バナナマン扮する「赤えんぴつ」の“セックス&バイオレンス”的な無二の音楽性 必聴5曲を解説

③「こいのぼり」

 森山直太朗による提供楽曲。Apple Musicには、「森山直太朗 & 御徒町凧」とクレジットされている。完成したはいいが赤えんぴつをイメージさせる仕上がりとなり、森山が自身で歌うより赤えんぴつが歌ったほうがいいと判断し、楽曲提供に至ったと設楽はラジオにて明かしている。たしかに、ノスタルジックな歌詞やおーちゃんのサビの抑揚のつけ方、「おーい!」という大胆な合いの手は、赤えんぴつ制作と言われてもすんなり受け入れてしまうかもしれない。ただ、楽曲テーマである「こいのぼり」を表した1サビの〈空っぽの心を 焦がすのだろう〉と2サビの〈空っぽの体を 満たすのだろう〉との対比、さらに先述した「誕生花」を例にした夏曲が多い赤えんぴつの楽曲のなかでも、5月という楽曲の世界観は珍しいとも言える。

④「だけど好きなんだ」

 ひーとんの歌い出しから始まる、数少ない楽曲。そこには、おーちゃんとの大喧嘩後に〈君じゃなけりゃ 僕はダメなんだ〉と、歌で仲直りをしようとするひーとんの姿がある。楽曲単体で聴くとほかと同じベクトルの青春ラブソングに思えるが、これはひーとんとおーちゃんの関係性、絆を歌った楽曲でもあるのだ。スッと歌に合流していくおーちゃん。〈シャイでダサくて口下手で〉とひーとんの直してほしいところを挙げていくおーちゃんに、バナナマンとしての姿が重なる。サビ前に入るひーとんの合いの手「ほっとけ ほっとけ ほっとけ ほっとけ ヘイ!」も絶妙にチャーミングで、心を温かくしてくれる。

⑤「それを胸に」

 ライブバージョンの音源は6分52秒という、赤えんぴつの持ち曲では最長の楽曲。28年にわたる〈君との思い出〉を学生時代から結婚生活に至るまで順に振り返っていき、その先には悲しい結末が待ち受けている。おーちゃんの絶唱が涙を誘う曲で、2005年開催のライブ『good Hi』では、会場のほとんどの人が泣いていたと設楽はラジオで語っている。けれど、そこにはおーちゃんが歌い出しの音程が取れずに何度も何度もやり直すという、観ているこちらも冷や汗をかきそうな逆境から、感動に持っていったというライブならではのシチュエーションも大きく作用しているだろう。

 「成長した赤えんぴつを楽しんでもらいたい」と武道館に向けて意気込む設楽と日村。もしかしたら新曲の披露もあるかもしれない。大入りの武道館で我々が目撃するのは、“お笑いライブ“を超えた、ミュージシャン・赤えんぴつのステージだ。

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