UNFAIR RULE、『ひとりごと』で綴ったありのままの感情 バンドとしての新たな音楽的挑戦を語る

UNFAIR RULEの音楽的挑戦

 UNFAIR RULEがリリースした待望の1stフルアルバム『ひとりごと』には、山本珠羽(Vo/Gt)と杉田崇(Dr)の感性が詰まった楽曲が並ぶ。本作は、山本のリアルな感情をそのまま歌詞に綴った“ひとりごと”のような作品であり、恋愛や人間関係に対する複雑な心情が表現されている。リード曲「ひとりごと」では、“君と私のひとりごと”という視点で相手との関係性を描き、「君にさよならを言わない」では生々しい感情が音に乗るーーそんな多彩な感情の振れ幅が、バンドのサウンドとも巧みに絡み合う。本インタビューでは、バンドとしての成長と進化を体感し二人三脚で歩んできたUNFAIR RULEの現在地に迫る。(編集部)

2歳からスタートした音楽遍歴

──リアルサウンド初登場ということで、まずはお二人の音楽的なルーツから教えてください。

山本珠羽(以下、山本):私は2歳からピアノを習っていました。それと、通っていた保育園が全員でマーチングバンドをするような園で。いろいろな楽器がある中から私は太鼓を選んで、首からタムを2つ下げて行進しながらそれを叩いていました。その後、タムが3つになり、年長さんになる頃にはドラムに。そのままドラム教室に通うようになりました。音楽に対する意識が変わったのは小学生の時。東日本大震災があって、ママがその復興支援のためにバンドのチャリティイベントを企画したんです。そこに来ていた高校生のバンドをやっていたお兄ちゃんたちと仲良くなって。BUZZ THE BEARSをはじめとするメロディックパンクを教えてもらったことをきっかけに、小学2年生のときにギターを始めました。

山本珠羽(撮影=山川哲矢)
山本珠羽

──どうしてギターに?

山本:前に出て、目立ちたかったんです。ドラムだと、座っていて動けないじゃないですか。「なんで私は動けないんだ!」って思って(笑)。ギターを買ってもらってからは、SCANDALやチャットモンチー、GO!GO!7188を聴いて、コピーをしていました。中学3年生から高校1年生にかけて弾き語りをしていたんですけど、その時に「曲がいいから一緒にバンドをやらないか?」と声をかけてもらって組んだのがUNFAIR RULEです。

杉田崇(以下、杉田):僕も2歳からピアノを習っていました。というのもお母さんがピアノの先生をしていたので、物心ついたときにはピアノを触っていたそうで。小学生のときは“ピアノが友達”というくらい、ずっとピアノを弾いていました。クラスメイトに「昨日のドラマ面白かったよね」って言われてもわからないくらい。バンドとかもまったくわからなくて、クラシック一筋でしたね。

──ドラムを始めたのは?

杉田:中学校に入った時に、先輩に「吹奏楽部入らない?」と誘われて、そこで打楽器を始めたんです。はじめはパーカッションから入って、ドラムにたどり着きました。高校でも吹奏楽とピアノを並行して続けていたんですが、あるとき先輩から、卒業ライブをするためにバンドを組むからドラムを叩いてくれないかと相談されて。そこで初めてバンドというものに触れて、ライブハウスに行って、そのままバンドにハマりました。

杉田崇(撮影=山川哲矢)
杉田崇

──ロックバンドを始めたときは、クラシックしか聴いていなかったんですよね? 急にロックバンドのドラムを叩くことになったときはどう感じましたか?

杉田:クラシックとポップスってノリが全然違うので最初は戸惑いました。ただ、ピアノが一人での戦いなのに比べて、バンドはみんなと合わせるもの。それがすごく楽しいなと思いました。

──UNFAIR RULEとしてバンドを始めたとき、どういうバンドにしたいとか、こういう曲を歌いたいというイメージ像はあったのでしょうか?

山本:小学生の時、地元のライブハウスである岡山ペパーランドで、Idol PunchのZillowさんが開いた作詞作曲講座に参加したんです。その講座で正直に歌詞を書くということを教わりました。その時にちょうどフクロウを飼いたかったのですが断念したところだったので、最初に作った曲は「フクロウ飼いたい、でも高い」みたいな曲でした(笑)。その時からずっと、自分の身に起こったことや自分の感情のままに曲を書いています。今も想像で書いたり、映画を観て書いたりということがまったくできないんですよ。

──UNFAIR RULEは恋愛を歌うことが多いですが、自分の思っていることを曲にしたり、そのときの状況を曲にしたりすることは、山本さんのセラピーのようなものにもなる?

山本:私、人と結構話せるタイプだと思うんですけど、超大切な人に対して肝心なことだけ言えなかったりして。それをずっと言えないままでいると爆発しちゃうから、発散するために曲を書いているんだと思います。自分の曲も、ライブハウスも、それを吐き出せる場所だから唯一の居場所であって。しかも自分の話なのに共感してくれる人がいて。結局は自己満なんですけどね。

──でも、その曲を聴いて救われる人もいるわけで。

山本:ありがたいですけど、めっちゃ不思議な気分です。

UNFAIR RULE(撮影=山川哲矢)

──杉田さんは、山本さんの作った曲に対して、何か意見をすることは?

杉田:基本的には言わないですね。コーラスを付けるときに「こういうハモリがあったらいいんじゃない?」って言うくらい。歌詞については言ったことがないです。

山本:UNFAIR RULEは私の感情をそのまま作ってる曲が多いから、歌詞も理解してドラムも一緒に歌ってほしいと思っていて。

杉田:それは今の課題です。

山本:歌詞を理解してほしいといったら、「俺、本読むわ」って言われて。「最近これ読んどるんよ」って言われた本が『羅生門』だったんです(笑)。まぁ崇がすごく冷静なぶん、助かることもあるんですけどね。

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