EXILE TAKAHIRO、ステージで歌うことへの自信と責任 15年分の想いが詰まった「道」をもう一度届ける理由
EXILE TAKAHIROが、EXILEの楽曲をセルフカバーする<EXILE RESPECT>シリーズ。その配信第5弾となる『道』が、11月22日にリリースされた。2022年も、新生EXILEでのアリーナツアー『EXILE 20th ANNIVERSARY EXILE LIVE TOUR 2021 “RED PHOENIX”』や、EXILE ATSUSHIを含む15人体制でのドームツアー『EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH”』を開催し、不動のボーカルとしてステージに立ち続けたTAKAHIRO。大切な仲間との出会いと別れを経て、今、彼が選んだ“道”とは? ツアーの思い出や楽曲の制作エピソード、そして2023年のソロ活動への意気込みを語ってもらった。(斉藤碧)
「EXILEのボーカルとして歌う重みや使命を実感した」
ーー<EXILE RESPECT>シリーズがリリースされるのは約11カ月ぶりですね。
EXILE TAKAHIRO(以下、TAKAHIRO):11カ月!? もうそんなに経ちますか! 1年過ぎるのが早いなぁ……。
ーー今年はライブ三昧でしたからね。ツアーを廻りながら、ご自分の役割や<EXILE RESPECT>シリーズを発表する意味について、改めて感じたことはありますか?
TAKAHIRO:今年の活動を振り返ると、ようやく<EXILE RESPECT>シリーズの意義を感じた1年だったなと思います。これまでは、ファンのみなさんも喜んでくださいますし、自分にはEXILEの楽曲を輝かせ続ける使命があると思いながら<EXILE RESPECT>シリーズをやってきたんです。でも今回、アリーナツアーでは新生EXILEとして新しい姿を見せなければいけない! と思い、ドームツアーでは15人で往年のEXILEをお届けできる喜びを感じながら、“PARADOX”な……真逆なツアーを立て続けに廻っていたので、EXILEのボーカルとして歌う1曲1曲の重みや、自分の使命をより実感しました。それほど濃い時間を過ごしていたので、今年はこれまでの活動で3本指に入るくらい、あっという間に過ぎていきましたね。
ーーどちらのツアーも観させていただきましたが、“攻めの新生EXILE”と“長年多くの人に愛されてきたEXILE”という対極なツアーを繋いでいたのが、TAKAHIROさんの歌だと思いました。TAKAHIROさんの歴代EXILEへのリスペクトが芯にあるから、他のメンバーも伸び伸びと新たなことに挑戦できているんだろうなと。
TAKAHIRO:そう言っていただけると嬉しいですね。ありがとうございます。自分がEXILEを繋ぎ止めたとは思わないですけど、僕自身は<EXILE RESPECT>シリーズを通してEXILEの楽曲たちを大切に歌い続けてきたからこそ、2本のツアーを堂々と廻れたのかなと思いますね。新体制で挑戦することも勇気を持ってできましたし、コロナ禍でお見せできなかった15人体制のEXILEをようやくお届けできるっていう時にも、自信を持ってステージに立てたし。<EXILE RESPECT>シリーズが背中を押してくれる部分が大きかったなと思います。
ーーそして、今回新たに発表された<EXILE RESPECT>シリーズが、2007年にリリースされたバラード「道」です。『EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH”』でもATSUSHIさんと「道」を歌っていましたが、数ある名曲の中から、今この曲を選んだ理由は何でしょうか?
TAKAHIRO:そもそも<EXILE RESPECT>シリーズは自分のライフワークなので、すでにレコーディングを終えている楽曲が他にもいくつかあって。「道」も去年の春先にレコーディングして、リリースのタイミングを計っていた1曲だったんですよね。そんな中、今回久しぶりにドームでATSUSHIさんと声を重ねて感じたことや、(黒木)啓司くんが引退するという節目が重なって、今こそ、みなさんに「道」をお届けできるタイミングなのかなと思いました。これまでは入学・卒業シーズンにお届けしてきた楽曲なので、おそらく今は季節外れだと感じる方もいると思う。僕も今までは春に出すのがベストなんじゃないかと、こだわっていました。でも卒業は、学校からの卒業だけじゃなくて、子育てが一段落しての卒業かもしれない。逆に子どもが産まれたり、結婚や就職をして新たなスタートを切る人もいるかもしれない。そういうふうにターニングポイントはいろんな季節にやってくるものなんだなって改めて気づいたので、だったら春にこだわらなくてもいいなと思いました。
15年を経て変化した「道」に向き合う姿勢
ーーこれまでたくさんの人のスタート/ゴールを彩ってきた「道」ですが、2006年に加入したTAKAHIROさんにとっても、EXILEがこの曲をリリースした2007年は始まりの瞬間だったと思います。当時はどんな気持ちで「道」と向き合っていましたか?
TAKAHIRO:最初に「道」をリリースした時は、加入してから半年くらいしか経っていなくて、レコーディングにもまだ慣れていない頃だったので、何をするにも緊張していましたね。EXILEに入って、初めて王道バラードを歌ったのも「道」でした。かなり気合いが入って、「伝えたい」とか「届けたい」よりも、「ちゃんとしなきゃ!」という気持ちでレコーディングに臨んでいました。その一方で、EXILEファンだったからこそのミーハー心は抜け切れていなくて(笑)。MV撮影の時には、憧れのEXILEとMVを撮っていることに浮き足立っていた記憶があります。
ーーEXILE第二章として初めてツアーを廻ったのも、2007年でしたね。
TAKAHIRO:『EXILE LIVE TOUR 2007 EXILE EVOLUTION』のファイナルでは、ファンのみなさんが届けてくれる気持ちが嬉しくて、感極まって「道」が歌えなくなる場面もありました。あの頃は右も左もわからない状態で始まったツアーを、がむしゃらに突っ走っていたので、EXILEに加入して初めて1つ認めてもらえたような気がして。そこで「道」を歌えたことがすごく嬉しかったですし、当時の僕にとっての「道」は入学ソングだったなと思います。
ーーそれから約15年が経ちましたが、現在は「道」という楽曲のどんなところに魅力を感じますか?
TAKAHIRO:「道」はこれまでいろんな場面で歌ってきましたが、その時々で歌が持つ魅力やメッセージ性が変わることを最も感じさせられる曲ですね。「道」をリリースした2007年と今とでは、全く違う歌になっていると思いますし。被災地で歌わせていただいたり、TV番組で各地のみなさんと一緒に歌わせていただいたり、ツアーで歌わせていただいたり……毎回、見える景色が全然違うんです。それを今回のドームツアーで改めて感じました。
ーードームで歌っている時に見えていた景色というのは?
TAKAHIRO:ATSUSHIさんと光の道で1本に繋がる演出だったんですけど、この曲を2人で向かい合って歌うのは意外と初めてで。2番では、僕が向いている方向で啓司くんが踊っていたんですよ。たまたまなんですけど。その姿を見て、ラストなんだなぁ……って、噛みしめながら歌っていました。そうすると歌い慣れているはずの曲なのに、違う曲に感じるというか。もっと言うと、歌を歌っている気がしないんですよね。
ーー客席から観ていても、まるで語りかけているようだなと思いました。
TAKAHIRO:そう、啓司くんに手紙を読んでいるような感覚で、すごく特別な時間でした。だからこそ、そういったファンのみなさんと心を1つにできた思い出が鮮明なうちに「道」を届けたいなという想いもあり、急遽リリースすることにしました。思い立ってからレコーディングしてリリースするとなると、最速でも2~3カ月はかかってしまうので、事前にレコーディングしておいてよかったです。