三浦大知、好奇心の赴くままに見つめ直した創作の原点 自身のフィールドから飛び出すことの大切さ

三浦大知、見つめ直した創作の原点

 三浦大知が最新アルバム『OVER』をリリースした。『HIT』以来、約7年ぶりにリリースされる今作には、TOMOKO IDAやNao’ymt、UTAら盟友とも言えるプロデューサーが制作に参加したほか、KREVAやFurui Rihoとのコラボ楽曲など、今作のために書き下ろされた新曲10曲が収録されている。

三浦大知 (Daichi Miura) / NEW ALBUM "OVER" -Teaser- (収録曲全曲サビ試聴動画)

 三浦曰く、今作は自身が今やってみたいこと、内にある好奇心と向き合いながら制作されたという。リアルサウンドでは「Pixelated World」「ERROR」「Sheep」「Everytihing I Am feat.Furui Riho」の4曲を軸に、三浦大知の最新モードについて話を聞いた。(編集部)

今の時代だからこそ生まれた曲

三浦大知
三浦大知

ーー最新アルバムとなる『OVER』は2017年3月発売の前作『HIT』以来、約7年ぶりとなる新作オリジナルアルバムであり、収録曲全10曲は今作のために制作された新曲で構成されています。このタイミングで新作オリジナルアルバムのリリースを決めた理由をまず教えてもらえますか?

三浦:まず、オリジナルアルバムを作りたいと思ったのがシンプルな動機です。前作から今作までの間にもコンセプトアルバムやベストアルバムをリリースしましたし、ありがたいことに前作をリリースした後ぐらいから、いろいろなプロジェクトだったり、タイアップだったり、1曲1曲向きあいながら作ったシングルをリリースする機会がすごく多くて。それで気づけば、シングルも7曲ぐらいリリースしていたので、そろそろアルバムという形で作りたいなと思うようになりました。

 ただ、そう考えたときに、シングルでリリースした曲を7曲とそれにプラスして3〜4曲の新曲を入れたものを"アルバム"という形にするとなると、みんながそれぞれで自分の好きな曲を入れたプレイリストとそんなに変わらないなと思うこともあって。やっぱりアルバムである理由がちゃんとないと難しいし、自分としてもせっかく久々に作るのであれば、これまでのものから一新したものがいいと思ったんです。それでまずは、その7曲分を先にシングルコレクションという形でリリースすることにして、新作アルバムは全部新曲で作ることを決めました。

ーー『OVER』はどういったコンセプトの元にスタートした作品なのでしょうか?

三浦:基本的にはいつものスタンスとそこまで変わりはないんですけど、今作ではとにかく今自分がやってみたいことや面白そうだと思うことなど、好奇心みたいなものに対して、正直になりながら作ったというか。1曲に対して全力で向き合うことを意識しました。

 そのときに“OVER”というキーワードが自分の中で生まれました。いろいろな垣根や今までの自分を超えたその先で新しいクリエイティブを作っていくみたいな感覚でやれたらいいなと思って。

 それで以前から僕の作品に参加していただいている方だけでなく、今回は初めてガッツリ絡むトラックメーカーの方だったり、すごく久しぶりに一緒にやる方だったり、映像に関しても初めて一緒にやる監督だったり、ここ数年の自分の流れとはまた違うエリアで、いろいろなクリエイターの方々とモノ作りをする、“OVER”していけたらいいなと思いながら作りました。

ーー前作から今作の間にはコロナ禍があり、その間はアーティストとしては苦しい時期だったと思います。ただ、三浦さん自身はオンラインライブやインスタライブなどを通じて、立ち止まることなくファンとのつながりを維持してきました。その時の経験も今作には影響を与えているのでしょうか?

三浦:もちろん自分の人生なので、いろいろなことが影響していると思います。ただ、今作ではそれよりもむしろ今のことに目を当てたというか。今、世界で起きていることや不安な気持ちなどは、何となくみんなで共有しているように感じるんです。そういう中で結果的に自分が思うことがいろいろ詰まった作品になりましたね。

ーー今作ではシンセウェーブや80'sダンスポップのテイストを感じる「Pixelated World」がアルバムのリード曲となっています。この曲をリード曲に選んだ理由を教えてもらえますか?

三浦:この曲は『球体』などを一緒に作らせていただいた僕が大好きなプロデューサーのNao’ymtさんに手掛けていただいた曲です。曲のデモを聴いたときに、本当に今の時代だからこそ生まれた曲だし、だからこそ歌うべき曲なんだろうなとすごく強く感じました。なんとなく感じている今の時代の息苦しい空気に対して、折れない自分の決意というか、そういう想いが詰まっている曲だし、今作を象徴する1曲になると感じたのでリード曲にしました。

 あと、やっぱり三浦大知のアルバムの曲なので歌とダンスの部分もしっかり見せていきたいと思っていました。だからもし、この曲でそのふたつにしっかり向き合って、"最新の三浦大知"を見せることができたら、きっと曲に込められた想いが伝わるはずだと思ったこともこの曲をリード曲にした理由のひとつですね。

三浦大知 (Daichi Miura) / Pixelated World -Music Video-

ーーこの曲はどういったプロセスで制作されたのでしょうか?

三浦:実はNao’ymtさんに関しては、こちらから曲の内容をあらかじめオファーしないようにしています。なぜなら僕にはNao’ymtさんが作り出す曲の世界観の中で生きたいという想いがあるというか、その中で表現者として、120%、あるいは200%の表現ができるようにもがくことこそが、一緒にモノづくりをする上で一番自分がやりたいことなんです。

 だから、この曲は本当に今、Nao’ymtさんが"三浦大知が歌うべきだ"と思う曲であり、"三浦大知チームとしてやったら面白い"ということを提示してもらった曲だと言えますね。あと曲自体にものすごいパワーがあるので、僕としてはそこに真っ直ぐ向き合っていくというか、覚悟を持って歌うべき曲だと思っています。

ーー歌詞にある〈膨張する世界 闊歩する得体の知れない気配〉〈火が消えて また闇になる その手引いて また走り出す〉という部分などから不安に立ち向かっていくようなイメージが浮かびました。この曲で最も伝えたいことは?

三浦:人生の中ではいろいろなことが起きますが、それでも自分の魂や心は、やっぱり自分にしかないと思います。だからこそ、それを誰にも渡さないという覚悟や、そのための決意がちゃんと伝わっていくといいなと思いながら歌っていました。

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