連載「lit!」第114回:チャーリーXCXとビリー・アイリッシュ、ティナーシェ……刺激的な歌詞やサウンド
Clairo「Juna」
クレイロの3年ぶりのアルバム『Charm』は、レトロな質感と現代的なひねりを組み合わせ、2024年のリスナーの好みにも合致した絶妙な作品だ。実際、アルバムは全米チャートで8位デビューし、クレイロにとって過去最高の順位を記録した。
クレイロは出世作となった『Immunity』(2019年)では元Vampire Weekendのロスタムを、『Sling』(2021年)ではラナ・デル・レイやテイラー・スウィフトから重宝されるジャック・アントノフをプロデューサーに迎え、彼らの個性的なスタイルを彼女は柔軟に取り入れてきた。『Charm』もこの流れを踏襲し、共同プロデューサーとして迎えたレオン・ミシェルズの影響がアルバムのレトロな美学に現れているのだろう。ファンクやソウルの伝統に根ざした硬派な活動を続けるEl Michels Affairというバンドも率いるミシェルズは、ノラ・ジョーンズの最新作『Visions』もプロデュースしているように、ヴィンテージなサウンドと現代的な感性を融合する腕は確かだ。
中でも「Juna」はその塩梅が優れた1曲だ。大胆なメロディの展開と過剰にならない程度に様々な音が含まれたサウンドデザインに、アウトロのトランペット風のチャーミングなスキャット歌唱はジャズとの接近を感じさせる。そういった意味では若い世代からの支持も厚いレイヴェイと通ずるものがある。実はトレンドにもしっかり乗っている作品でもあるのだ。
Rema「OZEBA」
ナイジェリアのアーティスト、レマが2ndアルバム『HEIS』をリリースした。セレーナ・ゴメスをゲストに迎えたことでも話題になった「Calm Down」が数々の大記録を打ち立てるという特大級のヒットを21歳で経験し、アフロビーツというジャンルをさらに世界中に浸透させた人物だ。今作を一聴して驚くのは、牧歌的なアフロビーツだった「Calm Down」の印象を払拭するかのような激しい作品であるということ。ドラムのパターンや音色はアフロビーツのそれだが、弦楽器のアレンジや気性の荒い猛獣のような生々しく激しいボーカルなど、あらゆる要素がこれまでとは一線を画している。
アルバム中盤に位置する「OZEBA」は、ドリルビートのパターンで刻まれるクラップや8拍子で刻まれるストリングスが性急な印象を与える。まるで倍速再生していると勘違いしそうなほど速い。酔っぱらったようなフロウを聞かせるバリトンボイスでのラップは時折ケンドリック・ラマーのようだ。
おそらく本作でレマはアフロビーツというジャンルにおける自身の立ち位置を再定義しようとしているのだろう。伝統的なアフリカ音楽のサウンドをゴシックな雰囲気やパンクロックの影響と融合させているという指摘も一部である通り、自身のパブリックイメージや限界を突破しようとしている。だからこそまとまりに欠けたアルバムだという批判はあるだろうが、少なくとも一度は耳を傾けるべき入魂の一作である。
※1:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/136108/2
※2:https://wwd.com/feature/what-is-brat-summer-charli-xcx-aesthetic-1236490299/
※3:https://hiphopdna.jp/news/15533
※4:https://www.songsdetails.com/songs/zach-bryan-28-meaning/
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