Bialystocks、演劇的なステージ演出への挑戦 濃密な演奏を“鑑賞”した初のホールツアーファイナル

Bialystocksライブレポ

 アンコールでこの日初めてのMCを行い、ニューアルバムをリリースして、それに伴うツアーが開催されることを報告すると、最後に甫木元はこれまでBialystocksのアートワークを手掛けてきた画家の竹崎和征が前週亡くなったことを伝え、「これは竹崎さんの友達の一人として言わさせていただきます。どこか頭の隅の方に、竹崎和征という画家がいたというのを引っ掛けておいてもらえたら嬉しいです」と語った。次に披露された「幸せのまわり道」はドラマに向けて書き下ろされた楽曲で、もちろんMCとの関連性はないわけだが、〈溢れた 想いだけ/そのままで〉〈あなたとただ いれたらいい/いつまでも〉という歌詞は幸せと表裏一体の喪失を感じさせる。もともとBialystocksの楽曲には死生観や喪失感が強く内包されていて、1曲目に歌われた「夜よ」は父の死に際して作られたBialystocksの始まりの一曲であり、甫木元が監督した映画のために作られた「はだかのゆめ」も母親の死が背景にある。Bialystocksの楽曲は死や別れと不可分で、だからこそ人生讃歌として力強く響くのだということを、改めて感じさせるシーンだった。

『Bialystocks Tour 2024』ライブ写真

 ここまでオーディエンスはじっと座ってステージを見つめていたが、甫木元がエレキギターを持ってアップテンポの「Nevermore」が始まると、堪えきれなくなったようにスタンディングで体を揺らし始める姿がチラホラ。そして、甫木元の〈どうでもいい事ばかりしがみつき〉というシャウトに大歓声が起き、ラストの「Upon You」が始まると、オーディエンスが一斉に立ち上がって、場内が手拍子に包まれた瞬間はまさにスペシャルだった。音楽の力によって自主的に、オーディエンスそれぞれが思い思いの方法でライブを楽しむ空間というのは理想的だと言えるだろう。全ての演奏を終え、ステージ上に整列したメンバーにそのままスタンディングオベーションが送られる光景は、感動的な演劇を観た後のような実に心地のいい余韻を感じさせるものであった。

『Bialystocks Tour 2024』ライブ写真

『Bialystocks Tour 2024』ライブ写真

※1:https://realsound.jp/2024/04/post-1636669.html

■セットリスト
1.夜よ
2.雨宿り
3.頬杖
4.コーラ・バナナ・ミュージック
5.Emptyman
6.花束
7.日々の手触り
8.Over Now
9.灯台
10.あくびのカーブ
11.朝靄(Acoustic)
12.ただで太った人生(Acoustic)
13.またたき(Acoustic)
14.はだかのゆめ
15.All Too Soon
16.近頃
17.I Don't Have a Pen
18.差し色
19.光のあと
20.Branches
21.フーテン

22.幸せのまわり道
23.Nevermore
24.Upon You

セトリプレイリスト:https://bialystocks.lnk.to/240628_TDCHALL_setlist

■ツアー情報
『Bialystocks New Album Tour 2024』
2024年10月20日(日)愛知・Zepp Nagoya
2024年10月26日(土)福岡・DRUM LOGOS
2024年11月1日(金)宮城・Rensa
2024年11月2日(土)神奈川・KT Zepp Yokohama
2024年11月9日(土)北海道・PENNY LANE24
2024年11月17日(日)大阪・Zepp Namba(OSAKA)
2024年11月29日(金)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)

チケット詳細:https://bialystocks.com/albumtour2024/

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