B'z、King Gnu、ヨルシカ、ano、Creepy Nuts、Stray Kids……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はB'z「イルミネーション」、King Gnu「MASCARA」、ヨルシカ「アポリア」、ano「許嫁っきゅん」、Creepy Nuts「オトノケ」、Stray Kids「NIGHT」の6作品をピックアップした。(編集部)

B'z「イルミネーション」

[おむすび] 主題歌 B'z「イルミネーション」オープニング(ノンクレジットVer.) | 朝ドラ | 連続テレビ小説 | NHK

 NHK連続テレビ小説主題歌となる書き下ろし新曲。『おむすび』という愛らしいタイトル、栄養士として成長するヒロインの青春。どれもB'zのイメージにそぐわない気がしたが、2人の公式コメントを引用すると「たどり着いた場所には、無償の愛情に満ちた輝きを放つイルミネーションが待っている」(※1)と解釈することで、雄々しいギターが響くロックと溌剌としたポップスの折衷に成功している。心弾むミドルテンポと、バンドサウンドの上で跳ねるピアノの旋律、覚えやすくカラッと明るいメロディ。ちゃんと朝ドラに似合うB'zがあるのだ。後半に出てくる〈ガッカリもションボリも丸めて/噛み締めて飲み込んで〉という歌詞の『おむすび』感にもニヤリ。(石井)

King Gnu「MASCARA」

King Gnu「MASCARA」

 King Gnuが2021年夏にSixTONESへ提供した楽曲のセルフカバー。常田大希(Gt/Vo)の楽曲は記名性が強いもので、SixTONESバージョンも、いかにもKing Gnuっぽい色気と情熱のムードが満載だった。だから本家が鳴らせば似合うのは当然だが、そこにさらなる鮮度を加えるのはさすが。張り詰めたギターがメインだったサウンドは、大幅なエレクトロ処理を加えることでより現代的に。いくらでも熱唱できる哀愁のメロディも、あえて声のトーンを落とすことで、より秘めやかな世界観へと刷新した。King Gnuは4人組バンドだが、現在は生バンドとビートミュージックの垣根をなくすことで革新的に進化中。3年前の提供曲だからこそ視点の違いがクリアに伝わる。(石井)

ヨルシカ「アポリア」

ヨルシカ「アポリア」

 アポリアとは、哲学用語で一つの問いに相反する二つの解が存在する状態、解決の糸口を見出せないことを指す。地動説を追い求めた人々の困難を描いたTVアニメ『チ。 —地球の運動について—』のエンディングテーマに起用された「アポリア」もまた、この哲学用語になぞらえ、答えのない問いに対する困惑、真実を知りたいという思いをリリカルな筆致で描き出している。エキゾチックな雰囲気が漂うトラック、シンプルにして深淵なメロディなど楽曲のテーマをしっかり際立たせるサウンドメイク、そして、淡々とした表情のなかに強い意志や情念を潜ませるsuis(Vo)のボーカルも絶妙。ヨルシカの創造性とアニメの世界観による相乗効果を堪能できる、理想的なコラボレーションだ。(森)

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