藤井 風、ポルノグラフィティ、乃木坂46、ano feat. 幾田りら、Travis Japan、ねぐせ。……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は藤井 風「満ちていく」、ポルノグラフィティ「解放区」、乃木坂46「チャンスは平等」、ano feat. 幾田りら「絶絶絶絶対聖域」、Travis Japan「T.G.I. Friday Night」、ねぐせ。「めちゃくちゃ好きな人を愛すように世界を愛して!」の6作品をピックアップした。(編集部)

藤井 風「満ちてゆく」

 映画『四月になれば彼女は』の主題歌となる書き下ろし新曲。最初はピアノの弾き語りで進むクラシカルなバラードかと思うのだが、印象は途中からがらりと変化。ジャジーなビートが入り、ピアノの音数が増えて奏法も明らかに変わり、本人による多声コーラスに包まれていけばゴスペル風の高揚を味わえる。さらにシンセサイザーが天に駆け上がっていく間奏のあとの、ラストに至る幸福感が素晴らしい。たとえるなら何十人もの藤井 風に囲まれ、ただ生きていること、生きてきたこれまでを祝福してもらっているかのような、まさに「満ちていく」最終章。本人が働く青年役、特殊メイクの老人役などで出演するMVは、一本の映画を見たような余韻を残す。(石井)

藤井 風 - 満ちてゆく Official Video

ポルノグラフィティ「解放区」

ポルノグラフィティ『解放区』Lyric Video (Short ver.)

 25周年の第一弾シングルからタイトル曲。歌謡曲とロックを掛け合わせた曲調はもちろん、熱苦しさの一歩手前まで迫ってくる岡野昭仁(Vo)の歌唱力と、ファンタジックな世界に一瞬でワープしてみせる新藤晴一(Gt)の歌詞世界がポルノグラフィティの専売特許。この曲はそういうオリジナルに力強いメッセージを組み込んだものだ。〈ダンス イン ザ ダークネス ワールド〉〈この国は終わらない〉などの言葉が飛び足すサビに、暗い世相でも確かな希望を探そうとする今を感じる。ただ、リアリティばかり重視せず、〈ライオンたちは吠える/ライト アップ サファリ〉なんてイメージに飛躍するところが実に彼ららしい感性。爽やかさの中に威風堂々の覚悟を滲ませた曲だ。(石井)

乃木坂46「チャンスは平等」

乃木坂46『チャンスは平等』

 5月に卒業を控えた山下美月がセンターをつとめる35thシングルの表題曲「チャンスは平等」のコンセプトは、80年代のディスコ音楽。ファンク、ソウルの匂いをたっぷりと注入したサウンドの中で、心地よいグルーヴと抑制されたメロディが響き渡り、まさに〈勝手に身体が 動き出すよ〉というフレーズ通りの楽曲に仕上がっている。“誰にでもチャンスは巡ってくる。そのときは自分の直感に従い、思い切って前に進もう”というメッセージを込めた歌詞は、山下へのエールを感じると同時に、新たな環境に飛び込む人が多いこの季節にもぴったりだ。アメリカの音楽番組『ソウル・トレイン』をモチーフにした、ダンスクラシックなMVの振り付けも楽しい。(森)

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