清水美依紗「今度は私が愛を届けます」 自身を作り上げた音楽を巡る旅、ソロツアー『Roots』を振り返る
高校卒業後にニューヨークへ留学した彼女は、現地でミュージカルの素晴らしさに触れ、「ミュージカル女優になりたい」という夢が生まれたという。そう語る彼女のバックでピアノとギターの演奏が始まり、「Defying Gravity」(ミュージカル『WiCKED』)のパフォーマンスへ。当時を振り返っていたからだろうか、彼女の歌声はいつにも増して魂がこもっているように感じた。
ニューヨーク留学を終え、学んだことを活かそうと帰国した矢先、世界はコロナ禍に突入した。多くのアーティストが歌う場所を失い、自身も音楽の道を断つべきかと悩んだ時、「TikTokに動画を投稿してみたら?」と提案したのは母親だったという。歌唱動画を投稿したことで、彼女の存在を知り、応援してくれる人も増えた。しかし、なかには否定的な言葉をかけてくる人もいて苦しんだ、と。
そんなTikTokをきっかけに出会ったのが、BUDDiiSのKEVINだった。続いて歌われたのは、彼と一緒に制作した未発表の楽曲「ドレス」。この歌には、コンプレックスを持った女の子が、自分を愛してくれる人に出会ったことで、自分自身も変わっていくというストーリーが描かれている。歌詞の内容に自分を重ねながら、彼女は“自分を愛してくれる人”は家族だったことを語った。
そして、「今度は私が愛を届けます」と力強く言い切って「Starting Now ~新しい私へ」へ。気づけばライブももう終盤。ここからはカバーや未発表曲ではなく、彼女がこれまでにリリースしてきた楽曲が続いていく。〈なれるはず あなたもそのヒロインに〉で客席をぐるっと指さす素振りは、誰もが主人公だとエールを送ってくれているようだった。さらに、メジャーデビュー曲「High Five」ではステージを降りて客席に座り込んだり、ファンとハイタッチをしたりと、彼女らしい明るいパフォーマンスを届ける。
アンコールでは「Sugar」を届けると、ドラマ『全領域異常解決室』(フジテレビ系)のオープニングテーマの新曲「TipTap」を初披露。ジャジーな雰囲気のサウンドに乗せて、低音も高音も自由自在に操る彼女のパワフルな歌声が響きわたった。
こうして“これからの姿”も見せ、「私からの愛のメッセージ聴いてください!」と客席へ呼びかけると、最後に「Message」を届けて彼女のルーツを辿るライブは幕を閉じた。自身がこれまでに触れてきた音楽を通して、歴史を紐解いていった本ツアー。ただし、“清水美依紗”というアーティストの物語は現在進行形だ。ここからまたどんなストーリーが紡がれていくのか、今はその続きが楽しみで仕方ない。
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