Ado、BE:FIRST、TWICE、星街すいせい、Saucy Dog、羊文学……注目新譜6作をレビュー
星街すいせい「教室に青」
葛藤、焦燥、迷い、そして、きっとどこかにあるはずの希望。青春と呼ばれる時期にしか体験できない鮮やかで生々しい思いがダイレクトに伝わってくる。VTuberグループ「ホロライブ」と、「可愛くてごめん」などで知られるクリエイターユニット HoneyWorksのコラボプロジェクト「hololive × HoneyWorks(ホロハニ)」によるアルバム『ほろはにヶ丘高校 -Originals-』に収録された「教室に青」は、ぶつかりながらも支え合ったクラスメイトとの思い出を背景にした青春ソング。煌びやかなピアノ、尖ったギター、ダイナミックな弦の響きを活かしたサウンド、大胆な転調を活かしたドラマティックなメロディ、そして、青いエモーションを瑞々しく描き出すボーカルが心地よく響き合っている。(森)
Saucy Dog「この長い旅の中で」
人生を家族に搾取されてきた女性が、声が出せない少年との出会いをきっかけに、自らの過去と向き合い、自分を取り戻すまでを綴ったベストセラー小説『52ヘルツのクジラたち』がついに映画化。主題歌「この長い旅の中で」は、〈誰にも届かないSOS〉を抱えた“僕”の感情の変遷を描いたミディアムナンバーだ。こんな自分でも、気にかけてくれたり、心配してくれる人がいる。もしその人のことを信じられたら、もう少し明るい気持ちで日々を歩めるかもしれない——。祈りにも似た思いを込めた歌詞は、シンプルかつ詩的な表現も相まって、幅広い層のリスナーの人生や生活に寄り添い、淡い彩りを与えてくれるはず。歌詞を伝えることに心を砕いたボーカル、感情の揺れや滲みを感じさせる(どこかシューゲイズ的な雰囲気をたたえた)ギターサウンドも心に残る。(森)
羊文学「tears」
6月公開の映画『かくしごと』主題歌となる書き下ろし新曲。「歪で深い親子の愛を掬い取るようなイメージで作った」とは塩塚モエカ(Vo/Gt)のコメントである。額面通りに受け取れば、歪んだノイズ、割り切れない愛憎を描く歌などが想像できるが、実際はずいぶんと静的な一曲だ。淡々と続くギターは最後までワンコードで進み、ベースとドラムの動き、歌唱の感情表現などは最低限に抑えられている。どこまでも淡いこの曲に鮮烈な爪痕を残すのはチェロの響き。いわゆるストリングス導入とは似て非なる、もうひとつの低音主旋律。後半どんどん熱量を上げていくチェロが、バンドがあえて言葉にしなかったエモーションの昂ぶりを伝えてくれるのだ。(石井)
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