野田洋次郎、小田和正、幾田りら、Indigo la End、imase、乃紫……注目新譜6作をレビュー

Indigo la End「ラムネ」

Indigo la End「ラムネ」

 最新の配信曲。弦楽器から始まるイントロにドラマティックなものを感じるが、そこから数秒で簡素なバンドサウンドへ。ベースを中心にハネながら進むファンク調の曲ではあるが、さほどアッパーでもなく、冒頭に出てくるストリングスが随所に絡むことでエレガントな落ち着きを与えている。メロディや歌詞もわりと平熱のままというか、明るい/暗い、大衆向け/玄人向け、物語性/メッセージ性といった二分化をあえて避けている印象だ。しいて言うなら、さりげない孤独、なんとなくの虚無、でも歌にすることで確認できる少しの前向きな気持ち、だろうか。わかりやすい言葉にならないものをじっくり丁寧に描き出した。(石井)

imase「蜃気楼」

【imase】蜃気楼(MV)

 「ラコステ2024年秋冬の日本国内スニーカーキャンペーンソング」のために書き下ろされた新曲。〈汚れのないこの靴を頼りに〉という歌詞は当然タイアップを意識してのことだろうが、舞台は秋冬ではなく夏。〈暑さ〉〈花火〉〈浴衣〉などのワードを散りばめ、瞳に焼きつくようなひと夏の恋を描いている。imaseの音楽は少し気怠いムードを漂わせたものが多いが、入道雲の下を走っていく少年が脳裏に浮かぶこのダンスナンバーは、彼にしては珍しいほどアッパー。アレンジにしても、最初は軽やかなシンセが中心だが、後半には強烈な低音が登場し、ラスト手前はビートだけになる展開へ。聴きやすいながらも細部にチャレンジを散りばめた一曲。(石井)

乃紫「踊れる街」

乃紫 (noa) - 踊れる街【Official Music Video】

 乃紫がSNSへの楽曲投稿を開始した約2年前からファンに愛され、リリースを期待されてきたという一曲。初期のデモ楽曲の質感を踏襲したそうで、ギター、ベース、ドラムで構成されるサウンドはASIAN KUNG-FU GENERATIONあたりの王道ギターロックに近い。SNSでヒット中の「全方向美少女」を聴けば、入念に言葉をリサーチしながらバズを起こしていくソングライターという印象が強くなるが、〈ところ構わず二人で踊って〉の歌い出しや〈僕らは街の一部なんかじゃ無い〉という宣言までが出てくる歌詞に、よりパーソナルな乃紫の心情が出ているように思う。ほとんどワンパターンで進行するアレンジは正直単調ではあるが、今明かされる原点という意味ではむしろ好ましい。(石井)

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