Kis-My-Ft2「当たり前なことなんてない」 新体制6人で駆け抜けたアリーナツアーでの誠実さ
Kis-My-Ft2によるアリーナツアー『Kis-My-Ft2 -For dear life-』が、2月15日に東京・国立代々木競技場 第一体育館でファイナルを迎えた。
今回のツアーは、昨年8月に北山宏光が卒業し、6人の新体制となってからは初めてのツアーとなる。「For dear life」=「全力を尽くす」というテーマを掲げ、昨年10月からスタートし、全国8カ所で計26公演を実施、トータル約26万5000人を動員した。本稿ではツアー最終日、2月15日昼公演の模様をレポートする。
この公演のスタート前には、囲み取材も行われた。代々木第一体育館でのライブは実に13年ぶり、デビューが発表された公演以来。宮田俊哉は、「客席や天井の感じを見て『ここでデビューの発表があったんだ』って思い出して……なんかエモかったです!」と語る。藤ヶ谷太輔は、「会場に来ると(当時)着ていた衣装とか歌とかを鮮明に思い出します」と感慨深げな様子だった。
6人での新体制の活動がスタートしたことに対し、今回のツアー演出やセットリストを担う中心メンバーの二階堂高嗣は最初は不安があったというが、「包み隠さず僕らもファンも楽しめているので、今は安心してライブができています」と、手ごたえを感じているよう。衣装を担当した玉森裕太は、「衣装を着た自分もテンションが上がって、観てくれた方もかっこいいと思ってくれるような衣装作りを心がけています」とこだわりを明かした。
また、コロナ禍を経て今回のツアーで約4年ぶりにファンの声出しが可能となったことについて、千賀健永は「みなさんの声と僕らの声が重なってステージが出来上がるんだとあらためて感じる。(声を聞いて)僕らもボルテージが上がるので、あの瞬間にすごくスイッチが入りました」と語る。横尾渉も「始まる前からファンのみなさんが『キスマイGO!』って言ってくれて、僕らのテンションも上がっていく。本当に力をくれます」とファンの声のありがたみを感じた様子だ。
この日は関東に春一番の一報がもたらされた、季節外れの暖かな日だった。ツアー最終日ということもあってか、客席のざわめきもどこか軽やかな高揚感に包まれている。会場の照明が落とされるとその高揚感が花開き、代々木第一体育館が大きな歓声に包まれた。
オープニングムービーの最後に、「当たり前なことなんてない」というメッセージが大きく映し出される。そこには新体制となった彼らの覚悟が滲み、皆が息をのむような一瞬の後、モニターには初夏オリジナルアルバム発売と東名阪ドームツアーを知らせる特報が。突然のサプライズに喜びと驚きの声が沸き起こるなか、Kis-My-Ft2メンバーの後ろ姿がメインステージに浮かび上がった。大歓声に迎え入れられ披露されたこの日のオープニングナンバーは、「Rebirth Stage」。MVの衣装をオマージュしたというモノクロを基調とした衣装に身を包み、大人の色気と力強さを前面に打ち出したダンスで視線を惹きつけた。
さらに「HANDS UP」「Edge of Days」「Smokin' Hot」とハードなダンスナンバーを繰り広げていく。メインステージ、花道、センターステージ、後方のサブステージと、次々に移動しながらのパフォーマンスで客席のボルテージを上げ、「Mr.FRESH」でのメンバーひとりずつの挨拶とコール&レスポンスで、会場をひとつにしていった。
ピンクカラーを基調に妖艶な雰囲気が漂い、メンバーが少しずつ逆さまになる不思議な世界が表現されたインターバルムービー。その映像に誘われるように始まった「CHUDOKU」のパフォーマンスは、驚きに満ちたものだった。椅子に座った6人が再登場、そのまま空中にフライングし、逆さまになったり回転したりと映像とリンクしながら、楽曲の色気やメロウな空気を表現していく。
シンプルな構成のなか高いダンススキルを見せつけた「Akumu」、ステージを彩る鋭いレーザーライトを操るような「You know what?」、ミラーボールのオブジェがステージを華やかに彩り、宮田と二階堂のタップダンスで盛り上がりを見せたパーティーチューン「Tequila! -テキーラ-」と、キスマイらしいダンスパフォーマンスが次々と展開される。「Lemon Pie」では息の合ったダンス&ボーカルに加えて、会場中に甘いレモンの香りが漂うという斬新な演出もなされ、強烈な印象を残した。さらに、「SHE! HER! HER!」「AAO」とシンガロングや振り付けでファンと心を通じ合わせる楽曲が続き、前半のステージが終了。会場の隅々まで視線を送り、愛おしそうに客席を見つめる彼らの表情が印象的だった。
MCコーナーは、この日の陽気な気温もあって、ファンも一緒に「ツアー最終日に乾杯!」と水分補給タイムからスタート。13年ぶりの代々木第一体育館でのライブに感慨深げな様子を見せるメンバー。ライブの楽しさやツアー完走直前の喜びが語られるなか、宮田が「ニカ(二階堂)、今日どうした? 『Tequila! -テキーラ-』の時、ぜえぜえしてなかった?」と、「Tequila! -テキーラ-」の曲中に息切れしていたことにツッコミを入れると、二階堂は「気温もあると思う」「それにここ(代々木第一体育館)の花道が長いんですよ……」、そう言って短い時間でステージ下を低姿勢でダッシュしなければならない苦労を吐露。すると、その姿を二階堂がステージ上で再現する流れに。さらに宮田も再現することになり、会場は大盛り上がりだ。
今回のツアーについては「6人の形を作っていこうっていうツアーだった」と語り、ライブ冒頭にサプライズ発表された10枚目のオリジナルアルバム発売とドームツアー開催についてもあらためてファンに報告。大きな拍手が送られる。「アリーナツアーをやっていくなかで、『やっぱり俺たちはドーム立ちたい!』っていう気持ちになって、やらせていただけることになった」と、宮田が心境を告白。二階堂は、「『MCで詳細話します』って言ったけど、まだ話すことがない」と溢すと、藤ヶ谷が「詳細が決まってないわりには、(特報映像で)『詳細待て!』って強気じゃなかった?」と笑いながら指摘。横尾が「今回のツアー(『Kis-My-Ft2 -For dear life-』)よりは早くお知らせできるようにするので……」と笑いを誘う。アルバムとツアーについては、現在進行形で打ち合わせが進められていることを報告した。