THE BACK HORN、足跡を確かめながら力強く進み続ける 最高の状態で締めくくった25周年

THE BACK HORN、パシフィコ横浜レポ
THE BACK HORN「コバルトブルー / Cobalt blue」MUSIC VIDEO

 一息入れた山田が「10代から組んだバンドが気づいたら40代半ばに。ずっと一緒だよね、やってること。まだ未熟なところもあるけど、まっすぐ音楽に向き合えているのは本当に幸せなこと。ギリギリな時がいっぱいあるけど、そこをみなさんに支えてもらって。嬉しく、感謝しています。ありがとうございます。まだまだ最高の夜にしましょう」と呼びかけた。ベースがイントロを鳴らすと歓声が起こった「涙がこぼれたら」は、菅波のハンドクラップにオーディエンスが合わせ、山田もステップを踏みながら歌い出す。「Running Away」の骨っぽいコーラスもオーディエンスが重ねるハンドクラップも止むことがない。山田が声をうわずらせるほど演奏のテンションが上がり、キレのいいイントロとともに「希望を鳴らせ」に突入。痛快なほどラウドな演奏はとどまるところを知らず、THE BACK HORNのライブのアンセムの一つ「コバルトブルー」では〈俺達は風の中で砕け散り一つになる〉という歌詞のままに、強く結びついた4人のサウンドが炸裂した。そして山田が「ありがとう、また会おう」と言うとキャノン砲が銀テープを盛大に放出した「太陽の花」は、途中のコーラスパートで松田が立ち上がりドラムスティックでタクトを取ったり、フロント3人はお立ち台にあがったりと傍若無人に盛り上げ、本編のラストを飾った。

THE BACK HORN

 アンコールでは今後の予定を松田が告知した後、「もうちょっとだけ、行きましょう」と「最後に残るもの」へ。この日に先行受け渡しされた『25th LIVE SELECTION』の「Package Edition」にも収録の最新曲だ。穏やかに力みない歌と演奏で曲が進むほどにバンドの存在感が伝わり、今の彼らを伝えてきた。これに続いたのはインディーズ時代の「泣いている人」。〈どうかあなたが 幸せでありますように〉という歌詞に初々しい純粋さが漂う曲が今の彼らによってドラマチックなストーリを孕んでいた。オープニングの「冬のミルク」もそうだったが、こうしたところが25年の彼らの足跡を感じさせるところだ。数え切れないほど演奏して来た曲に今の彼らの息吹が込められている。それができることがバンドの力だ。そう感じなかった曲は一つもない。

 ここで山田が「今日という日を特別なものにしたいという思いが強すぎたあまり、新曲を作ってきました。このあと9時情報解禁とか一切なく、この日のためだけに。聴いてください」。まだタイトルも歌詞も(仮)状態とのことで当然レコーディングの予定も立っていない曲を聴く僥倖に、この日ここに居合わせた人は遭遇したわけだ。全身を耳にして聴いた粗削りなTHE BACK HORNらしさ満載の曲が、今後どうなっていくのか楽しみしかない。そしてこの日のフィナーレとなったのは「刃」。ストレートなビートで畳み掛けるとオーディエンスもシンガロング、歌う山田と菅波が並んでお立ち台に上がり、岡峰はジャンプしながらベースを鳴らす。曲のエンディングと同時に会場の照明が一斉につき、バンドとオーディエンスを明るく照らした。

THE BACK HORN

 冒頭にも書いた『「25th LIVE SELECTION」Package Edition』についてのインタビューをした際に松田が、もう1枚アルバムを組めるぐらい曲を選びたかったと言っていた。その思いがこのライブのセットリストに表れていたのではないかと思う。その作品に収録した曲を軸にしているけれどそれだけで固めることはせず、ベスト盤などからこぼれそうだがバンドとしては外せない、というような曲を選んでいる。そして、この作品は25周年だから25曲にこだわったと言っていたが、ライブの演目は24曲。その理由はいろいろ想像できるけれど、私はこう思っている。このライブに来た人それぞれが思う曲を加えることで25曲が揃うのではなかろうか。共に祝うKYO-MEIは、これから完成していくのだ。この日、7月に全国4カ所での対バンツアーと7月28日の日比谷公園大音楽堂でのライブが発表された。彼らの26年目の歩みはこれからも続いていく。

■公演情報
THE BACK HORN「KYO-MEI対バンツアー」
日程/時間/会場
・7月7日(日)OPEN 17:15 / START 18:00 東京・渋谷CLUB QUATTRO  
・7月13日(土)OPEN 17:15 / START 18:00 大阪・梅田CLUB QUATTRO               
・7月19日(金)OPEN 18:15 / START 19:00 広島・広島CLUB QUATTRO 
・7月21日(日)OPEN 17:15 / START 18:00 愛知・名古屋CLUB QUATTRO           
※対バンは後日解禁
銀河遊牧民先行
受付期間: 4月7日(日)23:59まで
枚数制限:1公演につき2枚まで(複数公演申込可)
https://tixplus.jp/feature/thebackhorn_quattrotour2024/

一般発売日
6月1日(土)10:00〜                
チケット代
・スタンディング 通常チケット 5,500円                                                 
・スタンディング U-18チケット 3,500円                                               
※公演当日に18歳以下のお客様用のチケットです。ご入場時に身分証の確認をさせていただきます。                     
※身分証は、コピー及び、写真データは不可となります。有効期限内の現物をご持参ください。                
※身分証の確認が取れない場合、通常チケットとの差額2,000円をお支払いいただきます。

THE BACK HORN「KYO-MEIワンマンライブ」〜第五回夕焼け目撃者〜
日程:7月28日(日)
会場:日比谷公園大音楽堂(東京)

■プレイリスト
「THE BACK HORN 25th Anniversary「KYO-MEI SPECIAL LIVE」〜共命祝祭〜」
https://jvcmusic.lnk.to/THEBACKHORN_20240323

THE BACK HORN、25周年にして初のビルボードライブ東京公演 “動かない”スタイルでも変わらないパフォーマンスの芯

THE BACK HORNのビルボード東京でのライブは、新アルバム『REARRANGE THE BACK HORN』を携えて全5…

THE BACK HORN、アジカン、ACIDMAN……キャリアバンドは過去楽曲をどうアップデートする? 原曲と異なる新たな世界観も

キャリアの長いバンドが過去作品/楽曲をリアレンジし、改めてリリースすることも珍しくはない。何故、彼らは“名盤”“名曲”と呼ばれる…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる