汐れいら、みゆなとSPRINGMANを迎えた自主企画ライブ “最高な日”を届けた東京公演レポ

 シンガーソングライターの汐れいらが、5月18日に自主企画ライブ『ウシオマエロマエ vol.5』東京公演を開催した。2022年8月に初開催され、今回で5度目となる本イベント。本稿では、みゆなとSPRINGMANをゲストに迎えた、東京・Spotify O-nest公演の模様を振り返る。

 トップバッターを務めたのは、汐と同世代のシンガーソングライター・みゆな。この日は、彼女のライブでサポートを務めている柏倉隆史(Dr)との2人編成。ミニマムなステージだからこそ、彼女の透明感のある歌声の魅力がよく伝わってくる。

 約1カ月ぶりのライブだという彼女は、「追いかけて」「くちなしの言葉」など、1曲1曲を感情のこもった歌声で丁寧に届けていく。ラストは大いに盛り上げて次へ繋げたいと話すと、激しくギターをかき鳴らし、力強い演奏で届けられたのは「埋葬」。曲中では「聞こえんぞー!」とクラップを煽り、会場の熱気を一気に引き上げて次へとバトンを渡した。

 2番手は荒川大輔(Vo/Gt)によるソロプロジェクト・SPRINGMAN。サポートにベース、キーボード、ドラムを従え、骨太なバンドサウンドで「still writing…」「カポック」「とりとめもなく」を届ける。MCでは唐突に「皆さんは物販とかで汐さんと話したことありますか?」と尋ねると、人見知りな性格ゆえに、自身はまだ汐と満足に話せていないのだと明かした。ひとまず、出番前にイベントタイトルの『ウシオマエロマエ』の意味を尋ねてみたものの、緊張していたこともあり、あまり会話が広がらずに終わってしまったという。

 アコースティックギターに持ち替えて「エスケープコール」を届けると、歌唱後にふと閃いた様子で、「アコギとか、機材の話が切り口になるかもしれない」と呟く荒川に、フロアからは再び笑いが起きる。ラストは「右にならえ」「さよなら北千住」と熱いパフォーマンスで畳みかけた。

 そして迎えた汐のステージ。「タイトロープ」でライブをスタートすると、続く「踊り場のサーカスナイト」ではハンドマイクでステージを動き回る。「こっからはもっと踊りますよ?」「ジャンプ!」という汐の煽りを受け、2番サビからは演奏に乗せて観客が飛び跳ね、盛り上がりは一気に最高潮に。そのまま「ビーボーイ」へ突入すると、曲中では〈ビーボーイ〉の掛け合いも見事に決まり、序盤から会場は一体感に包まれた。

 MCでは荒川の言葉を受け、「さっき聞かれましたね。“なんで『ウシオマエロマエ』なんですか?”って」「特に理由はないんですけど、語呂がいいから決まりました(笑)」と明かして観客を笑わせつつ、自ら出演をオファーしたという2人と「仲良くなって帰ろうと思います!」と約束した。そんな自主企画ライブも今回で5度目の開催。フロアからは大きな拍手が贈られた。

 「今日は日記に“最高な日にしようね”って書いてきたので、最高な日にしたいと思います!」と宣言し、披露されたのは5月1日リリースの新曲「備忘ロック」。“「この世界のどこかにいるかもしれない誰か」のことを曲にする”というコンセプトで活動している汐の楽曲には、それぞれ異なる主人公がいて、その“誰か”の物語が綴られている。「備忘ロック」は、彼女を亡くしてしまったバンドマンの歌だという。備忘録のように、失った相手のことを振り返るバンドマンのストーリーを、汐は優しく繊細なボーカルで歌い上げる。

 ライブの中盤では、8月14日に1st EP『No one』をCDリリースすることを発表。彼女にとって初のCDリリース、さらに初回生産限定盤の特典として、収録各曲の歌詞や世界観をもとにしたストーリーを本人が書き下ろしたことを説明すると、観客からは喜びの声があがった。そんなEPの中から、ライブでは一足早く「笑ってベイビー」をパフォーマンス。軽快な演奏に体を揺らす観客たちを見渡し、自身も満面の笑みを浮かべながら楽曲を届けた。

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