さとうもか、素直に向き合った“本当にやりたい音楽” 3年ぶりのアルバム『ERA』と30歳の今を語る

さとうもかの“本当にやりたい音楽”

日本語訳で関わったNewJeansからのインスピレーションも――『ERA』の音作り

さとうもか(撮影=まくらあさみ)

ーーサウンド面はいかがですか。どの曲もテイストが違っていますが、こだわりを教えてください。

さとう:悩ましいんですけど、「Everyday」と「No message」はこだわったかも。私はメロディが思いついてから歌詞を書くことが多くて、この曲に関しても先にメロディが浮かびました。普段、何かに影響を受けてメロディを思いつくことはほとんどないんですけど、「No message」の音選びは日本語訳で関わらせていただいたNewJeansのイメージにインスピレーションを受けた気がしています。

さとうもか - Everyday satomoka Music Video

ーー楽曲提供もひとつのインプットになっているんですね。曲尺に注目すると5分を超えるものもあれば、「未完の小説」のようにタイトなものもありますよね。

さとう:そうですね。明確な理由を持って曲尺を変えているわけではないんですけど、バンドで編曲したものは長くなりがちな気がします。ひとりで作っていると、「長すぎても何したらいいかわからん!」と思う部分もあったりして(笑)。でも、編曲をしていくプロセスで尺が長くなったり、短くなったりすることもあります。「ネオン」なんかはそうですね。これは数年前に原型を作った曲で、最初の8小節はもともとなかったんです。でも、作っていくうちに「これがあったほうがいいよね」と付け加えられていって、今の形になりました。

ーーさとうさんは今年に入ってからライブもコンスタントに行われていますが、曲を作る時はライブを想定したりも?

さとう:昔はライブをまったく想定せずに作っていたし、ライブを想定して曲を作ることがどういうことかもわからなかったんですけど、ライブを重ねていくうちにどのパートを誰が弾くかということがめちゃくちゃ重要なことに気づいて。今回のアルバムはそういったことも考えつつ作りました。……と言いつつ、ライブでは構成や曲の雰囲気が変わってもいいのかも、という気持ちもあるんですけどね(笑)。

ーーそれもライブの醍醐味ですもんね。11月からはツアーも始まります。

さとう:めちゃくちゃ楽しみすぎてどうしよう、という気持ちです。今回はスピーチバルーンと一緒にやるんですが、今年何度かやってきたワンマンはひとりだけで、ギターとピアノと歌という形だったんですよ。それがバンドになることでまた違った伝わり方になったり、曲の深みが伝わったりするのかなと思っています。

アルバムの制作を通して音楽をすることの楽しさを感じていました

さとうもか(撮影=まくらあさみ)

ーー新しい環境で新しいスタートを切ったわけですが、日々の生活はいかがですか。

さとう:毎日すごく充実していて、このアルバムの制作を通して音楽をすることの楽しさを感じていました。それによって音楽に対する探求心のようなものがまた生まれたかな、と。だからこそ、本当にやりたい音楽に向き合って制作できたのかなと思っています。前までは、やりたい音楽に向き合えない時期もあったんですよ。でも、最近はたくさん聴いてもらえる曲とは何かを考えていっぱいいっぱいになってしまうのではなくて、その発想も「面白いかも」という気持ちになれています。やりたい音楽の延長線でとらえられるようになったのかもしれません。

ーー30歳を迎えて変化を感じたり?

さとう:それはもう、体の衰え(笑)。昔からぎっくり腰になっていたんですけど、最近床に座ってご飯を食べているだけでぎっくり腰になりかけるんですよ。あと、顔のシワとかもそうですね。ただ、20代の時は長く起きていることが得意ではなかったけど、最近はあまり寝なくても頑張ったら大丈夫なことに気がつきました。

ーー逆に!?

さとう:そうなんです(笑)。でも、健康には気をつけようと思います。

ーー体が資本ですからね(笑)。音楽面においては何か変化を感じていますか?

さとう:昔は弾き語りベースで作ることが多かったですが、今はDTMを使えるようになったことで曲のキャラクターが変わった感じがしています。使っている楽器の種類もそうですし、あとは私の歌い方も変わってきた気がしていて。以前は喋るような感じで歌っていたけど、最近はお腹から(声を出して)歌うようになったんですよね。「Love Buds」という曲を出した3年くらい前は、その曲を歌うのが難しくて。それで試行錯誤しているうちに喉がかっ開きました(笑)。そのあたりから徐々に歌にも変化がありましたね。

さとうもか(撮影=まくらあさみ)

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