Little Glee Monster、6人の個性がリトグリになるという自信 5年間の成長&5年後への展望も語る
10月29日にデビュー10周年を迎えるLittle Glee Monsterより、ニューシングル『ORIGAMI』が届いた。表題曲はTVアニメ『天穂のサクナヒメ』(テレビ東京系)エンディングテーマとしても話題になっているバラードで、和テイストな演奏に乗せて届けられる6人のコーラスやハーモニーが美しい。またカップリング曲の「DIVA」や「Fragile」でも、歌詞や歌唱面でこれまでのLittle Glee Monsterにはなかった新鮮なニュアンスを楽しむことができる。全国ツアー『Little Glee Monster Live Tour 2024 “UNLOCK!”』を終え、いよいよ10周年に向けて本格的に駆け出し始めた6人に、『ORIGAMI』の制作からこれからの5年のことまでを語ってもらった。5年前のインタビューを振り返る和気あいあいなトークもお見逃しなく。(編集部)
現体制2回目のツアーで見せた“リトグリの枠を超えた自分”
――3月末からスタートした全国ツアー『Little Glee Monster Live Tour 2024 “UNLOCK!”』も、7月5日、6日の東京ガーデンシアター公演で閉幕。昨年の『Little Glee Monster Live Tour 2023 “Fanfare”』は新体制として初めてのツアーということもあり、新メンバーの初々しさが際立つ内容でしたが、2回目のツアーとなる今回はそこから大きな成長が伝わる内容で。新メンバー3人のフレッシュさはそのまま残しつつ、グループ全体としては10年活動してきたからこその余裕も随所に感じられました。
かれん:10年間見てきた方にそう言っていただけるのは、本当に嬉しいです。
MAYU:実は、このツアーに関して打ち合わせの段階で「今回はストーリー仕立てにしたいね」って話題が上がっていたんです。それこそ「この物語の主人公は僕なんだ」と言っているような「UP TO ME!」から始まるっていうのも私たちなりの強いこだわりで、そこからニューアルバム『UNLOCK!』にちなんで鍵や扉というキーワードが含まれている曲を並べたり、“あなたの名前”(「Your Name」)だったり「君といれば」っていうワードでもつなげてみたりして。初期の曲ですけど「私らしく生きてみたい」も歌詞が今回のツアーのテーマにぴったりだったので、そういうアイデアを出し合いながら形にしていったんです。そういう意味では、今までにはない視点からのこだわりが詰まったツアーだったなと思います。
――それこそ、「君といれば」は以前の編成で歌うことで意味を成した部分も大きかったと思いますが、それを改めて今の6人で歌い直すことでまた違った意味合いが加わり、新曲を聴いているような感覚すらありました。
アサヒ:「君といれば」はミカが好きな曲で「この6人で歌いたい」と言ってくれたので、だったらセットリストに入れようってことになったんです。あの当時の思い出ももちろん大切ですけど、新たに6人で歌い直せることもすごく嬉しいので。
ミカ:いい曲だから歌いたいし、たくさんの人に聴いてほしいじゃないですか。
アサヒ:そうだよね。そう考えると、新メンバーの意見は私たちにとってもすごく大きかったと思います。あと、「私らしく生きてみたい」のように久しぶりに歌う曲では、リリース当時よりもレベルアップしている姿も見せたかったので、椅子を使ってパフォーマンスする工夫も加わって楽しかったですね。
かれん:「君といれば」も「私らしく生きてみたい」もこうして改めて歌うと、本当にいい曲だなって思い直せる大きな機会になりました。あと、今回は私と結海がMCの仕方を今までとは変えていて、お芝居と普段のMCの中間みたいな形に挑戦したりと、それぞれの個性をより伝えられるライブにもなっていたと思うんです。その分、リハーサルは本当に大変だったんですけど(笑)。
一同:(笑)。
かれん:だって、自分たちがやるってことを考えずにどんどんアイデアを出してたもんね。
MAYU:願望だけがまず先にあって(笑)。
miyou:それをいざ形にしようとすると、こんなに覚えなくちゃいけないことがあるのかと驚きました。
かれん:ツアー初日ギリギリまで準備していたからね。でも、いざツアーが始まったらファンの人たちもすごく喜んでくれたし、今までとは違うリトグリの姿を見せられたかなっていう手応えもありました。MCでミカやmiyouが言ってたけど、本当にこの6人はバラバラなんだけど、それが個性なんだよ、そのままでいいんだよってことをこのツアーを通してみんなにも伝えられたかなと思う、すごくいいツアーだったなと思っています。
――実際、今回は昨年のツアー以上にミカさん、結海さん、miyouさんの個性を見せられたと思うんです。
かれん:そうですね。3人も昨年より“UNLOCK”できた部分がたくさんあるし、結海なんてファイナルでは「お前ら〜っ!」って煽りまで解放してくれましたし。
結海:(笑)。
――あれは痺れました(笑)。結海さんは最初のMCでの、次の曲振りを兼ねたお芝居も最高でしたものね。
結海:ありがとうございます(笑)。でも、あれは本当に難しかったんですよ。リトグリのライブを物語チックにするっていうことは、舞台で演技をすることともまた違っていて、どこまでお芝居っぽくすればいいかのバランスが難しくて。特に、MC明けの「In Your Calling」がシリアスな世界観というのもあって、試行錯誤しながら頑張りました。
一同:(拍手しながら)よかったよ!
――あと、今回のツアーのハイライトとして、ソロコーナーが用意されていましたね。かれんさんがダンスに力を入れた「Catch me if you can」を披露したのを筆頭に、MAYUさんは「十戒」(中森明菜)、ミカさんは「果てなく続くストーリー」(MISIA)、アサヒさんは「A HOPE FROM SAD STREET」(杏里)、結海さんは「366日」(HY)、miyouさんは「Man In The Mirror」(マイケル・ジャクソン)と、それぞれの個性を強く打ち出したカバー曲を歌唱しました。どのパフォーマンスも見応えがあって、特に新メンバー3人の成長が強く感じられる内容でした。
miyou:ありがとうございます。ここまで1年半くらいリトグリとして活動してきたけど、ここで初めてリトグリの枠を超えた自分を見せるっていう感覚だったので、自分自身はもちろん、見てくれる人たちにとっても新しかったと思うんです。でも、それこそがこの『UNLOCK!』ツアーで私たちが届けるべきことなんだよなって、ソロコーナーをやってみてはっきりした気がします。ここまで自分の個を打ち出してもいいんだという自信にもつながって、いろんな手応えが得られました。
ミカ:そうだね。私も歌を通して生身の自分……今まで隠していた弱い部分も含めて、すべてをお客さんに見せられた機会になったなと思います。あと、前回の『Fanfare』ツアーは約9カ月かけて回ったのに対して、今回はその半分くらいの期間だったからあっという間で、1公演1公演が昨年よりも濃く感じられたんです。1回終わるごとに「今日はすごく熱かったな」と強く実感できた、そんなツアーでした。
かれん:そういえば、「私らしく生きてみたい」もミカが歌いたいと言ってくれて採用した1曲で、実際に歌うことが決まったらミカが嬉し泣きしてくれて。それくらい思い入れを持って向き合ってくれていたので、「ちょ待って!」から続く椅子を使った演出には苦戦しながらも頑張ることができました。
MAYU:「Your Name」もそうだったよね。6人バージョンに生まれ変わって、時間がない中で振り入れを集中してやって。でも、最後まで妥協せずにできたかな。
結海:「私らしく生きてみたい」のあの演出、結構ギリギリで椅子の振り付けが決まったんだよね。
かれん:そうそう。全体リハをした時に、「ちょ待って!」からの流れで「私らしく生きてみたい」にも振りがあったほうがいいねってことになって、急遽変わったんです。みんな死にそうな顔で一生懸命覚えて(笑)。
MAYU:限界突破していたから、逆にすぐ覚えられたというか。
かれん:そういう追い詰められた感が私たちをさらに強くしてくれました。
ミカ:いろいろ鍛えられました(笑)。
――ツアーファイナルの東京ガーデンシアター2DAYS公演では、今回リリースされる新曲「ORIGAMI」が初披露されました。この曲はTVアニメ『天穂のサクナヒメ』(テレビ東京系)エンディングテーマということで、作品のカラーに沿った和テイストのバラードナンバーですが、これまでのリトグリになかったタイプの楽曲だったので、最初に聴いた時は驚きました。
かれん:実は、当初はここまで和のサウンドではなくて。メロディラインは最初から綺麗で壮大さが強くて、個人的にはすごく好きなタイプの曲でした。最終的には尺八とか和楽器が入ったアレンジになったんですけど、その新鮮さもスッと受け入れられましたし、繊細さを研ぎ澄ましたような楽曲になったなと感じています。
結海:新メンバーの3人がこの曲を最初に聴いたのは、すでに和テイストになってからだったんです。私は和楽器が使われている曲や日本の風景が思い浮かぶような和テイストの曲も好きなので、いつかリトグリとしてもそういう曲を歌ってみたいなと思っていたから、「ついに来た!」と思って(笑)。なので、プリプロも楽しかったし、アニメサイズを録った時もフルバージョンを録った時も楽しかったし、ツアーセミファイナルでの初披露もワクワクしました。
――ボーカルが張り上げすぎず、かといって力を抜きすぎずという絶妙なバランス感で表現されていると感じました。あの塩梅は実は難しいんじゃないかと思うんですが。
かれん:本当に難しくて、張って歌えるところをわざと(力を)抜くのって大変なんですよ。やっぱり声量を出したほうが音程も安定しますし、そこで抜きながら歌うとなると1ミリ単位でコントロールするようなものなので、今でも難しいなと思いながら歌っています。
アサヒ:この曲の歌い出しはMAYUで、その次に歌うのが私だったので、「MAYUがこういうふうに歌っているから、私はどういう繊細さでいこうかな?」と考えて、聴いた人の心にスッと入っていけるような歌声を探しながら歌録りをしました。
MAYU:実は、私はそこまで深く考えてなかったかもしれない(笑)。もちろん何も考えていないわけではなくて、自分の声質や普段の歌い方に合うのがこういう儚さや切なさの強いしっとり系の曲だと思っているので、いつもの感覚で向き合ったかな。とはいえ、曲の歌い出しってその世界が始まる瞬間なので、そういう意味での緊張感はありました。