『MUSIC AWARDS JAPAN』国内最大規模の国際音楽賞新設 アーティスト中心に総勢5,000人以上が投票メンバーに

■『MUSIC AWARDS JAPAN』何が新しいのか

 ここからは、具体的な『MUSIC AWARDS JAPAN』の内容について紹介したい。

 本賞ではミッション/ステートメントに「世界とつながり、音楽の未来を灯す。」が掲げられ、音楽の可能性を世界と分かち合い、音楽の未来を灯す新たな祭典を目指していく。さらに「4つの約束」として「透明性:透明性のある選考プロセス 投票・選考」「グローバル:国内に留まらずアジアの多様な音楽に注目」「賞賛:国内外の実績を讃え合う」「創造:表彰だけでなくここから未来を創造する」という理念も掲げられている。特に「透明性」と「グローバル」は、本賞の特異性を示すキーワードとなりそうだ。

1.定量データの活用、投票メンバーの構成比を公開

 本賞では、まずエントリー作品/アーティストをビルボードジャパン、オリコン、GfK/NIQ Japanといった主要データと連携した客観指標にて自動的に選出。「これらを、市場マーケットの中でどれだけ実際の方々に支持されてきたのかという民意が反映されているものと理解して、そういった透明性のあるデータをまず定量的なものとして使っていく」(野村氏)。その後、国内投票メンバーにより、エントリー作品の中から各部門5作品/5アーティストのノミネートを選出。最優秀作品/アーティストは、国内・海外投票メンバーにより、最優秀作品/アーティストを決定する。

 この投票メンバーは、各分野の音楽業界関係者5,000名以上により構成される。現時点ではアーティスト、クリエイター、マネージャー、レコード会社スタッフ、エンジニア、MVディレクター、コンサートプロモーター、音楽出版社、著作権管理団体・事業者、音楽配信事業者、ディーラー、ディストリビューター、音楽評論家、ライター、メディア、海外音楽賞審査員、海外クリエイター、海外プロモーター、海外音楽配信事業者などが想定されており、各所属ごとの比率や年齢層などの詳しい構成比を公開することで透明性を確保する予定だという。「5,000という数字はシミュレーションした上でのものだが、この後、6,000、7,000という数字になる可能性もなくはない。5,000という数字からたくさんの音楽人が参加するということを連想していただけたら。それだけの人数の方々が投票することで、何らか偏りがあるとか、政治的もしくは経済的な何らかの力が働いて……ということではなく、本当に純粋に、いわゆる“ガチ投票”といったもので投票してもらえたらということも想定して考えているところです」(野村氏)。

2.リリース時期は不問・旧譜も対象、アジアに特化した部門も

 第1回目の『MUSIC AWARDS JAPAN』ノミネート対象は「2024年2月第1週(2024年1月29日)〜2025年1月最終週(2025年1月26日)に各種チャートにランクインした作品・アーティスト」であり、このような年間アワードには珍しく、「リリース時期は不問・旧譜も対象」となる。シティポップなどのリバイバルヒットが当たり前となった現代の傾向がしっかりと反映された、ストリーミングシフトされた賞であるとも言えそうだ。

 賞は60以上の部門・カテゴリーを設置予定だという。そのなかで“主要”に位置付けられるのが「Song of the year(最優秀楽曲賞)」「Album of the year(最優秀アルバム賞)」「Artsit of the year(最優秀アーティスト賞)」「New Artist of the year(最優秀ニュー・アーティスト賞)」「Top Global Hit from Japan(世界でヒットしている国内楽曲を対象とした賞)」「Best Song Asia(最優秀アジア楽曲賞=アジアでヒットしている楽曲を対象とした賞)」の6部門だ。「New Artist of the year」も前述のリリース時期同様、対象期間にデビューをした新人に限らず、旧譜が初めてチャートインした/世間で話題となったアーティストなども対象にする予定だという。「Top Global Hit from Japan Top Global Hit from Japan」に関しては、世界でヒットしている国内楽曲を対象とした賞。一方「Best Song Asia」は、アジア圏でヒットしている楽曲を対象とした賞であり、対象国・地域で発表された楽曲が対象となる。アジアで人気の国内・海外楽曲をそれぞれ表彰するというのは、このアワードの特徴にもなってくるだろう。

 本賞が狙いどおり日本の音楽を世界へと発信するきっかけとなり、国内外の音楽市場に影響を与えるものとなるか。初開催までの動向を注視していきたい。

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■開催概要
『MUSIC AWARDS JAPAN 2025 KYOTO』
開催日時:2025年5月22日(木)
※開催ウィーク:2025年5月17日(土)〜5月23日(金)
会場:ロームシアター京都
放送:地上波放送局にて生放送を予定
配信:YouTubeにて全世界配信予定 ※一部地域を除く
公式サイト:https://www.ceipa.net/feature/maj
公式SNS:https://x.com/MAJ_official_x
協力:文化庁 経済産業省(調整中)
※本授賞式は一般チケット販売の予定はなし。授賞式及び関連イベントの詳細については別途案内あり。

【表彰部門】
本アワードでは最優秀楽曲賞、最優秀アーティスト賞など主要6部門をはじめ、60以上の部門を創設いたします。J-POP、ヒップホップ、アイドルカルチャーなどのジャンル別カテゴリー、ダンスパフォーマンス、ミュージックビデオ、ボーカロイドカルチャー、DJなどのスペシャルカテゴリー、アジア各国、ヨーロッパなど地域別のグローバルカテゴリーといった多様なカテゴリーを創設する予定です。時代の変化とともにバラエティ豊かになる音楽カルチャーを讃え、音楽の未来を灯してまいります。

対象作品:2024年2月〜2025年1月に話題となった作品およびアーティスト(リリース時期は不問、旧譜も対象)
表彰部門:主要6部門をはじめ60以上の部門を設置予定
主要6部門:最優秀楽曲賞/最優秀アルバム賞/最優秀アーティスト賞/最優秀ニュー・アーティスト賞/Top Global Hit from Japan/最優秀アジア楽曲賞

【投票の流れ、および投票メンバー】
エントリー作品はビルボードジャパン、オリコン、GfK/NIQ Japan他主要データと連携した客観指標にて自動選出。その後、国内投票メンバーにより5作品のノミネート作品を選出、ノミネート作品の中からさらに国内・海外投票メンバーの厳正な投票により受賞作品を決定いたします。

投票メンバーには、アーティスト、クリエイター、マネージャー、レコード会社スタッフ、エンジニア、MVディレクター、コンサートプロモーター、音楽出版社、著作権管理団体・事業者、音楽配信事業者、ディーラー、ディストリビューター、音楽評論家、ライター、メディア、海外音楽賞審査員、海外クリエイター、海外プロモーター、海外音楽配信事業者など、各分野より構成される5,000名以上の音楽業界のプロフェッショナルを選出いたします。

また、音楽を愛する多くの方に参加していただくべく、一般の音楽リスナーによる投票を募る部門も創設予定です。

<音楽ジャンル別カテゴリー>
J-Pop、ヒップホップ、ロック、アイドルカルチャー、演歌・歌謡曲、リバイバルなど

<スペシャルカテゴリー>
ダンスパフォーマンス、ミュージックビデオ、ボーカロイドカルチャー、DJなど

<グローバルカテゴリー>
アジア各国、ヨーロッパ、北米、南米など

<各種特別賞>
ローリングスター特別賞など
※一部、別の選考方法による部門もあり。
※オリコン他のデータは、投票メンバーにおけるアーティスト、クリエイターの選定にも活用。
※投票メンバーに向けた説明会の開催を別途予定。

【スケジュールについて】
2025年2月〜エントリー作品/アーティスト発表
2025年2月〜3月頭 一次投票期間
2025年4月予定 ノミネート作品/アーティスト発表
2025年4月〜5月頭 最終投票期間
2025年5月17日〜23日 アワードウィーク
2025年5月22日 授賞式開催
※一部変更の可能性あり

【CEIPAについて】
名称:一般社団法人カルチャーアンドエンタテインメント産業振興会(CEIPA)
会長:依田 巽
理事長:村松 俊亮(日本レコード協会会長)
副理事長:中西 健夫(コンサートプロモーターズ協会会長)
専務理事:栗田 秀一(日本音楽出版社協会副会長)
理事:瀧藤 雅朝(日本音楽事業者協会会長)
野村 達矢(日本音楽制作者連盟理事長)
稲葉 豊(日本音楽出版社協会会長)
正会員:一般社団法人日本音楽事業者協会
一般社団法人日本音楽制作者連盟
一般社団法人日本音楽出版社協会
一般社団法人コンサートプロモーターズ協会
一般社団法人日本レコード協会

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