……。

miyou:「じぇんじぇん」って(笑)。めっちゃ動揺してる!

全員:(笑)。

結海:自分が考えてきた中で好きなのは、ミカが歌っている〈今日明日も全部 記念日にして/出会うべき人に 出会えた/この奇跡抱きしめて歩いて行こう〉っていうサビのフレーズで。リトグリとして活動していく上で必要な人って本当にたくさんいて、私たちが1対1で話したことがない人もたくさんいるし、顔と名前が一致していないスタッフさんもいるかもしれない。でも、その人たちと私たちが出会っていなかったら、楽曲とかライブとか、いろんなものを作り上げてこられなかったと思うんです。私が入る前も入ったあとも、そういうスタッフさんやファンの方、自分以外の5人のメンバー、卒業したお姉ちゃんたち全員に出会えたことが私にとってはすごく嬉しいこと。それがいっぺんに伝わるのがライブで、特に先日の10周年ライブはすごく大勢の人に聴いてもらえる場所になると思ったので、そこで歌う曲の中で感謝の言葉を伝えられるような歌詞が入っていたらいいなと思って書きました。

結海

──素晴らしいと思います。個人的には〈ふたつの道のり ほら合わさって〉のラインがお気に入りなんですが、ここはどなたが?

結海:(無言で、下を向いたまま手を挙げる)

ミカ:胸張って(笑)!

かれん:結海は言葉選びが本当に素敵なんですよ。

──このフレーズってこれまで関わってきたすべてのリトグリのメンバーやスタッフさんたちにも例えられるし、リトグリとガオラーの関係性にも例えられる。すごく深いなと思っていたんですよ。

結海:ありがとうございます。なんかすみません……(苦笑)。

MAYU:いや、謙虚すぎやろ(笑)!

──あと、この曲の雰囲気ってリトグリの原点でもある「HARMONY」(インディーズ時代の初のオリジナル曲)と近しいものがあると思ったんです。「HARMONY」から10年経って、今は新しい仲間たちとこういう表現ができますよという、作詞の面も含めて10年分のアップデートが伝わる1曲だなと強く実感しました。

かれん:ああ、なるほど。言われてみると、確かにそういう雰囲気はありますよね。

MAYU:デビュー前から見ていただいているからこそ、10年分のアップデートが伝わると言ってもらえるのは何より嬉しいです。

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