ONCE、東京公演で届けた圧巻のパフォーマンス 枠に囚われず新たなスタイルを体現したステージに

ONCE、東京公演で届けた圧巻パフォーマンス

 アンコールでは再びカバー曲を披露するにあたり、「『何をやろうかな?』と思った時に、最初にパッと浮かんできた旋律があった」と明かす。亡くなったり解散したりすることで“終わりを告げた”ミュージシャンが多い昨今を振り返って、「“寂しいな”という想いと、でも、その人が作ったメロディが自分の中に残るんだなって。その旋律、メロディをやれたらなと」と想いを吐露。「ポロッと弾き始めた時に、もう一個の大好きなメロディが降ってきて」と、実際にピアノを奏でていく。披露したのは、2025年2月をもって活動休止する、と発表したフジファブリックの夏の終わりを描いた名曲「若者のすべて」に、2023年3月にこの世を去った坂本龍一の名曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」のオリエンタルな旋律を重ね合わせた、大胆で詩的なマッシュアップだった。去りゆくものへの郷愁と敬意に溢れた創作で、インスピレーションに満ち、音楽に宿る魂と美は永遠であることを体現していた。

ONCE(撮影=関口佳代)

 「来年もツアーができるように、このツアーが終わったら曲をしっかり作っていきたいな、と思っています」と宣言した杉本。「皆の特別になって、ずっとずっと残って皆の未来を照らせるように、この曲に想いを込めて歌います」という言葉から、メンバーを再び交えたバンドアンサンブルで最後に届けたのは、1stアルバム収録のR&Bバラード「記憶」だった。約1年の間に7曲入りのアルバムを2枚リリースし、ワンマンライブを構成するピースを揃えたONCE。初回のツアーでは歌も演奏もすべてを一人きりで成し遂げ、ビルボードライブ公演以降はバンド編成でその世界を開き、今回のワンマンツアーではパフォーマンスの幅も広がって、様々な新しい姿を見せてくれた。ONCEというプロジェクトに枠は無く自由そのもの。これまでに経験した喜びも悲しみも出会いも別れも、経験したすべてを音楽に注ぎ込み、未来へと繋げていくーー今後もONCEから目が離せそうにない。

ONCE(撮影=関口佳代)

■ONCE ONEMAN TOUR 2024「Wandering」@9月7日東京公演
<セットリスト>
SE:Wandering
1:Flyby
2:Stay With Me
3:Nocturne
4:Amazing Grace
5:High and Dry(Radiohead cover)
6:この手
7:Right Now
8:愛とか恋とか
9:Dusk
10:夢でもし逢えたら
11:いつか
En1:Merry Christmas Mr. Lawrence×若者のすべて(Mush up) 弾き語り
En2:記憶

■『ONCE ONEMAN Tour "Wandering" FINAL』プレイリスト
https://a-sketch-inc.lnk.to/ONCE_Tour2024_Wandering

■関連リンク
Official Site:https://ysonce.net/
X(旧Twitter):https://twitter.com/sugi_weaver?s=20
Instagram:https://www.instagram.com/sugi_weaver/
公式ファンクラブ「YS PARLOR」:https://fanicon.net/fancommunities/5062

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる