CHAI、THE 2、眩暈SIREN…同時代を生きたバンドが続々解散 変化の激しい時代に残した爪痕
CHAI
THE 2の後を追うように、1月18日に明らかになったのがCHAIの解散である。「CHAIより大切なお知らせ」と題して急遽発表された解散の知らせは、日本だけでなく世界を駆け巡った。「NEOかわいいをフォーエバー」と表現されたこの解散は、メンバーそれぞれの道を進むためのものであるという。CHAIは「NEOかわいい」を旗印に結成された双子のマナ(Vo/Key)とカナ(Vo/Gt)、そしてユウキ(Ba/Cho)、ユナ(Dr/Cho)の4人組のガールズバンドだ。奔放なキャラクターとは裏腹に、高い演奏スキルとジャンルレスで多彩な引き出しから繰り出されるインパクト抜群なロックサウンドは、日本だけでなく、世界的に高い評価を得てきた。2016年にリリースされた初の全国流通盤となる1st EP『ほったらかシリーズ』で、すぐにイギリスをはじめグローバルな支持を受けた彼女たち。1stフルアルバム『PINK』でアメリカのインディーズレーベルからUSデビューを果たすと、アメリカ西海岸ツアーを開催。続けざまにUKデビューも果たすと、各国のフェスや欧米圏のアーティストのサポートアクトを務めるなど世界を股にかけたライブ活動を展開してきた。
昨年9月にリリースされたセルフタイトルアルバム『CHAI』は、「CHAIポップ」と言えるようなオリジナリティあふれるサウンドとなっており、バンドのキャリアに通底してきた「NEOかわいい」の精神が高いレベルで結実した作品に仕上がっている。解散の報を受け、あらためてこのアルバムを聴き直すと、CHAIとして表現したいことをすべてやり切ったような作品であるように思え、解散の必然性さえ感じてしまう。そんなラストアルバム『CHAI』を携えた全国ツアー『We The CHAI Tour!』のファイナルをもって解散するCHAI。彼女たちのネクストキャリアに思いを馳せながら盛大に送り出したい。
THE LITTLE BLACK
そして、最後に紹介したいのは、1月20日の発表とともに即日解散となったTHE LITTLE BLACKである。X(旧Twitter)で「バンドとして活動を続けていくことが困難」との理由とあわせて解散が発表されると(※1)、以降のライブ出演もキャンセルとなったこともあり、突然の解散を悔やむ声があがった。2017年3月に解散したWHITE ASHの元メンバー・のび太(Vo/Gt)と彩(Ba/Cho)に、マット(Dr/Cho)を迎えて2017年6月に誕生したTHE LITTLE BLACK。のび太のナードなビジュアルと相反するソリッドなサウンドが特徴なバンドだ。ガレージロックやロックンロールリバイバルの雰囲気をまとったエモーショナルな作風とシニカルで内省的な詞世界を武器に約7年間活動を続けてきた。ライブを中心に活動してきた彼らが残した作品は、2018年にリリースしたミニアルバム『THE LITTLE BLACK』だけ。解散の潔さにも通じるバンドの美学が、この寡作な姿勢にも表れているのかもしれない。すっぱりとした引き際もTHE LITTLE BLACKの表現のひとつなのだろうか。
最後の新曲をもってバンドを締めくくる眩暈SIREN、ワンマンライブのステージをバンドの最後に選んだTHE 2とCHAI、潔い解散の美学を見せたTHE LITTLE BLACKと、ひとことに解散といっても、その形はバンドによってさまざまだ。同じ時代を生き抜いたバンドが揃って解散することは、残念でならないが、彼らが残した作品やライブでの思い出は永遠に消えることはない。そして彼らや彼女たちにとって、バンドの解散は新たな船出でもある。解散を悔やみながらも、新たな船出を祝いたい。
※1:https://twitter.com/_thelittleblack/status/1748540863771230533
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