張惠妹 aMEIによる至福の歌声 観客の大合唱も響き渡った日本武道館ライブ

張惠妹 aMEI、日本武道館レポ

 昨年の『SUMMER SONIC 2023』でテレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」などを歌い、東京と大阪で延べ3万人以上の観客を魅了した、台湾の女性歌手・aMEI(張惠妹/以下、アーメイ)が、5月2日、3日東京・日本武道館にて『aMEI ASMR WORLD TOUR CONCERT in 日本武道館』を開催した。

 『AMIT2』(2015年)収録の「血腥愛情故事」で幕を開けたステージ。続けて『我可以抱你嗎?愛人』(1999年)から「當我開始偷偷地想你」、『我要快樂?』(2006年)から「不要亂說」など、序盤からベスト盤のように様々な時代の楽曲が次々と披露された。どの曲もシンフォニックメタルのような壮大さとヘヴィさ、EDMの高揚感あふれるビートが融合した現代的なアレンジが施され、ダークでスケールの大きな世界観が広がった会場。総立ちになった観客は、手を前後に揺らしながらアーメイの歌声とビートにその身を委ねた。

 MCは全編中国語。挨拶や感謝を述べている途中、興奮が抑えきれず立ち上がって叫ぶ観客に、「ありがとう。でも、ちょっと待ってね!」といった感じで対応する様子に、会場が笑いに包まれる場面もあったのは万国共通だ。

 中盤は、香港ノワール映画の雰囲気を持ったミュージックビデオが、900万回を越える再生数を記録した2017年のナンバー「你說了算 feat.瘦子E-SO」からスタート。ビジョンに映し出される瘦子E-SOのラップが実にクールで、楽曲終盤にはゴスペルのような重厚なコーラスが会場を温かく包み込んだ。また、民族的なメロディも印象的な1996年のデビューアルバム表題曲「姊妹」では、マイクを客席に向けると会場に大合唱が響き渡り、世代を越えて歌い継がれている中国の国民的ヒットナンバーであることを実感した。

 30年以上の活動の中で、ポップス、ロック、ジャズ、ソウル、レゲエなど、実に様々な音楽ジャンルにチャレンジしながら表現活動を行ってきたアーメイ。それを可能にしたのが、何者にも揺るがない彼女の強靱な歌声だろう。大きな赤い薔薇を模した衣装に身を包んで登場したライブ後半戦は、ミディアムナンバーやバラードを中心に披露された。

 昨年リリースしたシングル「離別總是那麼突然」を、ピアノを中心にした静かなサウンドをバックにしっとり歌い上げ、大きな拍手に包まれた会場。13年前のヒットナンバー「我最親愛的」や2017年のナンバー「連名帶姓」では、感極まった様子で涙を堪える彼女に代わって、観客の大合唱が日本武道館に響き渡った。

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