西川貴教、小室哲哉とは必然の初タッグに 『ガンダムSEED FREEDOM』を彩る“運命の1曲”
劇場アニメ『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が1月26日に封切られ、公開から約2週間で観客動員163万人、興行収入26億8000万円を記録するなど大きな反響を呼んでいる。同作は、21世紀最初のガンダムシリーズとして2002年から2003年にかけて放送されたテレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』および2004年から2005年の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の続編にあたる完全新作劇場アニメ。約20年の時を経て完成した待望の新作なだけに、当時からのファンにはもちろん、リアルタイムで「SEEDシリーズ」に触れていない若い世代のガンダムファンにも熱狂をもって迎えられた。
同作の主題歌には、西川貴教と小室哲哉の初タッグによって生み出された楽曲「FREEDOM」が使用されている。「西川貴教 with t.komuro」名義で、歌唱を西川が、作詞・作曲・プロデュースを小室が務めた。ビッグタイトルにふさわしいビッグネームのコラボレーションではあるが、主題歌アーティスト発表時の西川のコメントに「ガンダムの歴史を踏まえた座組で」(※1)とあった通り、これは単に2組の大物アーティストが集結したというだけの事象ではない。歴史的な意義や必然性がそこには多分に含まれているのである。
西川は『SEED』の初代オープニングテーマ「INVOKE -インヴォーク-」や『SEED DESTINY』の初代オープニングテーマ「ignited -イグナイテッド-」をはじめ、挿入歌も含めると5曲にのぼる「SEEDシリーズ」関連楽曲をT.M.Revolution名義で手がけ、2010年にはそれらをコンパイルしたアルバム『X42S-REVOLUTION』を発表している。さらに声優としても『SEED』ではミゲル・アイマン役、『SEED DESTINY』ではハイネ・ヴェステンフルス役を務めるなど、作品との関わりが非常に深い1人だ。「SEEDシリーズ」全作で監督を務める福田己津央も彼について「もはや盟友、現場スタッフとお呼びしても」(※2)とコメントするほど全幅の信頼を寄せている。今作の主題歌アーティストとして、西川以上の適任はいないと言っていいだろう。
一方の小室も、ガンダムシリーズとは浅からぬ縁のあるアーティストだ。1988年公開の映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で主題歌「BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)」をTM NETWORKとして手がけており、ガンダムシリーズへの楽曲提供は実に36年ぶりとなる。古くからのガンダムファンの中には、小室に対して“ガンダム関連アーティスト”としての思い入れが強い人も少なくないのではないだろうか。
そんな両者の巡り合いには、前述のようなガンダム視点での有意義性のみならず、音楽的な必然性も十分であった。たまたま今回が初コラボとなったが、そもそもこの両名は初めから音楽シーンの中で非常に近しい存在だったからだ。西川のソロプロジェクトにあたるT.M.Revolutionがデビュー当時からサウンド面において小室の楽曲の影響下にあったことは、誰もが知るところだろう。すなわち西川のボーカルと小室サウンドの相性のよさに関しては、事実上とっくの昔に証明済みだと言っても過言ではないのである。これは想像に過ぎないが、いわばムウ・ラ・フラガとラウ・ル・クルーゼの関係のような、言葉を超えて通じ合う何かが2人の間にはあったはずだ。