なとり、夢を叶える新たなフェーズへ 初のホールワンマン『劇場~再演~』で見せた“覚醒”の予感
なとりが、東阪ホールツアー『なとり 2nd ONE-MAN LIVE「劇場~再演~」』の最終公演を10月19日、神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールにて開催した。
なとりは今年2月にキャリア初のライブを行ったばかり。3月から4月にかけて行ったツアー『なとり 1st ONE-MAN LIVE「劇場」』と夏のフェス出演を経て、今回のツアーが初のホールワンマンライブとなる。MCでも人生で10回目のライブだと語っていたこの日は、まさにステージ経験を重ねる中で“覚醒”を果たそうとしている今のなとりの姿を見せてくれた。
開演時間を迎え、1stアルバム『劇場』収録のインストゥルメンタルナンバー「カーテンコール」が流れる中、なとりがステージに登場する。「こんばんは、横浜!」と告げ、1曲目は「金木犀」からスタート。後方からのライティングの中にシルエットが浮かび上がり、「Sleepwalk」ではステージを左右に歩き回りながら歌う。まず印象的だったのはサウンドのダイナミックな迫力と、なとりの歌声の持つ生々しい響きだ。バンドはギター、ベース、ドラム、キーボード、3人のホーンセクションという編成。続く「食卓」ではホーンが加わった華やかなアンサンブルを聴かせる。中低域の歌声の色気とクールさがなとりの持ち味なのだが、伸びやかなハイトーンのボーカルも力強く響く。
背後に提灯の映像が映し出され、和の雰囲気の漂う中で披露した「猿芝居」に続いては、新曲の「DRESSING ROOM」。これもホーンセクションが印象的なダンスナンバーだ。「飛ぼうぜ、横浜!」と呼びかけたなとりにオーディエンスがジャンプで応える。続けてはファンキーな「EAT」、焦燥感に満ちたロックチューン「Catherine」を披露。「EAT」の歌い終わりに笑い声を挟んだり、「Catherine」では途中で叫びに転じたりと、豊かなボーカル表現を見せる。
情感たっぷりのメロディを歌った「ラブソング」に続いては、なとりがギターを抱えリズミカルなアンサンブルを奏でた「ターミナル」へ。どことなく気怠いムードを漂わせる歌声に引き込まれる。さらには疾走感あふれるロックナンバー「聖者たち」へ。畳み掛けるような演奏と力強いシャウトで会場をヒートアップさせる。
ここでなとりが一度ステージから去り、ピアノソロからムーディなバンドのセッションへ。再び登場したなとりが「ようこそ“劇場”へ!」と叫び、きらびやかなスウィングジャズのムードを持つ「劇場」を披露する。
バンドメンバーを紹介し「最高の“サタデーナイト”にしようぜ!」と告げて歌ったR&Bチューン「フライデー・ナイト」に続いて、この日最高潮の盛り上がりとなったのが代表曲「Overdose」。ホーンセクションが加わって音源よりも格段に豪華になったライブアレンジの演奏に乗せ、なとりは何度もオーディエンスに「ぶっ飛ぼうぜ!」と呼びかけながら歌う。多くの観客が踊り、会場には大きなカタルシスが生まれていた。
「今年は楽曲提供とかコラボもさせていただいたんで、その中から何曲かやらせてもらおうと思います」と告げたなとりは、続けてKobo Kanaeruに提供した楽曲「HELP!!」のセルフカバーを披露。さらには盟友 imaseとのコラボ曲「メロドラマ」でメロウなムードを生み出す。