RadioheadやROTH BART BARONと通ずる若き才能 山本大斗、時代を先取るジャンルレスな創作性
最新曲の「バベル」に関しては、山本のこれまでの楽曲の中では最もバンドらしいサウンドになっていて、やはりルーツがバンドマンであることを感じさせるもの。ピアノ、サックス、コーラスを交えたアレンジはソロならではの構築性を感じさせるが、躍動するリズムに乗って解放感溢れる歌声を聴かせる、そのエモーショナルな部分が何より魅力的だ。夢日記をもとに書かれたという歌詞は「バベルの塔」の神話をモチーフにしていて、「バラバラにされた言語によって分断された人間を逆説的に捉え、本来は1つの共有できる意識(イメージ)があるはず」だという思いが綴られる。共同体=フォークとしての人間のあり方を祝福するような感覚も含め、やはりROTH BART BARONとは音楽性だけでなく、世の中に対する目線も共有していると言えそうだ。
コロナ禍を経て一時期バンドシーンの勢いが失速し、藤井 風やVaundyといったソロアーティストが浮上、そこからimaseやWurtSらが続く、というのが2020年代序盤の流れだったわけだが、そこから数年を経て、「バンドかソロか」ではなく、そのどちらでも活動するアーティストが浮上し始めたのは面白い傾向だ。複数のメンバーが関わることによる化学反応も、一人だからこそ自由に、好きなように制作ができるソロも、やはりそれぞれに長所があり、その両立/使い分けというのが今後のトレンドになっていくのかもしれない。
山本は初のバンドセットでのライブを年内に開催予定だという。このタイミングで「バベル」のようなバンドサウンドの曲を発表したのは、ライブも想定してのことだろう。TikTokでキャリアをスタートさせる近年の若手はライブの経験が浅かったりするが、すでにバンドでも活動をしている山本には一日の長があり、あらゆる意味で今後が楽しみなアーティストだ。
◾️楽曲情報
山本大斗
New Digital Single「バベル」
配信中:https://ssm.lnk.to/BABEL
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