YUKIが手にした“ありのままの自分への誇り” 『SLITS』は奔放かつ普遍的なアルバムに
前作『パレードが続くなら』にて、“誰だって自分の好きな自分になれる”ことを歌った「Naked」を手掛けたU-Key zoneによるワークアウト的なニュアンスも感じられる「Now Here」やオリエンタルなムードを醸す「雨宿り」、「Hello, it’s me」も手掛けた前田佑によるディスコヒッツ風の綺羅びやかな「流星slits」など、遊び心と勢いのあるトラックがアルバム冒頭から続き、ライブでどのように披露されるのかと想像が膨らむ。「流星slits」はYUKIの華麗なラップもいいスパイスになっている。
ピアノやフルート、コーラスも交えた温かな響きが心地よい「ユニヴァース」(編曲:皆川真人)、インディーロック的な浮遊感とYUKIの無垢なボーカルがマッチした「追いかけたいの」(編曲:増渕ヒダリ (higimidari))、マンドリンやストリングスの音色に乗せて一枚の絵画のような情景を浮かび上がらせる「金色の船」(編曲:トオミヨウ)、YUKIの神秘的な歌声が映えるオルタナティブR&Bナンバー「One, One, One」(編曲:前田佑)など、YUKIのサウンド的な嗜好が反映されたであろう中盤のボーカル表現も絶品だ。
アコースティックギターがリードする、学生時代の一コマに思いを馳せるような「友達」(編曲:名越由貴夫)に続く「パ・ラ・サイト」(編曲:皆川真人)は、『YUKI LIVE “little night music”』でも披露され音源化が待ち望まれていた楽曲。奔放な女の子の日常を描くユニークな歌詞と〈ああ またやらかした〉のリフレインが耳に残る。アルバムの中でも少し違った角度からありのままの自分を受け入れる様を映したユニークな一曲である。
そしてラストを飾る「風になれ」は、NHK『みんなのうた』6~7月度放送曲。「私の瞳は黒い色」(『パレードが続くなら』収録)でも編曲を務めた鈴木正人(LITTLE CREATURES)、キーボーディスト 松本圭司らを迎え、ホーンやコーラスをまじえた開放感あふれるこの曲では、日々の積み重ねが明日を生きる自分を作り上げていくことが歌われている。〈未来は見えないから 不安ではなくて/どんとこい!と 準備をするだけだ〉という頼もしいフレーズは多くの人の心に刻まれることだろう。
8月からは本作を携えたホールツアー『YUKI concert tour “SUPER SLITS” 2024』にて全国12都市を巡るYUKI。自由に、ありのままに、そして自信たっぷりにステージを謳歌する姿からもたくさんのエネルギーをもらうことができそうだ。
◾️リリース情報
YUKI『SLITS』
6月12日(水)発売
・初回生産限定盤(CD2枚組 / 紙ジャケット仕様):¥4,700+税
・通常盤(CD):¥3,000+税
購入リンク:https://erj.lnk.to/y79Bys
<収録楽曲>
【Disc1】
01.Now Here
02.雨宿り
03.流星slits
04.Hello, it’s me
05.ユニヴァース
06.追いかけたいの
07.金色の船
08.One, One, One
09.友達
10.パ・ラ・サイト
11.こぼれてしまうよ
12.風になれ
【Disc2】
『YUKI LIVE “little night music” 2023年9月16日 東京・Zepp DiverCity』
01.タイムカプセル
02.プレゼント
03.ラスボス
04.忘れる唄
05.Dreamin’
06.私の瞳は黒い色
07.さよならバイスタンダー