aiko、BE:FIRST、back number、Aimer、松本孝弘、ZEROBASEONE……新作注目新譜6作をレビュー

Aimer「Wren」

Aimer「Wren」

 アニメ『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』(テレビ東京系)第2クール主題歌である最新シングル『Sign』のカップリング曲。「Sign」は意外なほど穏やかなミドルテンポ、淡くて温かい響きをキープしたバラードだが、悲しげなギターの旋律から始まるバンドサウンドのこちらは、まさにAimerの真骨頂。影や憂いや孤独を抱えて部屋にひとり、かと思えば、ひたひたと迫ってきていきなり胸ぐらを掴む至近距離に来る。そんな飛距離で届く歌は彼女が最も得意とするところだろう。サビの手前には〈傷つくとしても 声枯らしても 叫び続けたい〉の一言。Aimerは決して叫んではいないのだが、切迫したブレスと細かく震えるビブラートは、確かに心の叫びのように響く。(石井)

松本孝弘「「銃爪」featuring 稲葉浩志」

Tak Matsumoto “THE HIT PARADE II” Introduction Video

 松本孝弘の邦楽カバーアルバム第2弾『THE HIT PARADE Ⅱ』の収録曲。松本のギター、ゲストボーカルの化学反応がこのアルバムの魅力だが、「銃爪」(世良公則&ツイスト/1978年)で松本は、B'zの稲葉浩志をフィーチャーした。2021年には松本 隆のトリビュートアルバム『風街に連れてって!』でB'zは「セクシャルバイオレットNo.1」(桑名正博/1979年)をカバーしているが、ロックが歌謡と融合していた昭和50年代初めの楽曲はまちがいなく二人のルーツの一つと言えるだろう。「銃爪」でもそれぞれのプレイヤビリティを存分に発揮し、名曲に新たな命を吹き込むことに成功している。「松本と稲葉がこの曲をやれば、こうなるだろうな」という期待に応えつつ、圧倒的な身体性と技術によって「やっぱりすげえ」と驚かされる理想的なカバーだと思う。(森)

ZEROBASEONE「GOOD SO BAD」

ZEROBASEONE (제로베이스원) 'GOOD SO BAD' MV

 韓国のオーディション番組から生まれ、昨年デビューした9人組ボーイズグループの最新ミニアルバム『CINEMA PARADICE』より。タイトルのアタマにはつい“NEW”を付けたくなる。彼らのデビュー作には「New Kidz on the Block」という一曲も収録されており、中高年にとってやけに懐かしいモノを発掘し、今の感性でアレンジしてみせることができるグループなのかもしれない。この曲も実に爽やか、そしてきらびやか。ラップパートはあれどアクの強いボースティングは皆無、低音がほとんど強調されていないアレンジも特徴的。総じて浮かぶのは80’sの欧米で流行したボーイズグループの匂いである。これは新時代の潮流となるか。(石井)

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