iri、『スカイキャッスル』の“歪んだ世界観”に強烈な親和性 韓国発ドラマのリメイク版主題歌の系譜も

iri、『スカイキャッスル』に強烈な親和性

 エリートのみが住まう高級住宅街で繰り広げられる、泥沼マウントバトルを描いた木曜ドラマ『スカイキャッスル』(テレビ朝日系)が本日9月26日、最終回を迎える。子どもたちの熾烈な受験戦争に絡め、親たちの見栄の張り合い、野望、誰にも言えない秘密や嘘が交錯する怒涛の展開に、かつての昼ドラ的な雰囲気を感じ、ハマった人も多いはず。松下奈緒、小雪ら女優陣の見せる迫力の演技バトルにも注目が集まった。

『スカイキャッスル』【最終回】 9月26日(木)よる9時

 そんな本作は2018年に韓国のケーブルテレビ局 JTBCで放映され、社会現象を巻き起こした『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』のリメイク。オリジナル版は、第1話の段階でたった1%台だった視聴率が、口コミやSNSで大きな話題となった結果、最終回で23.8%を記録したモンスターコンテンツである。近年、こうした韓国発のドラマが日本でリメイクされる流れは確立されたと言っていい。

 例えば、2022年に竹内涼真主演で製作された『六本木クラス』(テレビ朝日系)は、韓国の大ヒットドラマ『梨泰院クラス』(JTBC)のリメイク。舞台をソウルの歓楽街・梨泰院から東京・六本木に変え、どん底から這い上がろうとする青年たちの物語をエネルギッシュに描いた。また昨年、金曜ドラマDEEP枠で放映された『夫婦が壊れるとき』(日本テレビ系)は、英BBCで2015年と2017年に放送された『女医フォスター 夫の情事、私の決断』のリメイクドラマであり、2020年には韓国でも『夫婦の世界』としてリメイクされていたもの。日本では稲森いずみが主演し、夫に復讐を誓う妻を鮮烈に演じた。いずれも、韓国版のプロットを用いながらも日本の観客に向けたアレンジがなされており、単なるリメイクにとどまらないクリエイティビティが見られたのは評価できる点のひとつ。漫画や小説原作ものが大半を占めている日本のドラマ界において、さらなる選択肢のひとつとして、ますます需要が増えていくに違いない。

 そんなドラマとともに話題に上がるのが主題歌や挿入歌だ。『六本木クラス』では、THE BEAT GARDENが本家『梨泰院クラス』の主題歌「Start」(Gaho)を日本語詞にアレンジした「Start Over」を挿入歌として提供し、ブレイクの糸口を作った。また、韓国ドラマ『シグナル』(tvN)をリメイクした2018年の『シグナル 長期未解決事件捜査班』(フジテレビ系)には、BTS「Don't Leave Me」が主題歌に抜擢されロングヒット。ドラマ放送から約1年で総再生回数は全世界で1億回を突破した。

 今回の『スカイキャッスル』ではシンガーソングライター iriを起用。彼女にとっては初の地上波ドラマ主題歌となった「Swamp」は、自ら原作を視聴して書き下ろした楽曲だという。そのせいもあってか、iriの得意技とも言えるR&Bのビートに乗せたスリリングでエッジの効いたメロディや、〈逃げれない〉〈許してよ〉といった不穏さをまとった歌詞は、ドラマの世界観とリンクするよう。“沼地”という意味を持つ「Swamp」をタイトルに掲げ、足を踏み入れたら最後、もがいても抜け出せない歪んだ世界を表現してみせた。

iri - Swamp (Music Video)

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