Yukihide “YT” Takiyama、新作で見せたB’zや氷室京介らレジェンドに愛される理由 プレイ/アレンジで活かす“歌心”

 9月18日に約20年ぶりとなるニューアルバム『TMG II』をリリースし、現在全国ツアー『TMG LIVE 2024 -Still Dodging The Bullet-』を開催中のTMG(Tak Matsumoto Group)。そんな彼らが9月13日放送の『ミュージックステーション 2時間SP』(テレビ朝日系)で観せたライブパフォーマンスが強く記憶に焼き付いている、というロックファンも少なくないだろう。Tak Matsumoto(松本孝弘)のダイナミックかついぶし銀のギタープレイを存分に楽しめたことはもちろん、エリック・マーティン(Vo/MR.BIG)やジャック・ブレイズ(Ba&Vo/NIGHT RANGER)、マット・ソーラム(Dr/ex. GUNS N’ ROSES)といった一時代を築き上げたアメリカの著名ミュージシャンたちによる豪快なプレイ&ステージングは、80〜90年代の洋楽ロックに憧れた世代にはたまらないものがあったはずだ。

TMG / ETERNAL FLAMES (feat. BABYMETAL)

 上記の世代に該当する筆者も、BABYMETALとの共演含めこの日のパフォーマンスには非常に興奮させられた。そんな中で、個人的にもっとも興味を惹かれたのはここに挙げた以外の存在だった。マット・ソーラムの横で、激しいアクションとともに豪快なギタープレイを披露していたその人物こそ、本稿での主役であるYukihide “YT” Takiyamaその人だ。

 2019年の『B’z LIVE-GYM 2019 -Whole Lotta NEW LOVE-』や昨年の『B’z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-』などでサポートメンバーとしてライブに参加していたので、松本およびB'zのファンであればすでにご存知の存在だろう。実は彼、レコーディングにおいては2017年のアルバム『DINOSAUR』からB’zにアレンジャーとして関わっており、その関係はすでに7年にもおよぶ。

 そんなYTが9月25日に2ndアルバム『Next Giant Leap』をリリースした。一部のリスナーにはB’zとのコラボレーションを経てこのアルバムにたどり着いたように映るかもしれないが、実はそのキャリアは非常に目を見張るものがあることはご存知だろうか。ここでは彼の経歴を振り返りつつ、最新作『Next Giant Leap』の魅力に迫ってみたい。

 高校1年でギターを始めたというYTは高校卒業後に単身渡米し、ボストン・バークリー音楽大学に入学。ここで編曲と管弦楽法を学ぶと、今度はLAに移り、音楽に関連した仕事を続けていく。そんな彼に、バークリー時代の知人を通じてKAT-TUNのシングル『LIPS』(2008年)の作編曲という大きなチャンスが舞い込む。この作品のマスタリングに立ち会うために訪れたスタジオで、その後の人生を大きく変えるアーティストと出会うことになる。それが氷室京介だった。

 氷室自身も『LIPS』の前作にあたる『Keep the faith』(2008年)でKAT-TUNに楽曲提供していたこともあり、YTは先の知人を介して氷室を紹介される。この出会いは、のちに氷室のアルバム『"B"ORDERLESS』(2010年)へのギタリストおよびアレンジャーとしての参加へとつながり、2012年以降は氷室のライブサポートも務めるなどして彼の存在は日本でも広まっていくことになる(なお、氷室とはその後もデジタルツールを使ったクリエイティブプロジェクト“GOSPELS OF JUDAS”でも活動をともにしている)。

GOSPELS OF JUDAS LIVE IF 2018.07.15 Tokyo 「Area 51 」

 そんな氷室を介して、新たに紹介されたのが松本だった。先に紹介したとおり、YTは松本と出会って早々にB’zのアルバム『DINOSAUR』制作へ迎えられ、全13曲中12曲で松本や稲葉浩志とともにアレンジャーとして名を連ねている。従来のB’zサウンドをさらに進化/深化させることに成功した同作での手応えは、続く『NEW LOVE』(2019年)や『FRIENDS III』(2021年)、『Highway X』(2022年)、シングル『STARS』(2023年)、そして松本のソロアルバム『Bluesman』(2020年)へと引き継がれていく。またYTはアレンジのみならず、『Highway X』や『STARS』ではベーシストとしてもレコーディングに参加。これがのちのB’zツアーメンバー合流、およびギタリストとしてTMGのレコーディング&ツアー参加へとつながっていく。

 バークリーで培った編曲能力とギタリストとしての非凡な才能が、氷室やB’zといったレジェンドアーティストたちから認められてきたYT。実はソロアーティストとしても2014〜15年にかけて、いくつかの作品を残してきている。氷室やB’zの諸作品で感じることのできた多彩なアレンジ力は、こうした作品からもじっくり感じ取ることができる。これらの原点的な楽曲群は現在もApple Musicで聴くことが可能だ。

Guitar Riffs at Yanmar Stadium Nagai HD 720p

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