『ソニックシンフォニー』オーケストラ×ロックバンドによる熱狂のステージ ワールドツアー東京公演を目撃

 この日、“東京公演で初めて演奏する曲”として、他の公演のセットリストに加えて2曲追加されていた。それが「I’m Here - Revisited」と「Find Your Flame」。両方ともメタルの流れを引き継ぐものだが、「Find Your Flame」は特に圧巻だった。この曲で人間離れしていたのはベーシストのルイスである。ラップしながら超絶的なスラップで弦を弾く。弾きまくる。これらメタルセクションあたりでバンドのスケール感、達人級のパフォーマンスは極致に達していたと思う。

 バンドの熱量が最高潮になってきたところで演奏された「Endless Possibility」。2021年6月に配信ライブとして行われた『Sonic 30th Anniversary Symphony』(※1)でも語り草となったこの曲は、やはり今回のライブでもハイライトのひとつだった。このライブはアルバム音源として同年8月に各種ストリーミングサービスで配信されたが、「Endless Possibility」は2024年2月現在Spotify上でも突出した再生数を誇っている。この曲が演奏された時の一体感は、まるで2021年にオンライン上に打ち立てられた物語の伏線回収のような瞬間だったのではないだろうか。

 しかも、この直後に真打のごとく瀬上氏が姿を現し、「まだやっていない曲がある」と言って「Escape From The City」の演奏を始めるのである。伏線回収どころか、勢い余ってもう一度オープニングからプレイしてほしいと思うくらい、こちらも体からエネルギーが湧いてくる。時計に目をやると、すでにライブ開始から2時間以上が経過していた。「Live & Learn」により大団円を迎えたが、ラストのシンガロングがこの日最大のボリュームだったような気がする。大谷氏が「年イチでやりたい」と言っていたが、会場に詰めかけた全員が同じ思いを持っていたのではないかと推察する。

 セットリストをすべて終えたのち、ステージ上のスクリーンにエンドロールが流れた。その時のBGMが、原曲=メガドライブ版の「Green Hill Zone」である。途方もない充足感と、一抹の切なさ。それはさながら、初めてソニックをクリアしたときの感覚に似ていた。

※1:https://www.youtube.com/watch?v=UGTlBHNvjsU&t=3856s

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