EXILE TAKAHIRO、ソロ10周年から得た学び 初心と責任感を大切に挑んだ武道館を振り返る

「曲繋ぎから生まれる“うねり”がEXILE TAKAHIROならではの面白さ」

――さてここからは、映像作品『EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 “EXPLORE”』のお話を。特別な1日になったと思いますが、そこに至るまではどのようなことを考えながら準備していましたか?

TAKAHIRO:僕はもともと2006年9月22日に日本武道館で行われた『EXILE Vocal Battle Audition 2006 〜ASIAN DREAM〜』の最終審査を機に、EXILEに加入することになったので、9月21日に日本武道館ライブをやることが決まった時は、ソロ活動10周年の集大成、一つのゴールだなと思っていたんです。ですがリハーサルをしていくうちに、その感覚がなくなってきて。ゴールじゃなくて、スタートだなと思い始めたんです。自分がこれから進む先を見せるライブだなと。そう思いながらライブを作っていったので、武道館のセットリストは、自分がファンだったら聴きたいと思うツンデレで言うところの“デレ曲”と、良い意味で裏切りを生んでいく“ツン曲”、そして“未来のEXILE TAKAHIROを見せられる曲”の3本柱で構成しました。

――メイキング映像では、「運命のヒト」をどのタイミングで披露するか悩む姿もありましたね。

TAKAHIRO:17年前のオーディションの最終審査で歌わせていただいたのが「運命のヒト」だったので、この曲は絶対お届けしたいと思っていたんです。でも、何かしら予想を裏切りたいなとも思ったので、あえて本編では歌わないセトリにしました(笑)。

――それでアンコール1曲目に披露したんですね。アルバム『EXPLORE』もリリースしたばかりでしたし、「運命のヒト」以外の選曲も相当悩んだのでは?

TAKAHIRO:選びきれないほどの楽曲があるので、悩みました。ただ、たとえどの曲を選んでも、その曲は僕にとっても、ファンのみなさんにとっても、これまで歩んできた人生の背景で流れてきたかけがえのない楽曲だと思うので。1曲1曲責任感を持ってお届けすれば、「あの時、こういう気持ちでこの曲を聴いてたな」とか「あのライブで聴いた楽曲だ」とか、音楽と共に自分の人生を振り返ってもらえるだろうなと思いましたし、明日に希望を持ってもらえる、そんなライブにできたらいいなと思っていました。

――ライブ当日はどんな気持ちで過ごしていたんですか?

TAKAHIRO:ちょっとだけ秋めいてきた外の匂いや、武道館の場内の独特の雰囲気が、自分を17年前に連れて行ってくれたというか。オーディションの日を昨日のことのように思い出して、初心に返りながら本番を迎えました。あと、自分もこれまでいろんなアーティストの武道館ライブを観てきたなかで、正面入り口にバーンと飾られた出演アーティストの看板を見て、毎回迫力を感じていたんですけど、この日は自分の看板が飾られるということで、それをどうしても見たくて。 開場前とはいえ、すでにファンのみなさんがグッズ売り場に並んでくださっていたんですが、こっそり外に見に行きました(笑)。

――そんな時間に表にTAKAHIROさんがいるとは、誰も思わなかったでしょうね(笑)。

TAKAHIRO:あははは。でも、楽屋入りしても、「本当に今日やるのかな?」という感覚だったので、思い切って見に行ってよかったです。正面に飾られている「EXILE TAKAHIRO」の名前を見て、ようやく「俺、今日武道館に立つんだ」と実感が湧いてきて。1日しかないので、隅から隅まで楽しまないと! と気合いが入りました。

――アルバム『EXPLORE』のインタビューで、「Happy Birthday」はバンドメンバーと共にツアーで披露するたびに新たなアイデアが生まれて、音源化するまでにアレンジがかなりアップデートされたと話していましたが(※1)、そんな気心の知れたバンドメンバーと共に武道館に立つにあたって、新たにアップデートされた部分はありますか?

TAKAHIRO:一流のミュージシャン揃いなので、僕が参加するリハーサル初日の段階でほぼほぼ僕好みにでき上がっていて、「もう明日ライブやれるね!」というレベルの仕上がりだったんですけど。良いものを聴くと、僕も刺激を受けて「もっと良くしたい」という欲が出てくるので、いろいろと提案をさせてもらいました。ただ、絵を1枚1枚並べて個展を行う時と同じように、実際に武道館で全曲を並べて演奏してみると、1曲1曲は完璧に仕上げたはずなのに、「ん? この曲はこの曲の後だと違和感があるな」とか「この曲とこの曲の間は、こう繋げたいな」といったことが見えてきて。照明や映像が加わるとまた印象も変わってくるので、ギリギリまでアップデートを繰り返しました。

――特に力を入れたのは?

TAKAHIRO:曲繋ぎですね。例えば本編前半は、このブロックで今日1日のテーマを掲げたいなと思ったので、「EXPLORE」や「YOU are ROCK STAR」といったバンド感を全面に出した楽曲を並べて、曲と曲の間もあえて意識しないで突っ走ったんですよ。でも、本編の真ん中あたりはミディアムテンポの楽曲で浸ってもらおうと思っていたので、曲繋ぎにもこだわって、世界観が繋がっているような演出にしました。その上で特に力を入れたのは、リズム隊の演奏ですね。僕は歌う時もリズム隊の音をよく聴いているのですが、曲繋ぎに関しても、そこに変化があるともっと魅力的な流れになると思ったので、「ドラムのフィルはこうしてほしい」とか「ベースラインはこうして」とか結構細かく伝えました。

――本編の真ん中というと、「THIS IS LOVE」あたりですか?

TAKAHIRO:はい。この曲は新曲でありながら、すごく壮大なバラードなので、そこで一気に世界観が広がるようにしたいと思っていましたし。「THIS IS LOVE」の前に披露した「羽1/2」(EXILE第一章の楽曲)も長く応援してくださっている方にとって大事な曲で。カロリー高めな2曲が続いたので、「THIS IS LOVE」に至るまでのイメージ作りと、曲終わりの余韻はかなり気にして作りました。そしたら、後で「『THIS IS LOVE』が良かった」という感想をたくさん見かけて、作戦成功! みたいな(笑)。ギリギリまでこだわって良かったなって思いました。

――選曲や曲順だけでなく、曲間のバランスによっても、ブロックごとに感じる熱量やスケールが変わってくることを理解すると、ライブの楽しみ方が変わりますね。

TAKAHIRO:そうですね。それによって生まれる“うねり”が、EXILEとも違う、EXILE TAKAHIROのライブならではの面白さだと思うので、曲繋ぎにも注目して映像を観ていただけたら嬉しいです。

EXILE TAKAHIRO / EXPLORE(EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 "EXPLORE")

「2024年は昨年以上にソロ活動に注力する年に」

――他に、TAKAHIROさんのお気に入り曲を挙げるとしたら、どの曲でしょうか。

TAKAHIRO:「時の描片 ~トキノカケラ~」は、武道館で披露できて嬉しかったですね。当時は第二章が始まったばかりでしたし、ホールツアー『EXILE SHOWCASE LIVE 2008』を経て、初のドームツアー『EXILE LIVE TOUR “EXILE PERFECT LIVE 2008”』を行ったりとすごく忙しい時期で、「時の描片 ~トキノカケラ~」はその中を共に駆け抜けた青春の1曲。曲調はミディアムテンポなんですけど、披露するたびにファンのみなさんが感極まった表情をしてくださる曲なんです。なので、これは武道館でもぜひやりたいなと思いました。あとは「響 ~HIBIKI~」! この曲は、今聴いてもEXILEに対する恋心を感じます。そんな甘酸っぱい気持ちで選曲したのが、「Beautiful」「時の描片 ~トキノカケラ~」「響 ~HIBIKI~」「変わらないモノ」のブロックで。他の曲はファンのみなさんのことを意識していたんですけど、この4曲は完全に僕の独断で決めた“僕のファン心のエモコーナー”ですね(笑)。

EXILE TAKAHIRO / 時の描片 〜トキノカケラ〜(EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 "EXPLORE")

――アンコールが「運命のヒト」「もっと強く」「Spotlight ~光の先へ~」というバラード3曲で締め括られたのも、ある意味攻めた選曲だと感じました。

TAKAHIRO:アンコールの1曲目に「運命のヒト」をやると決めた後で、あと2曲どうしようかなと考えて。いつもだったら、最後は盛り上がって終わろう! とかバランスを考えて選ぶんですけど、今回は素直に今歌いたいと思う曲を歌うことにしたんです。MCで今の気持ちを伝えるより、音楽を通して感じてもらえたらいいなという想いもありました。

――「もっと強く」には〈必ず夢を持つとか/背負わなくていい ただ生きよう〉などメッセージ性の強い歌詞が綴られていますが、リリース当時(2010年)とは違った意味を持って、あの日の武道館に響いていたように思います。歌ってみていかがでしたか?

TAKAHIRO:僕もあの頃聴いていた感覚と、最近の「もっと強く」から伝わってくるものは違うなと感じていますね。コロナ禍や自然災害など、当たり前だと思っていた日常が当たり前じゃなくなって、何が起きてもおかしくない時代になってきた今、以前よりもこの歌が沁みるなと。それをあえてアンコールで歌うことで、本編とはまた違うメッセージを受け取ってもらえたらと思いました。

――『EXILE TAKAHIRO LIVE TOUR “TAKAHIRO 道の駅 2023” 〜Road to EXPLORE〜』の1曲目を飾った「Spotlight ~光の先へ~」で、『EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 “EXPLORE”』を締め括ったのはなぜでしょうか。

TAKAHIRO:自分の中では、武道館で一区切りという気持ちがあったんですよね。だから、10周年イヤーを締め括るメモリアルなライブを武道館でやれたことへの感謝を、ATSUSHIさんと俊さんが作ってくださった「Spotlight ~光の先へ~」に込めて、最後にお届けしました。ホールツアーでは、見えないところからフッと出てきて「Spotlight ~光の先へ~」をオープニングで披露したので、今回はライブのラストに音楽と共に光の中に消えていく演出が素敵かなと。

――光の先へ?

TAKAHIRO: そうですね。光に包まれ、光の先へ帰っていく演出にすることで、記念すべき1日を美しく終えることができたなと思います。

――では最後に、4月からは新たなソロツアー『EXILE TAKAHIRO LIVE TOUR 2024 “FULL THROTTLE”』も始まりますので、2024年の意気込みを聞かせてください。

TAKAHIRO:2023年もまさに光を浴びた1年で、ソロとしては山場のような年になったんですけど、もう1つ大きな山場があったんだ!? と思えるくらい、昨年以上にソロ活動に注力する年にしていく予定です。どちらかというと昨年はインプットの多い年だったので、今年は学んだことをアウトプットできる年にしたいですね。それと実は、今年前厄に突入しまして、年始早々すごく体調を崩していたんです。でも、それで全部厄が落ちたんじゃないかなと(笑)。ここからはフルスロットルで突き進んでいけたらと思っています。ありがたいことに、晴れ男とかパワースポットと言っていただくことも多いので、その効力が落ちないように、厄に負けずに頑張ります!

※1:https://realsound.jp/2023/09/post-1427888_2.html

『EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 "EXPLORE"』

◾️リリース情報
EXILE TAKAHIRO
NEW LIVE DVD/Blu-ray
『EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 "EXPLORE"』
発売中

購入リンク:https://exile-takahiro.lnk.to/CxN425-20240214-budokan
SET LIST プレイリスト:https://avex.lnk.to/EXPLORESETLIST

◾️ツアー情報
『EXILE TAKAHIRO LIVE TOUR 2024 “FULL THROTTLE”』
4月17日(水)神奈川:KT Zepp Yokohama 開場17:30/開演18:30
4月18日(木)神奈川:KT Zepp Yokohama 開場17:30/開演18:30
4月25日(木)北海道:Zepp Sapporo 開場17:30/:開演18:30
5月7日(火)福岡:Zepp Fukuoka 開場17:30/開演18:30
5月8日(水)福岡:Zepp Fukuoka 開場17:30/開演18:30
5月16日(木)大阪:Zepp Osaka Bayside 開場17:30/開演18:30
5月17日(金)大阪:Zepp Osaka Bayside 開場17:30/開演18:30
5月20日(月)愛知:Zepp Nagoya 開場17:30/開演18:30
5月21日(火)愛知:Zepp Nagoya 開場17:30/開演18:30
5月25日(土)東京:東京ガーデンシアター 開場16:30/開演17:30
5月26日(日)東京:東京ガーデンシアター 開場15:00/開演16:00
<チケット料金>
・Zepp 1階スタンディング:9,900円(税込)/2階指定席:9,900円(税込)
※整理番号付き・入場時ドリンク代別途
・ホール 全席指定:10,450円(税込)
詳細:https://www.ldh-liveschedule.jp/sys/tour/26197/

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