ポルノグラフィティ、今の時代にこそ響く讃歌「解放区」 25周年記念ツアーで新たな手応えも

ポルノ、25周年記念ツアーに手応え

ツアーはみんなと一緒に育ててきた曲を楽しみ尽くす雰囲気に

――3曲目には「OLD VILLAGER」を収録。『18th ライヴサーキット“暁”』のファイナルとして昨年1月に開催された日本武道館2DAYSのみで披露されていた楽曲です。かなりラウド寄りのギターロックになっていますね。

ポルノグラフィティ『OLD VILLAGER』(18thライヴサーキット“暁” Live at NIPPON BUDOKAN 2023)

岡野:この曲はまずtasukuくんにトラックを作ってもらうところから制作がスタートしたんですよ、そのときのオーダーが「ギターロックを作ってほしい」というもので。自分の原体験として根本に流れているサウンドを今、あらためてやってみたかったんですよね。

――ギターロックと言っても、その方向性はいろいろあると思うんですけど、具体的にオーダーはしなかったんですか?

岡野:そこはtasukuくんなりの意図に任せた感じでしたね。彼はギタリストなので、そういった立場から今の時代のギターロックを作り上げてくれたんだと思います。ギターがあまり鳴らない時代に、ちゃんと激しく鳴ってるタイプのギターロックを。

新藤:でね、サウンドがディストーションギターたっぷりなものになっていたので、そこで描くべき感情は何かなって考えると、それは必然的に“怒り”になっていった感じで(笑)。これを書いた当時の気持ちは忘れてしまったけど、今あらためて見直してみると、長いこと音楽をやってきたからこそ感じる時代の変化みたいなものがすごく出ているような気がしますね。言ったら、それは「解放区」の歌詞を書くときに抱いていた思いと共通しているというか。

――昔と今の時代性のギャップみたいなことですかね。

新藤:うん。時代ごとの考え方や纏っている価値観の違いみたいなことですよね。昔が悪いってわけではないと思いたいけど、古いか新しいかで言えば、確かに古くはあるよねっていう。そう思わされることが多いんだと思います。

――この曲を武道館で披露される際、晴一さんは「未来を想像するときに、ある程度の自分を思い浮かべがちなことが多い。そうすると、それ以上の自分になれない」といったことを話されていましたよね。

新藤:自分に期待しすぎないほうが傷つかずにすみますからね。ハードルを下げれば下げただけ生きやすくなる部分があるというか。でもそれって結局は上手くいかないことを前提に考えていることでもあると思うので、自分としては寂しいことだなって思うんですよ。振り返れば自分たちは荒唐無稽な夢を抱いて田舎から出てきたタイプですけど、今の人たちはそういったサイズ感では物事を見ていないような気がするというか。そんな思いも歌詞を書く上では影響していたような気がします。

――この曲においても昭仁さんは多彩なボーカル表現を聴かせてくれていますね。パートによっては、ちょっと気だるげに歌ってみたりとか。

岡野:トラックをtasukuくんに作ってもらったので、僕としてはシンプルにメロディだけを書いていったんですね。なので、ボーカルの表現に関しては、曲の構成上求められているものに応えていったというよりは、よりメロディと歌詞がマッチするように歌うことを心掛けた結果だと思います。同時に、キャリアを重ねる中で、ロックボーカリストとして歌に強弱をつけることが多少はできるようになってきた自負があるので、いろんな表現をしてみたいんだと思います。自分の中の流行りというか(笑)。

――1月からスタートした25周年の記念ツアー『19th ライヴサーキット“PG wasn't built in a day”』も大詰めです。各地を巡る中での手ごたえはいかがですか?(このインタビューが行われたのは9公演目が終了したタイミング)

岡野:周年のツアーとしてお祭り騒ぎ的なことをやっているんですけど、そのコンセプトがしっかり伝わり、みなさんすごく楽しそうにしてくれているのが僕らとしても嬉しいです。みんなが待っててくれる曲をやりつつ、意外性みたいなものを盛り込んだセットリストもちゃんと喜んでもらえている実感がありますね。

新藤:みんなと一緒に育ててきた曲ばかりですからね。それを楽しみ尽くす雰囲気は、長いことやってきたからこそのものだと思います。曲ごとに紐づいているいろんな思い出も含め、それぞれの人が楽しんでくれているような気がしますね。

――今回のツアーではライブ中に一部撮影OKのパートが用意されているのが新しい試みですよね。SNS上にたくさんの動画がアップされています。

岡野:あ、そうですか! 僕もちょこちょこは目にしているんですけど、それがたくさん拡散されているのであればね、僕らの意図がちゃんと伝わっているということで。やってみた意味もあるなと。

新藤:そもそも、なんで撮影したらダメなんだろうっていう素朴な疑問があったんですよ。海外のアーティストはだいたいOKでしょ? そんなことをずっと言い続けた結果、今回やってみることができて。ネタバレがイヤな人の気持ちもすごくわかるので、今回はとりあえず1曲だけOKにしました。僕もまぁまぁ目に入ってきますね、Xなんかで。

――ポルノファン以外の人にもアピールできている施策だと思います。ポルノのライブに行ったことない人が、「楽しそう!」とコメントしているのも目にしますし。

岡野:そういう広がり方はすごくいいことですよね。今の時代っぽいし。

――「THE FIRST TAKE」への出演なども相まって、新しいファンが増えている実感もあるのですが、そのあたりはどう感じていますか?

新藤:スタッフ曰く、初めてライブに来てくれる人も多いみたいで。

岡野:今回はアリーナツアーだったので、初めての人もチケットにアプローチしやすい部分もあったのかもしれないですね。体感としては男の子のファンが増えた気もするな。昔はね、人数的に少ない男子が頑張って声を張り上げてくれていたけど、今回は女子の人数を上回ってるんじゃないかってくらいのド太い声援がアリーナに鳴り響いてますから(笑)。それは純粋に嬉しいことではありますよね。

新藤:ギターソロなんかで男子からの黄色い声が湧き上がったりしたらね、それは嬉しいことですよ、やっぱり。

■リリース情報
「解放区」配信URL
https://pornograffitti.lnk.to/kaihouku
『解放区』
リリース日:3月27日(水)※表題曲「解放区」は3月20日(水)に先行配信
商品概要
初回生産限定盤A(SECL 2968~9):CD+BD ¥5,000(税込)
初回生産限定盤B(SECL 2970~1):CD+DVD ¥4,500(税込)
通常盤:CDのみ(SECL 2972) ¥2,000(税込)

購入はこちら:https://pornograffitti.lnk.to/Kaihouku_CD

<収録楽曲>
「解放区」
「アビが鳴く」
「OLD VILLAGER」
「THE DAY - From THE FIRST TAKE」
「アゲハ蝶 - From THE FIRST TAKE」

<映像>
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023ライヴ映像収録

■ポルノグラフィティ 関連リンク
「19thライヴサーキット」特設サイト:https://sp.pornograffitti.jp/19lc/
YouTube:https://www.youtube.com/user/pornograffittiSMEJ
X:https://twitter.com/pg_koushiki
Instagram:https://www.instagram.com/pg_staff/
TikTok:https://www.tiktok.com/@pg_koushiki
Official Site:https://www.pornograffitti.jp/

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